NISAで複数口座は持てる?|2つ申し込んだときの扱い

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NISA口座は1人1口座しか開設できません。2つの証券会社で使い分けたい人や、うっかり2か所に申し込んだ人にとっては、どう扱われるのかが気になる点でしょう。

その年に新しく買えるのは1つの金融機関だけです。重複して申し込むと税務署の受付時順で1つに決まり、残りの口座は無効になって、そこで買った商品は一般口座で買った扱いになります。

申込のタイミング別の扱い、気づいたときの取消し、金融機関の変更で口座が複数残るときの非課税枠の考え方が分かります。

3行要約

①NISA口座で新たに投資できる金融機関は毎年1人につき1か所
②重複申込は税務署の受付時順で1つに決まり残りの口座は無効
③無効口座で買った商品は当初から一般口座で買い付けた扱いで課税対象

NISAの複数口座は原則として持てない

NISA口座は1人につき1口座しか開設できません。金融庁は「口座は1人につき1口座のみ開設可能です。」としたうえで、金融機関の変更は年単位でできるとしています。

ある年にNISA口座で新しく投資できる金融機関は、1人につき1つです。日本証券業協会のQ&Aも、ある年に新たな投資ができるのは一人につき1つの金融機関に限られると説明しています。

「ニーサ口座」「新NISA口座」と表記が変わっても、指している口座は同じです。この記事で扱うのは、2024年1月に始まった今のNISAの口座です。

出典:金融庁『NISAを知る』、日本証券業協会『2024年以降のNISAに関するQ&A』

金融庁が定める1人1口座

2026年中にNISA口座を開設できるのは、日本国内に住んでいる18歳以上の人です。18歳以上かどうかは、利用する年の1月1日時点の年齢で判定します。

2027年からは18歳未満でもNISA口座を開設できるようになりますが、この記事では18歳以上の人のNISA口座を扱います。

開設できるNISA口座は1人1口座なので、2つ目の口座を作って非課税で投資できる額を増やすことはできません。旧つみたてNISAはつみたて投資枠に、旧一般NISAは成長投資枠に引き継がれました。

2つの枠は、1つのNISA口座の中で併用する仕組みです。積立と一括の両方を1つの口座で使えるようになったのは、2024年からのNISAです。

出典:金融庁『NISAを知る』、日本証券業協会『2024年以降のNISAに関するQ&A』

金融機関をまたいでも同じ年は1つ

証券会社と銀行、あるいは証券会社2社で、同じ年にNISA口座を1つずつ開いて新しく投資することはできません。日本証券業協会は、A証券会社でNISA口座を開設したら、所定の手続を行わない限り他社では開設できないとしています。

対象になる他社には、ほかの証券会社のほか、銀行や郵便局なども含まれます。ここでいう所定の手続とは、年単位の金融機関変更のことです。

銀行と証券会社の両方で同じ年にNISAを使うことも、2つの証券会社で同時にNISAで積み立てることもできません。銀行と証券会社のどちらで口座を開くかの選び方は、業態の違いを比べた記事で扱います。

出典:日本証券業協会『2024年以降のNISAに関するQ&A』

つみたて投資枠と成長投資枠は別の金融機関で使えない

つみたて投資枠をA社、成長投資枠をB社と分けて使うこともできません。金融庁は、2つの枠を別々の金融機関で利用することはできず、1つの金融機関で利用するとしています。

国税庁も、同じ年分に複数のつみたて投資枠と成長投資枠を重複して設けることはできないとしています。2つの枠を併用するなら、1つの金融機関のNISA口座の中で年間360万円までという形になります。

使い方可否根拠
1つの金融機関でつみたて投資枠と成長投資枠を併用するできる(年間360万円まで)日本証券業協会Q&A Q2
つみたて投資枠はA社、成長投資枠はB社で使うできない金融庁、国税庁
同じ年に2つの金融機関のNISA口座で新しく買うできない日本証券業協会Q&A Q51
年単位で金融機関を変えるできる金融庁
NISA口座とは別に、特定口座や一般口座を複数持つできる松井証券

