子供NISAのデメリットは?引き出し制限と18歳以降の扱い
子供NISAは運用益が非課税になる一方、12歳の年の前年までは原則お金を引き出せず、18歳で子ども本人のNISAへ移る制度です。
2027年1月に始まる制度で、12歳以降の払出しも子の教育費・生活費に限られ、子の同意を示す書面が要ります。金融機関は後から変えられず、SBI証券や松井証券ではクレカ積立も使えません。
デメリット8つの中身と、18歳以降の扱い、影響を受ける家庭と受けない家庭の分かれ目が分かります。
- 3行要約
①12歳の年の前年までは原則引き出し不可、以降も子の同意と教育費・生活費の使途が条件
②投資先は一定の投資信託だけで成長投資枠はなく、SBI証券・松井証券ではクレカ積立も対象外
③18歳で大人のつみたて投資枠へ自動移行し口座の資産は子ども本人の財産
子供NISAのデメリット一覧
子供NISAのデメリットは、引き出し・18歳以降・投資先と枠・入金と積立方法の4系統に分けられます。どれも2027年1月から始まる制度の仕様で、金融機関を選んでも避けられない部分が中心です。
金融庁の資料での名称は「つみたて投資枠の対象年齢見直し」で、国税庁は「未成年つみたて投資枠」と呼んでいます。子供NISA・こどもNISAは証券会社などが使う通称です。2026年10月時点では法律は成立済みで、施行前の段階にあります。
| デメリット | 内容 | 影響が大きい人 | 回避策 |
| 12歳の年の前年まで原則引き出せない | 例外は災害で家屋が全壊した場合などに限られる | 小学生のうちに使う予定のお金を入れたい家庭 | 12歳前に使うお金は預金など別の場所で準備する |
| 12歳以降も引き出しに条件がある | 子の教育費・生活費に限り、子の同意を示す書類が要る | 親の生活費や住宅資金に回す可能性がある家庭 | 親が使う予定のお金は親名義で運用する |
| 売却代金も口座の外に出せない | 分配金や売却代金は専用口座で管理される | 途中で売って現金化したい家庭 | 売却より引き出しの条件を先に確認する |
| 18歳で大人のNISAへ自動移行する | 手続きなしで子ども本人のつみたて投資枠へ移る | 18歳以降も親が管理したい家庭 | 18歳時点で渡してよい金額だけを入れる |
| つみたて投資枠だけ | 成長投資枠がなく個別株は買えない | 個別株で運用したい家庭 | 個別株は親のNISAの成長投資枠で買う |
| 年60万円・総額600万円の上限 | 上限を超えた分は課税口座で運用する | 教育費を全額この枠で準備したい家庭 | 不足分は親のNISA枠と組み合わせる |
| クレカ積立が使えない | SBI証券・松井証券は本人名義のカードが前提で、18歳未満は対象外 | カードのポイントを目的にしている家庭 | ポイントは親のNISAのクレカ積立で受け取る |
| 金融機関を後から変えられない | 移すには口座を廃止して別の金融機関で作り直す | 手数料や商品の品ぞろえで乗り換えを考える家庭 | 開設前に取扱商品と積立方法を比べておく |
このほか、元本保証がない点や、NISA口座の損失をほかの口座の利益と相殺できない点は、大人のNISAと共通する仕組みです。子供NISAに固有の弱点ではありません。
出典:金融庁『令和8(2026)年度税制改正について』、国税庁『個人の方が株式等や土地・建物等を譲渡した場合の改正のあらまし』、楽天証券『こどもNISA』
子供NISAの引き出し制限
子供NISAで影響が大きいのは、入れたお金を自由に引き出せない点です。制限は12歳の前と後で中身が変わり、どちらも年齢は誕生日ではなく「その年の3月31日時点」で数えます。
12歳の年の前年までは災害時に限った引き出し
その年の3月31日時点で12歳になる年の前年までは、原則として引き出せません。例外は、住んでいる家屋が災害で全壊したなどのやむを得ない事由で、税務署長の確認を受けた場合に限られます。
この例外で引き出すときは、投資信託と専用口座のお金を全部まとめて払い出す扱いになります。必要な金額だけを一部引き出す形にはなりません。上場廃止による払出しも例外に含まれています。
3月31日時点の年齢で数えるため、12歳の年は学年でいえば中学校に入学する年にあたります。例えば2015年5月生まれの子は、2027年5月に12歳になりますが、引き出しの条件を満たせるのは2028年からです。
