NISAの上限はいくら?|年間360万円と生涯1,800万円を超えたときの扱い
NISA(ニーサ)で1年にいくらまで、全部でいくらまで投資できるのかは、呼び方が多くて数字が混ざりやすい点です。
上限は2種類あります。年間投資枠はつみたて投資枠120万円と成長投資枠240万円の合計360万円で、非課税保有限度額は1人1,800万円(うち成長投資枠1,200万円)です。
枠を数える基準、使い残した枠の扱い、1,800万円の手前と届いたあとに買える額が分かります。
- 3行要約
①年間投資枠はつみたて120万円と成長240万円の合計360万円が上限
②1人が持てる非課税保有限度額は1,800万円でうち成長投資枠は1,200万円
③使い残した年間投資枠は繰越不可で枠の判定は時価でなく買付代金
NISAの上限額は年間360万円と1,800万円
NISA(ニーサ)の上限は2種類あります。1年ごとに投資できる上限が年間投資枠の360万円で、1人が持てる総額の上限が非課税保有限度額の1,800万円です。
年間投資枠は、つみたて投資枠の120万円と成長投資枠の240万円を合わせた金額です。非課税保有限度額1,800万円のうち、成長投資枠で持てるのは1,200万円までと決まっています。
2つの上限は別々に効きます。日本証券業協会のQ&Aは、年間投資枠の範囲内であっても、非課税保有限度額を超えて投資することはできないとしています。
| 上限の種類 | つみたて投資枠 | 成長投資枠 | 合計 | 数える対象 | 翌年への繰越 |
| 年間投資枠 | 年120万円 | 年240万円 | 年360万円 | その年の買付代金 | できない |
| 非課税保有限度額 | 1,800万円まで使える | 1,200万円まで | 1,800万円 | 保有する商品の買付代金(簿価)の合計 | ― |
上限額・限度額・非課税枠・生涯投資枠など、呼び方はいくつもあります。日本証券業協会のQ&Aが使う名称は「年間投資枠」と「非課税保有限度額」で、金融庁は後者を「非課税保有限度額(総枠)」と書いています。
ここまでの金額は、18歳以上の人のNISA口座の数字です。NISAは2026年まで18歳以上を対象とした制度で、2027年からは0歳からNISA口座を開設できるようになります。
2027年から開設できる18歳未満のNISA口座は、つみたて投資枠だけを使えて、年間投資枠は60万円、非課税保有限度額は600万円です。
出典:日本証券業協会『2024年以降のNISAに関するQ&A』、金融庁『NISAを知る』
年間投資枠120万円・240万円の数え方
年間投資枠は、1年ごとに、買い付けた代金で数えます。いつまでに買えばその年の枠になるのか、手数料や外貨はどう扱うのかも、日本証券業協会のQ&Aで決まっています。
つみたて投資枠120万円と成長投資枠240万円の内訳
18歳以上のNISA口座では、1年間につみたて投資枠で120万円、成長投資枠で240万円まで投資できます。2つを併用すると、年間360万円まで買い付けられます。
金融庁は、2024年からのNISAでつみたて投資枠をつみたてNISAの3倍に、成長投資枠を一般NISAの2倍に広げたとしています。2023年までのつみたてNISAの年間投資額は40万円でした。
「積立NISAの上限は年40万円」という情報を見かけたら、それは2023年までの旧制度の数字です。今のNISAで積み立てる枠は、つみたて投資枠の年120万円になります。
制度が決めているのは1年間の上限額です。毎月いくらずつ積み立てるかは、年120万円の範囲で利用者が決めることになります。
出典:日本証券業協会『2024年以降のNISAに関するQ&A』、金融庁『NISAを知る』、国税庁『NISA(少額投資非課税制度)』
年間投資枠は1月〜12月の受渡日で数える
今年分の年間投資枠で買うには、購入した商品の受渡日が今年の12月31日以前である必要があります。判定に使うのは、注文が成立した約定日ではなく受渡日です。
約定日から受渡日までの間隔は、金融商品によって違います。年末ぎりぎりに注文して受渡日が翌年にずれ込むと、その買付には今年分の年間投資枠を使えません。
今年の枠を使い切るつもりで年末に注文するなら、その商品の受渡日がいつになるかを注文前に確かめておきましょう。
出典:日本証券業協会『2024年以降のNISAに関するQ&A』
手数料は含まず外貨建ては約定日の為替レートで換算
年間投資枠の利用金額は、取引ごとの取得対価(購入時の単価に数量を掛けた金額)を1年分合算して計算します。購入手数料等は含みません。
外国株や外国ETFなど外貨建ての商品を買ったときは、外貨での購入代金を約定日の為替レート(対顧客直物電信売相場)で円に換算します。その円の金額が、年間投資枠の利用金額になります。
換算に使うのは受渡日ではなく約定日のレートです。枠に入る年は受渡日で決まるので、2つの日付を取り違えないようにしてください。
出典:日本証券業協会『2024年以降のNISAに関するQ&A』
使い残した年間投資枠の翌年への繰越
使い残した年間投資枠は、翌年に繰り越せません。日本証券業協会のQ&Aの例では、つみたて投資枠を60万円しか使わなかった翌年に、120万円と60万円を合わせた180万円分を買うことはできないとしています。