出典:金融庁『よくある質問』、国税庁『NISA口座の新規開設又は変更に関する手続等について』、日本証券業協会『2024年以降のNISAに関するQ&A』

NISA以外の課税口座は別の証券会社でも持てる

特定口座や一般口座といった課税口座は、NISA口座と違って複数持てます。松井証券も、一般口座や特定口座のような課税口座は複数保有できるとしています。

すでに特定口座や一般口座を持っている証券会社で、新しくNISA口座を開くこともできます。特定口座とNISA口座の違いや使い分けは、特定口座を解説した記事で扱います。

出典:松井証券『NISAは複数の口座を開設できる?口座を新しく作るときの注意点』、日本証券業協会『2024年以降のNISAに関するQ&A』

NISA口座を2つ申し込んだときの扱い

2つの金融機関にNISA口座を申し込むと、有効になるのはどちらか1つだけです。日本証券業協会のQ&Aによると、税務署は重複確認手続の受付時順に処理します。

先に重複確認手続を受け付けた金融機関でNISA口座の開設が認められ、ほかの金融機関で開設された口座は無効です。申込のタイミング別に、Q&Aの扱いを並べると次のとおりです。

申込のタイミングどうなるかやること根拠
証券会社と銀行に同時に申し込んだいずれか一方で開設され、もう一方は二重開設になる二重開設先の金融機関に扱いを問い合わせる日本証券業協会Q&A Q52
8月にA銀行、10月にB証券会社に申し込んだB証券会社の口座は二重開設のため無効B証券会社で買い付けていれば扱いを問い合わせる日本証券業協会Q&A Q53
複数に申し込んでしまったと気づいた希望の金融機関で開設できなくなる可能性がある希望しない金融機関へ直ちに取消しを申し出る日本証券業協会Q&A Q54
無効になった口座ですでに買い付けていた当初より一般口座で買い付けたものとして扱われる特定口座へ移管できるか金融機関に確かめる日本証券業協会Q&A Q42・Q50
年単位で金融機関を変更して2口座になった問題ない。新しく買えるのは変更後の口座だけ対応は不要(重複ではない)日本証券業協会Q&A Q56

最後の行は重複ではなく、制度で認められた状態です。詳しくは下の「金融機関の変更でNISA口座が複数残るケース」で取り上げます。

出典:日本証券業協会『2024年以降のNISAに関するQ&A』

税務署が重複を確認する仕組み

NISA口座は、金融機関に届出書を出した段階で開設され、そのあと税務署が重複の有無を確かめます。日本証券業協会のQ&Aが示す、利用者の提出後の流れは次の3段階です。

  1. 金融機関がNISA口座を開設し、非課税口座開設届出書の記載事項を税務署へ提供します
  2. 税務署が、NISA口座開設の可否(重複提出の有無)を確認します
  3. 税務署から金融機関へ、重複提出の確認結果が通知されます

税務署から二重開設でない確認が得られるまで、NISA口座での取引を制限する金融機関もあります。一方で、届出書を出したその日からNISA口座で買い付けられる金融機関もあります。

後者の金融機関で確認待ちの間に買い付けると、その口座が無効になった場合に、買った商品の扱いが変わります。扱いの中身は、このあとの「無効になったNISA口座での取引の扱い」で説明します。

出典:日本証券業協会『2024年以降のNISAに関するQ&A』

申し込んだ順に開設されるとは限らない

有効になる口座を決めるのは申込日ではなく、税務署が重複確認手続を受け付けた順番です。申込から税務署の手続までにかかる日数は、金融機関の事務処理や申込の状況によって違います。

このため日本証券業協会は、複数の金融機関に申し込むと、希望の金融機関でNISA口座を開設できなくなる可能性があるとしています。同時に申し込んだ場合も、開設されるのはいずれか一方だけです。

