今からNISAは遅い?|40代・50代・60代から始める意味
40代・50代・60代から今さらNISAを始めても遅いのか、残りの年数で損をしないかが気になるところでしょう。
NISAは日本国内に住む18歳以上ならどなたでも開設でき、非課税保有期間も無期限です。2025年6月末から12月末までのNISA口座の純増のうち、約65%は40代以上でした。
年代ごとに変わる1,800万円の枠の使い方と、今から始める手順が分かります。
- 3行要約
①国内在住の18歳以上ならどなたでも開設でき非課税保有期間も無期限のNISA
②2025年6月末から12月末の口座の純増のうち約65%が40代以上
③年360万円ずつ入れると1,800万円の非課税保有限度額は5年で到達
今からNISAが遅くない制度上の理由
NISAの制度には、何歳から始めると遅いという線は引かれていません。遅いかどうかを分けるのは年齢ではなく、そのお金を使う時期までの年数です。
40代・50代・60代で今からNISAを始めても、口座の開設条件・非課税で持てる期間・制度の期限の3点は、若い世代と同じルールです。年齢によって不利になる仕組みは、制度の中に設けられていません。
18歳以上ならどなたでも口座を開ける
金融庁は、NISA口座を「日本国内に住んでいる18歳以上の方ならどなたでも開設できます」と案内しています。年齢は、利用する年の1月1日時点で判定します。
年齢の条件は18歳以上であることだけで、上の年齢で区切る定めはありません。50代・60代はもちろん、70代以降でも新しく口座を開けます。
非課税で持てる期間は無期限
2023年までのNISAでは、非課税で持てる期間がつみたてNISAで20年間、一般NISAで5年間でした。2024年からのNISAでは、この非課税保有期間が無期限になっています。
始めた年齢から逆算して、何年以内に売らなければ課税されるという制約はありません。60代で買った商品を80代まで持ち続けても、非課税の扱いは変わりません。
制度は恒久化され2026年からでも期限はない
2024年1月から始まったNISA制度は恒久化されました。2023年までのNISAは時限的な制度で、口座を開設できる期間に終わりがありました。
今の制度は恒久的な制度なので、2026年から始めても、口座開設の期限が迫ることはありません。積立NISAを今から始める人も、2024年に始めた人と同じ枠のルールで使えます。
遅いかどうかを分けるのは使うまでの年数
判断の軸になるのは、投資するお金をいつ使う予定かという点です。値下がりした時期と使う時期が重なると、価格が戻るのを待たずに売ることになります。
当面使う予定のないお金なら、40代でも60代でも同じ制度の枠を使えます。使う時期が近いお金の扱いは、後の「50代・60代から始めるデメリット」で取り上げます。
出典:金融庁『NISAを知る』
40代以上のNISA口座数と増加数
金融庁の「NISA口座の利用状況調査」によると、NISA口座は2025年12月末時点で28,206,434口座あります。2025年6月末の26,958,356口座から、半年で1,248,078口座(4.6%)増えました。
年代別の内訳は次のとおりです。比率はNISA口座全体に占める割合で、増加率と増加数は2025年6月末から2025年12月末までの変化を示しています。
| 年代 | 口座数(2025年12月末) | 口座全体に占める比率 | 2025年6月末からの増加率 | 半年の増加数 |
| 10歳代 | 134,413 | 0.5% | −12.1% | −18,576 |
| 20歳代 | 3,368,068 | 11.9% | 7.6% | 238,123 |
| 30歳代 | 4,945,690 | 17.5% | 4.7% | 221,332 |
| 40歳代 | 5,381,768 | 19.1% | 4.3% | 222,586 |
| 50歳代 | 5,531,813 | 19.6% | 5.4% | 285,587 |
| 60歳代 | 4,175,854 | 14.8% | 5.0% | 198,528 |
| 70歳代 | 3,078,095 | 10.9% | 2.8% | 84,062 |
| 80歳代以上 | 1,590,733 | 5.6% | 1.0% | 16,436 |
| 総数 | 28,206,434 | 100% | 4.6% | 1,248,078 |
口座数は、これまでに開設された口座の総数から、金融機関の変更に伴う変更前の口座と廃止された口座の数を差し引いた数です。年代別の比率は四捨五入しているため、合計が100%にならない場合があります。
表の比率は、NISA口座全体の中で各年代が占める割合です。各年代の人口のうち何%がNISAを利用しているかを示す数字ではありません。
口座数が多いのは50代
年代別に比べると、口座数は50歳代の5,531,813口座が1位で、NISA口座全体の19.6%を占めます。40歳代の5,381,768口座、30歳代の4,945,690口座が続きます。
