NISAの口座変更にデメリットはある?|移管できない資産と変更できる時期
NISA口座の金融機関は年単位で変えられます。ただ、今の口座の投資信託を移せるのか、今年の枠はどうなるのかは手続き前に押さえておきたい点でしょう。
変更前の口座の商品は移管できず、そのまま非課税で持ち続けます。手続きは変更したい年の前年10月1日から当年9月30日までで、今年すでに買い付けていれば変更は翌年分からです。
4つのデメリットと時期別の早見表、3ステップの手続き、SBI証券・マネックス証券・楽天証券の受付締めが分かります。
- 3行要約
①変更前の口座の商品は移管不可・そのまま非課税で保有
②手続き期間は変更したい年の前年10月1日〜当年9月30日
③その年に買付済みなら当年分は変更不可・翌年分から変更
NISAの口座変更のデメリット
NISA口座の金融機関を変えても、手続きそのもので損失が出る仕組みはありません。注意したいのは、制度で決まっている4つの制約です。
4つのうち3つは日本証券業協会のQ&Aや国税庁の資料が示す制度上のルールで、どの金融機関へ移る場合にも当てはまります。買えない期間の長さだけは、金融機関の手続きによって変わります。
| デメリット | 中身 | 根拠 |
| 保有中の商品を移管できない | 変更前の口座で買った株式や投資信託は、変更後のNISA口座へ移せない | 日本証券業協会Q&A Q60 |
| 買付済みの年は変更できない | その年の1月1日以降に変更前の口座で買い付けていると、変更は翌年分から | 日本証券業協会Q&A Q55、国税庁 |
| 手続き中は買えない期間が出る | 勘定廃止通知書の交付に概ね1週間程度。税務署の確認まで取引を制限する金融機関もある | 日本証券業協会Q&A Q57 |
| 管理先が2か所に分かれる | 変更前の口座の保有分も、1,800万円の非課税保有限度額に数える | 日本証券業協会Q&A Q56・Q59 |
| (補足)売却で空いた枠の使い道 | 変更前の口座で売却して空いた枠は、変更後の口座でしか使えない | 金融庁 |
保有中の商品は変更後の口座へ移管できない
変更前の金融機関のNISA口座で持っている株式や投資信託は、変更後の金融機関のNISA口座へ移せません。切り替わるのは「新しく買い付ける口座」だけで、保有中の商品は元の口座に残ります。
「金融機関変更」と「移管」は言葉が似ていても、動くものが違います。NISAに関わる手続きを並べると次のとおりです。
| 手続き | 何が動くか | 可否 |
| 金融機関変更 | その年分以降にNISA口座を設ける金融機関 | できる(年単位) |
| NISA口座から他社のNISA口座への移管 | 保有中の商品 | できない |
| NISA口座から同じ証券会社の特定口座・一般口座への移管 | 保有中の商品(取得価額は移管日の時価) | できる |
| 同じ証券会社の別の営業所への移管 | NISA口座を扱う営業所 | できる(非課税口座移管依頼書を提出) |
| 特定口座・一般口座からNISA口座への移管 | 保有中の商品 | できない |
課税口座で持っている商品をNISA口座へ移すこともできません。NISA口座では、口座を開いた日以降に新しい資金で買い付けることになります。
出典:日本証券業協会『2024年以降のNISAに関するQ&A』、国税庁『新NISAのあらまし』
その年に買付済みなら当年分は変更できない
変更したい年の1月1日以降に、変更前の金融機関のNISA口座で買い付けがあった場合、その年分の金融機関変更はできません。今年1回でも買い付けていれば、切り替えは翌年分からになります。
国税庁も、変更の届出書を出す日以前にその年分のつみたて投資枠か成長投資枠へ受け入れをしているときは、その年分の変更はできないとしています。毎月積み立てている人は、翌年1月からの切り替えを前提に予定を組んでください。
出典:日本証券業協会『2024年以降のNISAに関するQ&A』、国税庁『新NISAのあらまし』
手続き中は新しい口座で買えない期間が出る
変更前の金融機関が「勘定廃止通知書」を交付するまでには、概ね1週間程度かかる見込みです。そのあと変更後の金融機関が、税務署を通じて二重開設でないかを確認します。
税務署の確認が取れるまでNISA口座での取引を制限する金融機関もあります。変更前の口座ではもう買えず、変更後の口座ではまだ買えない期間が生じる点を見込んでおきましょう。
楽天証券は、他社からの乗り換えの申込みについて、申込受付の処理が終わってから取引できるとし、その時期を申込から最短当日~2営業日としています。総合口座と同時に申し込んだ場合は、総合口座の開設とマイナンバーの登録が終わってからです。
出典:日本証券業協会『2024年以降のNISAに関するQ&A』、楽天証券『NISA口座の金融機関変更・移管』