生まれた日によって、引き出せるようになる年と制限が外れる年は次のように変わります。同じ学年なら、早生まれでも同じ年に条件を満たします。
| 生年月日 | 12歳の誕生日 | 条件付きで引き出せる年 | 制限が外れる年 |
| 2015年4月10日 | 2027年4月10日 | 2028年1月から | 2034年1月から |
| 2016年2月10日 | 2028年2月10日 | 2028年1月から | 2034年1月から |
| 2016年4月10日 | 2028年4月10日 | 2029年1月から | 2035年1月から |
12歳以降の引き出し条件
12歳の年以降は、次の3つをそろえれば引き出せるようになります。手続きをするのは子ども本人ではなく、口座管理者である親権者等です。
| 条件 | 内容 | 誰が用意するか |
| 使途が子のためであること | 子の学校の入学金・授業料などの教育費、または子の生活費の支払い | 親権者等 |
| 子の同意を示す書面 | 払い出すことに子が同意したことを証明する書類 | 子が同意し、親権者等が添付 |
| 申出書の提出 | 払出しの理由などを書いた書類を金融機関へ出す | 親権者等(口座管理者) |
楽天証券は、この引き出しに申込みと審査が必要だと案内しています。申込みから現金化までに審査をはさむため、入学金の納付期限が近い時期は日数に余裕を持って動いてください。
引き出したお金の使い道
引き出せるのは、口座を持つ子ども本人の教育費か生活費に充てる場合に限られます。大綱は例として学校等の入学金と授業料を挙げています。
このため、親の生活費や住宅ローン、きょうだいの学費に回す目的では引き出せません。「子供NISAのお金を親が使う」ことは、制度の要件から外れます。
売却代金と分配金の扱い
投資信託を売っても、そのお金は自由になりません。分配金や売却代金は、同じ金融機関に作る特定課税未成年者口座という専用口座で管理されます。
この専用口座のお金も、投資信託の買付けに使う場合を除いて、12歳の年より前は災害時の例外でしか払い出せません。売却は現金化の手段にならない点を押さえておいてください。
ルールに反する払出しへの課税
改正法は、制限が外れる年の前年12月31日までにこのルールに反する払出しをした場合の課税も定めています。払出しの日に売却や分配があったものとして、口座開設から払出しまでの利益に所得税15%(ほかに地方税5%)の源泉徴収が行われます。
対象の利益は、口座での売却額、他の口座へ移した投資信託の時価、払出し日に口座に残る投資信託の時価の合計から取得額を差し引いた金額と、受け取った分配金の合計です。
大綱では、この計算で損失が出てもなかったものとみなし、分配金とも相殺できないとしています。非課税で積み立てたつもりのお金に税金がかかる点に注意してください。
売却した分の非課税枠
楽天証券の案内では、子供NISAで売却した商品の取得価額分の非課税枠は、600万円の範囲内で翌年以降に復活します。ただし年間60万円の上限は変わらず、復活した枠があっても1年に60万円を超えては買えません。
例えば中学入学時に100万円分を売って引き出しても、その100万円分を翌年に一括で埋め戻すことはできない計算です。引き出した分を取り戻すには複数年かかることになります。
12歳以降に引き出すときの流れ
払出しは、親権者等が書類をそろえて金融機関へ申し出るところから始まります。大綱と楽天証券の案内をもとにすると、流れは次の4段階です。
- 入学金や授業料など、子の教育費・生活費のうち何に使うかを決めます
- 払い出すことに子が同意したことを示す書面を用意します
- 親権者等が、払出しの理由を書いた申出書に同意の書面を添えて金融機関へ提出します
- 金融機関の審査を経て、投資信託の売却と払出しが行われます
出典:財務省『令和8年度税制改正の大綱』、国税庁『源泉所得税の改正のあらまし(令和8年4月)』、楽天証券『こどもNISA』
子供NISAが18歳になったら
18歳になると、子供NISAで積み立てた資産は大人のNISAへ移ります。移ったあとの持ち主は子ども本人で、親が管理する口座ではなくなります。
大人のつみたて投資枠への自動移行
口座名義人の子どもが18歳に達すると、特段の手続きをしなくても、18歳以上のつみたて投資枠へ自動的に移行します。旧ジュニアNISAで必要だったロールオーバーの手続きはありません。
引き出しの制限は、3月31日時点で18歳になる年の前年12月31日までです。学年でいえば、高校を卒業する年の1月から制限がなくなる計算になります。