半年の増加数でも、50歳代は285,587口座で全年代の1位です。増加率は5.4%で、20歳代の7.6%に次ぐ2番目の伸びでした。
半年で増えた口座の約65%は40代以上
2025年6月末から12月末までの半年で、40歳代以上の口座は合計807,199口座増えました。全体の純増1,248,078口座に対して、約64.7%を40代以上が占めています。
この割合は、10歳代の口座が18,576口座減った後の純増に対するものです。今もNISA口座を増やしているのは、若い世代だけではありません。
60代・70代でも口座は増えている
同じ半年で、60歳代は198,528口座(5.0%)、70歳代は84,062口座(2.8%)増えました。80歳代以上も16,436口座(1.0%)の増加となっています。
60歳代から上は、年代が上がるほど増加率が低くなります。それでも口座数が減ったのは10歳代だけで、20歳代から80歳代以上までの各年代は増えました。
出典:金融庁『NISA口座の利用状況に関する調査結果(令和7年12月末時点)の公表について』
年代別に残り期間で変わること
年代によって変わるのは、口座を開けるかどうかではありません。非課税保有限度額の1,800万円を、何年かけて使えるかが変わります。
NISAで1年に投資できる金額には上限があります。つみたて投資枠だけなら年120万円、2つの枠を併用すれば年360万円で、1,800万円の枠を埋めるまでの年数は次のとおりです。
| 始める年齢の例 | つみたて投資枠だけ(年120万円) | 2つの枠を併用(年360万円) |
| 40歳 | 15年(55歳) | 5年(45歳) |
| 50歳 | 15年(65歳) | 5年(55歳) |
| 60歳 | 15年(75歳) | 5年(65歳) |
| 70歳 | 15年(85歳) | 5年(75歳) |
表の年数は、利回りを置かずに元本だけで計算したものです。運用で増減する分は含んでいません。
将来いくらになるかは、想定利回りを自分で入力して、金融庁のつみたてシミュレーターで確かめられます。年代別の毎月の積立額の目安は、月いくら積み立てるかを扱う別の記事で取り上げます。
積立NISAを30代から始めるのは遅い?
制度上は遅くありません。35歳で始めて、つみたて投資枠だけで1,800万円の枠を使い切っても50歳です。
2つの枠を併用すれば、35歳から5年後の40歳で枠に届く計算になります。30歳代のNISA口座は2025年12月末時点で4,945,690口座あり、半年で221,332口座増えました。
40代からNISAを始める場合
40歳で始めると、つみたて投資枠だけで15年かけて1,800万円の枠を埋めても55歳です。つみたて投資枠だけでも、生涯の枠に届くだけの年数があります。
45歳で始めた場合も、つみたて投資枠だけで60歳、2つの枠を併用すれば50歳で枠に届く計算です。
50代から新NISAを始める場合
50歳から新NISAを始めると、65歳までの15年は、つみたて投資枠だけで1,800万円に届く年数とちょうど同じです。50歳を過ぎると、つみたて投資枠だけでは65歳までに枠を使い切れなくなります。
55歳で始めた場合は、つみたて投資枠だけなら70歳、成長投資枠も併用して年360万円ずつ入れれば60歳で枠に届きます。50代から積立NISAを始めるのが遅いかどうかは、この年数と使う時期を並べて判断できます。
60代からNISAを始める場合
60歳で始めると、つみたて投資枠だけでは1,800万円の枠を使い切るのが75歳になります。枠を早く使いたいときは、年間の上限が制約になる年代です。
2つの枠を併用して年360万円ずつ入れれば、65歳で枠に届く計算です。非課税保有期間は無期限なので、一部を売って使い、残りを非課税のまま持ち続けることも制度上できます。
65歳・70代からNISAを始める場合
65歳からでも70代からでも、口座を開くときの年齢の条件は18歳以上であることだけです。開設できる年齢の上限はありません。
70歳で始めると、2つの枠を併用しても枠に届くのは75歳、つみたて投資枠だけなら85歳です。使う時期が近いお金と、長く持てるお金を分けて考える年代といえるでしょう。
残り期間が短い人の枠のルール
残りの年数が短い人ほど、1年に入れられる金額の上限と、2つの枠の使い方が重要になります。
1年に入れられるのは合計360万円まで
NISAで1年に投資できる金額は、つみたて投資枠が120万円、成長投資枠が240万円で、合計360万円です。退職金などのまとまったお金があっても、NISAに入れられるのは1年で360万円までです。
60代でNISAに一括投資する場合も、この上限は変わりません。成長投資枠で一度に買える金額は、年240万円までになります。
出典:金融庁『NISAを知る』
生涯の枠1,800万円は5年で埋まる計算
非課税保有限度額は1,800万円で、そのうち成長投資枠は1,200万円までです。毎年360万円ずつ入れた場合、5年で1,800万円に届く計算です。