NISAの管理先が2か所に分かれる
金融機関を変えると、変更前と変更後の2つの金融機関にNISA口座を持つ形になります。日本証券業協会は、年単位で変更した結果として2口座を持つことは問題ないとしています。
ただし、変更後の口座を使う年は、変更前の口座で新たに買い付けることはできません。変更前の口座で保有している商品の配当金や売買益は、変更後も引き続き非課税です。
変更前の口座の保有分も、1,800万円の非課税保有限度額に数えます。日本証券業協会のQ&Aでは次の例が示されています。
| 口座 | 非課税保有額 | うち成長投資枠 |
| 変更前のA銀行 | 1,200万円 | 1,200万円 |
| 変更後のB証券会社 | 500万円 | 0円 |
| 2口座の合計 | 1,700万円 | 1,200万円 |
2つの口座を合わせると1,700万円になり、成長投資枠は上限の1,200万円に達しています。このためその年のB証券会社では、つみたて投資枠で100万円分までしか投資できません。年間投資枠が残っていても、この上限は超えられません。
出典:日本証券業協会『2024年以降のNISAに関するQ&A』
売却で空いた枠は変更後の口座でしか使えない
NISAでは、商品を売却すると、その簿価の分だけ非課税保有限度額が復活し、翌年以降に再利用できます。変更前の口座で売却した場合、その枠を再利用できるのは変更後の金融機関のNISA口座に限られます。
再利用できる額が、その年の年間投資枠に上乗せされるわけではありません。マネックス証券も、変更前の口座で売却した分の枠は変更後のNISA口座で翌年以降に復活するとしています。
出典:金融庁『NISAを利用する皆さまへ』、マネックス証券『NISA口座の【金融機関変更】とは?』
NISAの口座変更ができる時期
NISAの金融機関変更は、変更したい年分の前年10月1日から、その年の9月30日までに手続きします。どの年分から切り替わるかは、手続きする時期と、その年に変更前の口座で買い付けたかどうかの2点で決まります。
| 手続きする時期 | その年の変更前の口座での買付 | 変更できる年分 | 新しい口座で買える時期 |
| 1月1日~9月30日 | なし | その年分から | 変更後の口座の開設手続きが終わったあと |
| 1月1日~9月30日 | あり | その年分は変更できない | 10月1日以降に翌年分の手続きをして、翌年1月から |
| 10月1日~12月31日 | 有無を問わない | 翌年分 | 翌年1月から |
10月から12月の手続きは、翌年分の変更になります。楽天証券とSBI証券も、10月~12月は当年分の変更が制度上できないことを手続きページで示しています。
今年すでに買い付けている人が年の途中で乗り換えを決めた場合は、10月1日を待って翌年分の手続きをする流れです。
出典:金融庁『よくある質問』、国税庁『新NISAのあらまし』、日本証券業協会『2024年以降のNISAに関するQ&A』
各社の受付締めは9月30日より前
9月30日は制度上の期限です。SBI証券・マネックス証券・楽天証券の3社は、当年分の受付締めをそれより前に設定しています。9月30日の直前に申し込むと、その年分の変更に間に合わない場合があります。
| 証券会社 | 当年分の受付締め |
| SBI証券 | 9月中旬頃(9月末までに税務署へ提出するための締め切り) |
| マネックス証券 | 9月中旬頃までに手続き |
| 楽天証券 | 2026年分は9月29日(火)で受付終了 |
SBI証券は、具体的なスケジュールが分かり次第サイトで知らせるとしています。楽天証券は、受付終了後に手続きした場合のNISA口座での取引開始を2027年1月からと案内しています。
出典:SBI証券『NISAの始め方』、マネックス証券『NISA口座の【金融機関変更】とは?』、楽天証券『NISA口座の金融機関変更・移管』
1月から新しい口座で積み立てたい場合
翌年1月から変更後の口座で買い付けたいなら、10月1日以降に翌年分の手続きを始めます。10月に入れば、その年に買い付けていても翌年分の手続きはできます。
変更後の金融機関では、税務署への確認のほかに、申込受付や勘定廃止通知書にもとづく口座開設の事務処理があります。年明けの積立に間に合わせたい場合は、10月に入ってから早めに動いてください。
出典:日本証券業協会『2024年以降のNISAに関するQ&A』
NISAの口座変更の流れ
手続きは、変更前の金融機関と変更後の金融機関の両方で行います。やり取りする書類は3種類で、流れは次の3ステップです。
- 変更前の金融機関に「金融商品取引業者等変更届出書」を提出します
- 変更前の金融機関から「勘定廃止通知書」を受け取ります