移行後の資産の持ち主
子供NISAの口座は子ども名義で、楽天証券は口座内の資産を子ども本人の財産と案内しています。18歳以降は、本人が自分の判断で売却や引き出しを行える状態になります。
進学費用のつもりで積み立てても、使い道を最後に決めるのは子ども本人です。親や祖父母が出したお金が誰の財産になるかという贈与の論点は、入金の段階から関わってきます。
18歳以降の引き出しと成長投資枠
18歳以上のNISAでは、払出しの制限がなくなります。投資先も広がり、年間240万円の成長投資枠で上場株式などを買えるようになります。
つみたて投資枠の年間投資枠も、18歳以上は120万円です。子供NISAの制約の多くは、18歳で大人のNISAと同じ条件に変わると考えてよいでしょう。
出典:金融庁『アクセスFSA 2026年2月号「令和8年度税制改正の大綱」の概要』、国税庁『個人の方が株式等や土地・建物等を譲渡した場合の改正のあらまし』、楽天証券『こどもNISA』
投資先と非課税枠の制約
子供NISAで使えるのはつみたて投資枠だけです。商品の種類、金額、買い方の3点に上限や条件があります。
| 項目 | 0〜17歳(子供NISA) | 18歳以上 |
| 使える枠 | つみたて投資枠のみ | つみたて投資枠と成長投資枠 |
| 年間投資枠 | 60万円 | つみたて120万円・成長240万円 |
| 非課税保有限度額 | 600万円 | 1,800万円(成長は1,200万円まで) |
| 払出し | 12歳以降に一定の要件の下で可 | 制限なし |
成長投資枠と個別株は対象外
投資対象は、積立・分散投資に適した一定の公募等株式投資信託に限られます。大人のつみたて投資枠と同じ商品群で、内閣総理大臣が告示で定める要件を満たしたものだけが対象です。
成長投資枠は0〜17歳には設けられていないため、個別株は子供NISAでは買えません。旧ジュニアNISAでは個別株も買えたので、この点は以前の制度より狭くなっています。
年60万円・総額600万円の上限
年間投資枠は60万円、非課税保有限度額は600万円です。60万円を12か月で割ると、月あたりの上限は5万円になります。
上限いっぱいの年60万円を続けても、600万円に届くまで10年かかる計算です。中学入学や大学進学に合わせて大きな金額を準備したい場合は、子供NISAだけでは枠が足りない場面があります。
定期・継続的な積立が前提
買い方は、契約に基づき定期かつ継続的な方法で投資するルールです。証券会社と結んだ積立契約に沿って、決まった時期に買い付ける形になります。
相場を見て好きなときに好きな額を買う使い方には向いていません。ただ、この点は大人のつみたて投資枠と共通の仕組みで、子供NISAだけの制約ではありません。
出典:財務省『NISAのつみたて投資枠の拡充(令和8年度改正)』、楽天証券『こどもNISA』
入金と積立方法の制約
お金の入れ方にも、大人のNISAにはない制約があります。決済手段と金融機関の選択に後から変えにくい部分がある点に注意してください。
子供NISAのクレカ積立の制限
子供NISAでは、クレジットカードで積み立てるクレカ積立を使えない金融機関があります。クレカ積立は口座と同じ名義のカードが前提で、18歳未満の子どもは一般的にカードを作れないためです。
SBI証券は、未成年口座(18歳未満)ではクレジットカード決済を受け付けていないと案内しています。松井証券もクレカ積立の利用条件で、未成年は対象外と定めています。
2社とも本人名義のカードを条件にしているため、親のカードで子どもの口座の積立を決済する形も取れません。カードのポイントを受け取りたいなら、親自身のNISA口座でクレカ積立を使う形になります。
入金するお金は親・祖父母の資金
積立資金を親や祖父母が出す場合、子ども名義の口座へ移した時点でそのお金が誰の財産になるかという贈与の論点が生じます。楽天証券も口座内の資産を子ども本人の財産と案内しており、入れたお金を親の資産として扱うことはできません。
金融機関の変更不可
楽天証券は、子供NISA口座は金融機関の変更ができないと案内しています。別の金融機関へ移すには、今の口座を廃止してから作り直す手順になります。
大人のNISAは年単位で金融機関を変えられるため、ここは子供NISAに固有の制約です。最初に選ぶ金融機関の取扱商品と積立方法は、開設前に比べておくのが安全でしょう。