成長投資枠の240万円も同じ扱いです。積立額を途中で減らしたり止めたりした年も、使わなかった分は翌年の枠に上乗せされません。
一方で、使い残しても非課税保有限度額の1,800万円が減るわけではありません。非課税保有限度額は持っている商品の買付代金で数えるため、買わなかった分は翌年以降に年間投資枠の範囲で使えます。
なお、その年に一度使った年間投資枠は、同じ年のうちに商品を売っても戻りません。
出典:日本証券業協会『2024年以降のNISAに関するQ&A』
非課税保有限度額1,800万円の仕組み
非課税保有限度額は、NISA口座全体で持っている商品の買付代金(簿価)の合計に設けられた上限です。18歳以上なら1人1,800万円で、そのうち成長投資枠で持てるのは1,200万円までになります。
時価ではなく簿価で数える
金融庁は、非課税保有限度額を買付け残高(簿価残高)で管理するとしています。日本証券業協会のQ&Aでは、前年末に持っている商品の買付代金と、その年に新しく買う商品の買付代金の合計で、その年の非課税保有額を出します。
この計算にも手数料等は含みません。値上がりして評価額が増えても、非課税保有額は買ったときの代金のままです。
例えば買付代金の合計が1,000万円で、評価額が1,900万円に増えていても、非課税保有額は1,000万円です。1,800万円までの残りは800万円になり、評価額が1,800万円を超えたことで買えなくなるわけではありません。
売ったときに減る非課税保有額も、売却時の時価ではなく簿価で計算します。
出典:金融庁『よくある質問』、日本証券業協会『2024年以降のNISAに関するQ&A』
つみたて投資枠だけで1,800万円を使える
金融庁は、つみたて投資枠だけで1,800万円を使い切ることができるとしています。つみたて投資枠を使わずに成長投資枠だけを使うこともできますが、成長投資枠の非課税保有限度額は1,200万円です。
2つの枠の使い方ごとに、持てる金額を買付代金で並べると次のようになります。
| 使い方 | つみたて投資枠で持てる額 | 成長投資枠で持てる額 | 合計の上限 |
| つみたて投資枠だけを使う | 1,800万円 | 0円 | 1,800万円 |
| 成長投資枠だけを使う | 0円 | 1,200万円 | 1,200万円 |
| 成長投資枠を1,200万円まで使い、残りをつみたて投資枠で使う | 600万円 | 1,200万円 | 1,800万円 |
成長投資枠だけで使う人は、合計が1,200万円で止まります。1,800万円まで使うには、少なくとも600万円分をつみたて投資枠で持つ必要があるという計算です。
どちらの枠から使うかは、2つの枠で買える商品の違いを踏まえて決めることになります。
出典:金融庁『よくある質問』
複数の金融機関の残高は国税庁が合算する
複数の金融機関でNISA口座を開設している場合も、各口座で持つ商品の金額を国税庁が名寄せして非課税保有額を算出します。年単位で金融機関を変えても、1,800万円の上限は1人に1つのままです。
金融庁も、利用者それぞれの非課税保有限度額は国税庁が一括で管理するとしています。
算出された非課税保有額は、その年に買い付けられるNISA口座がある金融機関へ、所轄税務署から通知されます。金融機関は、この金額を「特定累積投資勘定基準額等通知書」で利用者に知らせます。
通知書で知らされる主な内容は、次の2つです。
- 特定累積投資勘定基準額(つみたて投資枠と成長投資枠を合わせた非課税保有額)
- 特定非課税管理勘定基準額(成長投資枠の非課税保有額)
1つ目を1,800万円と、2つ目を1,200万円と比べれば、通知された金額の時点でのそれぞれの上限までの残りが分かります。
出典:日本証券業協会『2024年以降のNISAに関するQ&A』、金融庁『よくある質問』
1,800万円の上限が設けられた理由
日本証券業協会のQ&Aによると、18歳以上の非課税保有限度額1,800万円は、『投資余力が大きい高所得者層に対する際限ない優遇とならないよう』に設定されました。この文言は、自由民主党・公明党の「令和5年度税制改正大綱」からの引用です。
18歳未満の600万円は、自由民主党・日本維新の会の「令和8年度税制改正大綱」にある『格差の固定化につながらないよう配慮しつつ』という考え方を踏まえて設定されたと、同じQ&Aは説明しています。
金融庁は1,800万円を「生涯を通じての非課税保有限度額」と説明しています。1年ごとの年間投資枠とは別に、1人が持てる総額にも上限を置いたのが、2024年からのNISAの仕組みです。
出典:日本証券業協会『2024年以降のNISAに関するQ&A』、金融庁『NISAを知る』
上限に達したときの扱い
年間投資枠を使い切った枠では、その年のうちは新しく買えません。1,800万円に届いたあとはNISA口座で新しく買えなくなりますが、持っている商品は期限なく非課税で持ち続けられます。
成長投資枠の240万円に届いた年
つみたて投資枠と成長投資枠は、それぞれ別に年間投資枠を持っています。成長投資枠で240万円を使い切った年も、つみたて投資枠の120万円は別に残ります。