このとき成長投資枠の分は年240万円の5年分で1,200万円となり、成長投資枠の上限の1,200万円とも一致します。
2023年までのNISAで買った商品は、この1,800万円の外枠で管理されます。旧制度で投資していた50代・60代でも、新しいNISAの1,800万円を別枠として使える仕組みです。
金融庁の調査で、2025年の1年間に買付けがあった口座を見ると、年300万円超360万円以下を買付けた口座は40歳代で10.8%、50歳代で11.1%、60歳代で11.1%でした。
40代から60代では、買付けがあった口座の約1割が年間の上限に近い金額まで入れています。この集計は2025年1月から12月の実績で、年の途中で廃止された口座の取引も含みます。
出典:金融庁『NISAを知る』、『NISA口座の利用状況調査(2025年12月末時点)』
つみたて投資枠と成長投資枠は併用できる
2024年からのNISAでは、つみたてNISAがつみたて投資枠に、一般NISAが成長投資枠に引き継がれ、2つの枠を併用できるようになりました。
50歳でも65歳でも、つみたてNISAと一般NISAのどっちを選ぶかという選択は必要ありません。つみたて投資枠だけで1,800万円を使い切ることも、成長投資枠だけを使うこともできます。
ただし成長投資枠だけを使う場合、非課税保有限度額は1,200万円までです。
NISA口座の商品を売ると、翌年以降に、売った商品の簿価(取得金額)の分だけ枠が復活し、再び使えるようになります。
50代・60代から始めるデメリット
50代・60代、70代から始める場合の注意点は、年齢そのものではなく、使う時期までの年数が短くなることから生じます。
元本割れのおそれがある
金融庁は、株式や投資信託に投資すると預貯金より高いリターンを期待できる一方で、「元本割れのおそれもあります」としています。NISAは利益を非課税にする制度で、値下がりを補う仕組みではありません。
使う時期が近いほど、値下がりから戻るのを待てる時間は短くなります。
出典:金融庁『資産形成の基本』
損失が出ても損益通算できない
国税庁は、NISA口座で取得した上場株式等を売って生じた損失は「ないものとみなされます」としています。特定口座や一般口座の利益との損益通算も、繰越控除もできません。
退職金などを課税口座でも運用する場合は、NISA口座の損失を税金の計算で差し引けない点を前提にしておいてください。
今からNISAを始める手順
今からNISAを始めるなら、口座を開く→使う枠と金額を決める→積立を設定するの3段階で進めます。
- 銀行や証券会社でNISA口座を開く
- 使う枠と毎月の積立額を決める
- 金融機関の画面で積立を設定する
NISAを利用するには、銀行や証券会社などにNISA口座を開設する必要があります。
NISA口座は1人につき1口座しか開けず、金融機関の変更は年単位です。夫婦で始める場合も、それぞれの名義で1口座ずつ開くことになります。
つみたて投資枠の年120万円は、毎月同じ額で積み立てる場合、月10万円にあたります。商品を選ぶときは、使う時期までの年数を基準にしてください。
積立の代金は、証券会社によってはクレジットカードで支払えます。例えば楽天証券では、投信積立の代金を楽天カードのクレジット決済で払えます。
カードで積み立てる場合の選び方は、クレカ積立のおすすめカードを比較した記事で確認できます。
出典:金融庁『NISAを知る』、楽天証券『NISA/新NISA』
よくある質問
60代からNISAは遅い?
制度上、60代から始めても口座は開けて、非課税保有期間も無期限です。60代で変わるのは、1,800万円の枠を使い切るまでにかかる年数で、詳しくは「年代別に残り期間で変わること」で説明しています。
70代から始める場合も、残りの年数と使う時期を並べて判断する点は同じです。
2026年から積立NISAを始めるのは遅い?
NISA制度は2024年1月から恒久化されているため、2026年に始めても制度上の期限はありません。
50代でNISA口座を持っている人はどれくらい?
2025年12月末時点で、50歳代のNISA口座は5,531,813口座です。NISA口座全体の19.6%にあたり、50代の人口に対する割合ではありません。
70代・80代でもNISA口座は開ける?
開けます。日本国内に住む18歳以上ならどなたでも開設でき、2025年12月末時点で70歳代は3,078,095口座、80歳代以上は1,590,733口座あります。
まとめ
NISAは日本国内に住む18歳以上ならどなたでも開設でき、非課税保有期間は無期限、制度も恒久化されています。制度の面で、今からNISAを始めるのが遅いという年齢はありません。
2025年6月末から12月末までの口座の純増のうち、約65%は40代以上でした。年代で変わるのは、年間の上限の中で1,800万円の枠を何年かけて使えるかという点です。40歳で始めれば、つみたて投資枠だけでも55歳で枠に届きます。