Q&Aの例では、8月にA銀行、10月にB証券会社へ申し込んだ人は、B証券会社の口座が無効になります。

出典:日本証券業協会『2024年以降のNISAに関するQ&A』

無効になったNISA口座での取引の扱い

無効になったNISA口座で買い付けた株式や投資信託は、当初より一般口座で買い付けたものとして扱われます。非課税の扱いはなくなり、売却益や配当金は課税の対象になります。

無効になった口座の商品を売って譲渡益が出た場合は、確定申告が必要になる可能性があります。NISAは、本来20.315%課税される配当金や売買益などを非課税にする制度です。

配当金などが出た場合、所得税等は金融機関で徴収される仕組みです。日本証券業協会は、無効になった口座の商品を一般口座から特定口座へ移管できる場合があるとしています。

金融機関の書面では、扱いの書き方が違うこともあるので注意が必要です。三井住友信託銀行の電話手続用の書面(2024年1月版)は、税務署で開設が非承認になった場合、当初から特定口座(未開設なら一般口座)での取引として扱うとしています。

同じ書面は、その投資信託の普通分配金と譲渡益に遡って課税するとし、譲渡所得は一般口座で生じた取引として扱うとも書いています。どの口座の取引として扱われるかは、口座を開いた金融機関に確かめてください。

無効口座の譲渡益について確定申告がいるかどうかの判断は、NISAと確定申告の関係を解説した記事で扱います。

出典:日本証券業協会『2024年以降のNISAに関するQ&A』、三井住友信託銀行『【電話手続用】NISA口座でのお取引に関するご留意事項』

2つ申し込んだと気づいたときにやること

2つの金融機関に申し込んだと気づいたら、NISA口座の開設や取引を希望しない金融機関に、直ちに申込の取消しを申し出ます。日本証券業協会のQ&Aに沿った対応は次の2つです。

  1. NISA口座の開設や取引を希望しない金融機関に、開設申込の取消しを申し出ます
  2. 無効になった口座で買い付けていた場合は、その金融機関に商品の扱いを問い合わせます

2つ目の問い合わせでは、一般口座から特定口座へ移管できるかどうかもあわせて確認しましょう。Q&Aも、詳しくは二重開設先の金融機関へ問い合わせるよう案内しています。

出典:日本証券業協会『2024年以降のNISAに関するQ&A』

申し込む前に今のNISA口座を確かめる方法

以前にNISA口座を開いたかどうか覚えていない場合は、申し込む前に開設状況を確かめておくと重複を防げます。確かめる方法は、税務署への相談とe-Taxの2つです。

e-Taxにマイナンバーカードでログインする(マイナポータルとの連携でも可)と、「マイページ」から「NISA」を選べます。最新のNISA口座の営業所名称、開設状況、変更・廃止年月日が表示されます。

e-Taxで確認できるのは、利用者識別番号を持っていて、確認するまでにマイナンバーを記載した申告書等を税務署へ出したことがある人です。この条件に当てはまらない人は、税務署に相談すると確認できます。

出典:金融庁『よくある質問』、国税庁『最新のNISA口座の開設状況はe-Taxで確認できます!』

金融機関の変更でNISA口座が複数残るケース

年単位で金融機関を変えていくと、複数の金融機関にNISA口座がある状態になることがあります。国税庁は、令和6年分を金融機関A、令和7年分を金融機関B、令和8年分を金融機関Cで開設した例を挙げています。

日本証券業協会も、年単位で変更した結果として、A銀行とB証券会社の2金融機関に2口座を持つことは可能としています。ただし新しく買い付けられるのは、その年に使う口座だけです。

1人1口座のはずなのに複数の口座を持っている人がいるのは、このように変更を重ねたケースです。変更の手続きや時期、変更前の口座に残る商品の扱いは、NISAの口座変更を解説した記事で扱います。