ただし、つみたて投資枠で買えるのは、対象商品を累積投資契約に基づいて買い付ける分(積立)に限られます。成長投資枠を使い切った年にNISAで買い増すなら、対象商品を積立で買うことになります。
2つの枠の両方を使い切った年は、その年のうちはNISA口座で新たに買い付けられません。その年にさらに買うときは、NISA口座ではなく特定口座や一般口座での取引になり、非課税の扱いは受けられません。
出典:日本証券業協会『2024年以降のNISAに関するQ&A』
1,800万円に届く手前の買付
日本証券業協会のQ&Aは、非課税保有額が1,700万円(うち成長投資枠1,200万円)に達している口座では、つみたて投資枠で100万円分までしか投資できないという例を挙げています。
その年に買える額は、年間投資枠の残り、1,800万円までの残り、成長投資枠なら1,200万円までの残り、のうち小さい金額で決まります。年初の非課税保有額ごとに当てはめると次のとおりです。
| 年初の非課税保有額 | つみたて投資枠で買える額 | 成長投資枠で買える額 | その年に買える合計 |
| 1,000万円(うち成長投資枠500万円) | 120万円まで | 240万円まで | 360万円まで |
| 1,700万円(うち成長投資枠1,000万円) | 100万円まで | 100万円まで | 2つの枠の合計で100万円まで |
| 1,700万円(うち成長投資枠1,200万円) | 100万円まで | 買えない | 100万円まで |
| 1,800万円 | 買えない | 買えない | 買えない |
2行目は、成長投資枠の残りが200万円あっても、1,800万円までの残りが100万円しかないため、2つの枠を合わせて100万円までになるという意味です。3行目が、Q&Aに載っている例そのものです。
その年に買った分も非課税保有額に足して数えるので、年の途中で上限に近づいたときも同じ考え方で残りを出せます。
出典:日本証券業協会『2024年以降のNISAに関するQ&A』
1,800万円に届いた後も持ち続けられる
2024年以降にNISA口座で投資した商品は、無期限で非課税のまま保有できます。1,800万円に届いたことを理由に、期限が来て課税口座へ移されることはありません。
届いたあとに商品を売ると、非課税保有額は翌年に減り、減った分は翌年以降に年間投資枠の範囲で新しい投資に使えます。
出典:日本証券業協会『2024年以降のNISAに関するQ&A』、金融庁『NISAを知る』
NISAの上限のよくある質問
NISAの上限は引き上げられる?
金融庁が2026年8月にまとめた令和9(2027)年度税制改正要望の主な要望項目に、年間投資枠や非課税保有限度額の金額の引上げは入っていません。要望資料の図でも、年間投資枠の範囲は360万円のままです。
NISAについて要望されているのは、非課税保有限度額の当年中の復活や、つみたて投資枠の要件の整備などです。2026年10月時点ではどれも要望の段階で、決まった制度ではありません。
夫婦なら上限は2人分?
上限は1人ごとに決まっています。日本証券業協会のQ&Aは非課税保有限度額を「一人1,800万円」としているため、夫婦がそれぞれ自分のNISA口座で投資すれば、上限もそれぞれにあります。
出典:日本証券業協会『2024年以降のNISAに関するQ&A』
旧NISAの残高は1,800万円に含まれる?
含まれません。2023年までのNISAで持っている商品は、2024年からのNISAの1,800万円の外枠で管理されます。
旧NISAの商品を持ったままでも、今のNISAの1,800万円は丸ごと使えます。
出典:金融庁『NISAを知る』
18歳未満の上限は?
2027年1月から開設できる18歳未満のNISA口座の上限は、つみたて投資枠の年60万円と、非課税保有限度額の600万円です。成長投資枠は使えません。
使える枠と金額は、その年の1月1日時点の年齢で決まります。2027年1月3日から2028年1月2日までに18歳の誕生日を迎える人(2009年1月3日から2010年1月2日生まれ)は、2027年中はつみたて投資枠の年60万円だけを使えます。
その年の1月1日に18歳になっていれば、18歳未満のNISA口座は手続きなしで18歳以上のNISA口座に移ります。非課税保有限度額は600万円から1,800万円(うち成長投資枠1,200万円)に広がります。
出典:日本証券業協会『2024年以降のNISAに関するQ&A』
まとめ
NISAの上限は2種類です。年間投資枠はつみたて投資枠120万円と成長投資枠240万円で年360万円、非課税保有限度額は1人1,800万円(うち成長投資枠1,200万円)になります。
年間投資枠は受渡日が12月31日以前の買付を、手数料を含まない買付代金で数えます。使い残した枠は翌年に繰り越せません。
1,800万円は時価ではなく簿価で数え、複数の金融機関の分は国税庁が名寄せします。届いたあとも、持っている商品は非課税のまま持ち続けられます。
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