重複申込みも避けたい点で、楽天証券は他社で開設済みと分かり口座を開けなかった場合、それまでの取引をすべて一般口座の取引に変えると案内しています。
出典:SBI証券『未成年口座(18歳未満)でクレジットカード決済は可能ですか?』、松井証券『クレカ積立 取引ルール』、楽天証券『こどもNISA』
デメリットの影響を受ける家庭と回避策
同じ制約でも、家庭の事情によって影響の大きさは変わります。いつ・誰のために使うお金かで、子供NISAに入れるべきかが分かれます。
| 家庭のタイプ | 影響を受けるデメリット | 回避策 |
| 12歳の年より前に使う予定のお金がある | 引き出し制限 | 小学校卒業までに使うお金は子供NISAに入れない |
| 親のNISA枠がまだ埋まっていない | 18歳で子どもの財産になる・使途の制限 | 親が使う可能性のあるお金は親のNISAで運用する |
| 個別株で運用したい | 成長投資枠がない | 個別株は親のNISAの成長投資枠で買う |
| カードのポイントを重視している | クレカ積立が使えない | クレカ積立は親のNISA口座で使う |
| 祖父母が積立資金を出す | 贈与の扱い | 子ども本人に渡してよい金額だけを入金する |
子供NISAを見送ったほうがいい家庭
中学入学より前にまとまった出費の予定があり、そのお金を積み立てたい家庭には向きません。12歳の年の前年までは災害時の例外しか引き出す方法がないためです。
親の老後資金や住宅資金と区別せずに入れたい家庭も、見送ったほうがよいでしょう。子どもの教育費・生活費以外には引き出せず、18歳以降は本人の財産として本人が管理します。
子供NISAが向いている家庭
中学・高校・大学の学費や、18歳以降の子ども本人の資金として使うと決めているお金なら、制約の影響は小さくなります。運用益が非課税になる点と、18歳で手続きなしに大人のNISAへ引き継げる点がメリットです。
金融庁は、この制度の目的を大学進学など成人後のライフイベントに必要な資金を備えられるようにすることと説明しています。目的と使い道が一致している家庭ほど、制約に当たる場面は少なくなるでしょう。
親自身のNISA枠を使い切りそうな家庭では、子ども用に別の非課税枠を持てる点も利点になります。デメリットとメリットは、入れるお金の使い道を決めてから比べると判断しやすくなります。
よくある質問
子供NISAは親が運用できる?
楽天証券では口座の申込みを親権者の口座から行い、払出しの申出も口座管理者である親権者等が行います。ただし口座の名義と資産の持ち主は子どもなので、親の資産として運用するものではありません。
子供ニーサの落とし穴は?
見落としやすいのは、12歳の判定が誕生日ではなく3月31日時点の年齢で行われる点と、売却代金も引き出し制限の対象になる点です。8つのデメリットは記事冒頭の一覧表にまとめています。
ジュニアNISAの残高は子供NISAに移せる?
楽天証券は、ジュニアNISAの残高を子供NISA口座へそのまま移すことはできないと案内しています。ジュニアNISAの残高は、子供NISAとは別の制度のルールで扱われます。
年60万円の枠はいつまで使える?
年60万円の枠が設けられるのは、子どもが生まれた年と、1月1日時点で18歳未満の年です。0歳の年から積み立てられ、18歳以降の年は18歳以上のつみたて投資枠の扱いになります。
子供NISAはいつから始まる?
改正は2027年1月1日から適用されます。楽天証券でも、子供NISA口座で取引できるようになるのは2027年1月からです。
出典:国税庁『個人の方が株式等や土地・建物等を譲渡した場合の改正のあらまし』、財務省『NISAのつみたて投資枠の拡充(令和8年度改正)』、楽天証券『こどもNISA』
まとめ
子供NISAのデメリットは、引き出し・18歳以降・投資先と枠・入金と積立方法の4系統にまとまります。12歳の年の前年までは原則引き出せず、12歳の年以降も子の教育費・生活費に限って子の同意を添えて払い出す仕組みです。
18歳で大人のつみたて投資枠へ自動移行し、資産は子ども本人のものになります。投資先は一定の投資信託だけで、金融機関も後から変えられません。SBI証券や松井証券ではクレカ積立も使えない点に注意しましょう。
入れるお金を「子ども本人のために中学以降で使うお金」に絞れば、制約の多くは問題になりません。親が使う可能性のあるお金は、親のNISA枠で運用する形に分けておきましょう。