出典:国税庁『NISA口座の新規開設又は変更に関する手続等について』、日本証券業協会『2024年以降のNISAに関するQ&A』

口座が増えても非課税の枠は増えない

口座が複数の金融機関に分かれても、非課税で持てる上限は1人分のままです。18歳以上の人の非課税保有限度額は、すべてのNISA口座の合計で1,800万円(うち成長投資枠1,200万円)です。

金融庁は、利用者それぞれの非課税保有限度額を国税庁が一括管理するとしています。日本証券業協会のQ&Aによると、各金融機関のNISA口座で持つ商品の金額を、国税庁が名寄せして非課税保有額を算出します。

算出した非課税保有額は、その年に買い付けられるNISA口座がある金融機関へ、所轄税務署から通知される仕組みです。金融機関は、この金額を「特定累積投資勘定基準額等通知書」で利用者に知らせます。

「NISA口座は何個まで」と口座の数で考えるより、次の2点で捉えると整理しやすいでしょう。その年に新しく買えるのは1つの金融機関だけで、非課税で持てる額は全口座の合計で決まる、という2点です。

変更前の口座に残した商品が、変更後の口座で使える枠にどう影響するかの計算は、NISAの口座変更を解説した記事で扱います。

出典:金融庁『よくある質問』、日本証券業協会『2024年以降のNISAに関するQ&A』

住所・氏名・マイナンバーの変更は全部の金融機関へ届け出る

NISA口座が複数の金融機関にある人が氏名・住所・マイナンバーを変えたときは、NISA口座を開設している全ての金融機関に「非課税口座異動届出書」を出す必要があります。

国税庁は、マイナンバーが変わったのに全ての金融機関へ届出書を出していないと、非課税保有額のもとになる基準額を正しく計算できないとしています。日本証券業協会も、マイナンバーの変更に関する届出書は全ての金融機関に出す必要があるとの立場です。

名義人が亡くなった場合も、相続人が全ての金融機関へ「非課税口座開設者死亡届出書」を出します。相続のときの手続きの詳細は、NISAの相続を解説した記事で扱います。

出典:国税庁『NISA口座の新規開設又は変更に関する手続等について』、金融庁『よくある質問』、日本証券業協会『2024年以降のNISAに関するQ&A』

よくある質問

NISA口座を2つ作ってしまったらどうなる?

税務署が先に重複確認手続を受け付けた金融機関の口座だけが有効で、もう一方は無効になります。無効の口座で買い付けた商品は、当初より一般口座で買い付けた扱いです。

気づいた時点で、希望しない金融機関に取消しを申し出てください。

NISA口座は一人何個まで持てる?

新しく投資できるNISA口座は、1年ごとに1人1つの金融機関だけです。年単位の金融機関変更を重ねた結果として、複数の金融機関に口座が残ることはあります。

その場合も、非課税保有限度額は全口座の合計で数えます。

夫婦や家族で別々にNISA口座を持てる?

持てます。NISA口座は1人1口座なので、家族はそれぞれ自分の名義で1口座ずつ開設します。2026年中に開設できるのは、日本国内に住む18歳以上の人です。

夫婦の資金の出し方や贈与税の扱いは、夫婦でNISAを使う場合を解説した記事で扱います。

出典:日本証券業協会『2024年以降のNISAに関するQ&A』、金融庁『NISAを知る』

まとめ

NISA口座は1人1口座で、その年に新しく買える金融機関は1つだけです。つみたて投資枠と成長投資枠を別々の金融機関で使うこともできません。

2つの金融機関に申し込むと、税務署が先に受け付けた側だけが有効になります。無効の口座での買付は一般口座の扱いになり、課税されます。気づいたら、希望しない金融機関に直ちに取消しを申し出ましょう。

年単位の金融機関変更で口座が複数残っても、非課税保有限度額は全口座の合計で1,800万円のままです。氏名・住所・マイナンバーが変わったときは、口座がある全ての金融機関へ届け出てください。