- 変更後の金融機関に「非課税口座開設届出書」と「勘定廃止通知書」を提出します
勘定廃止通知書は、税法上、電磁的方法で記載事項を提供することも認められています。紙か電子かの交付方法は証券会社によって違い、SBI証券は変更前の金融機関から届く「書類または電子メール等」で手続きできるとしています。
変更後の金融機関は書類を受け取るとNISA口座を開設し、税務署を通じて二重開設でないかを確認します。確認が終わると、開設完了の連絡が届きます。
出典:日本証券業協会『2024年以降のNISAに関するQ&A』、金融庁『よくある質問』、SBI証券『NISAの始め方』
勘定廃止通知書と非課税口座廃止通知書の違い
SBI証券・マネックス証券・楽天証券は、いずれも勘定廃止通知書のほかに非課税口座廃止通知書でも手続きを受け付けています。
SBI証券は、年単位で金融機関を変更する場合は勘定廃止通知書、NISA口座を廃止した後に再開設する場合は非課税口座廃止通知書という使い分けを示しています。
| 書類 | 使う場面 | 元の口座の保有分 |
| 勘定廃止通知書 | 年単位で金融機関を変更する | 元のNISA口座に残り、配当金や売買益は引き続き非課税 |
| 非課税口座廃止通知書 | NISA口座を廃止した後に再開設する | 廃止日時点の時価で一般口座へ払い出される |
NISA口座を廃止するには、口座を開いている証券会社の営業所へ「非課税口座廃止届出書」を出します。廃止すると保有分は一般口座へ移るため、金融機関を変えたいだけなら勘定廃止通知書の手続きを選ぶことになります。
出典:SBI証券『NISAの始め方』、日本証券業協会『2024年以降のNISAに関するQ&A』
変更後の証券会社に出す書類
変更後の証券会社には、廃止通知書のほかに本人確認書類を出します。マネックス証券は、届いた書類に通知書などを添えて返送する方式です。各社が手続きページで挙げている書類は次のとおりです。
| 証券会社 | 必要なもの |
| SBI証券 | 勘定廃止通知書または非課税口座廃止通知書、本人確認書類(マイナンバー未提出なら、マイナンバーが確認できる書類も) |
| マネックス証券 | 非課税口座廃止通知書または勘定廃止通知書、NISA口座開設必要書類提出票、本人確認書類とマイナンバー確認書類(登録済みならマイナンバー確認書類は不要) |
| 楽天証券 | 勘定廃止通知書(非課税口座廃止通知書でも可)と本人確認書類 |
出典:SBI証券『NISAの始め方』、マネックス証券『NISA口座の【金融機関変更】とは?』、楽天証券『NISA口座の金融機関変更・移管』
変更前のNISA口座に残る資産の扱い
金融機関を変更しても、変更前の口座の商品が売られることはありません。変更前の口座でできる取引は売却だけになり、残った商品の扱いには次の3つがあります。
| 選択肢 | その後の扱い | 根拠 |
| そのまま持ち続ける | 配当金や売買益は引き続き非課税。買付代金は非課税保有額に含まれ続ける | 日本証券業協会Q&A Q58・Q59 |
| 売却する | 減った分は翌年以降、変更後の口座で年間投資枠の範囲内で使える | 日本証券業協会Q&A Q59、金融庁 |
| 同じ証券会社の特定口座・一般口座へ払い出す | 取得日は移管日、取得価額は移管日の時価になる | 日本証券業協会Q&A Q65、国税庁 |
特定口座へ払い出せるのは、NISA口座と同じ証券会社にある特定口座だけです。同一年分の同じ銘柄の一部だけを移すことはできず、移すなら全部を移す必要があります。
楽天証券は、管理を1か所にまとめたい場合の方法として、変更前の口座で売却して変更後の口座で同じ商品を買い直す方法も挙げています。この方法は、変更後の金融機関に同じ商品の取扱いがある場合に限られます。
出典:日本証券業協会『2024年以降のNISAに関するQ&A』、楽天証券『NISA口座の金融機関変更・移管』
2023年までのNISAで買った商品がある場合
2023年までのNISAで買った商品は、2024年からのNISAの非課税保有限度額とは別の外枠で管理されます。この商品を売却しても、2024年からのNISAの枠は再利用できません。
NISA口座の乗り換え先の候補
他社から乗り換える手続きの方法と受付締めを、SBI証券・マネックス証券・楽天証券の3社で並べました。並びは五十音順で、優劣を示すものではありません。
| 証券会社 | 他社からの変更の申込方法 | 廃止通知書の出し方 | 当年分の受付締め | クレカ積立の解説 | 公式サイト |
| SBI証券 | Webで必要情報を入力し、本人確認書類を提出(Webで完結できる) | 画面で通知書の情報を入力 | 9月中旬頃 | SBI証券のクレカ積立 | SBI証券 |
| マネックス証券 | Webで申し込み、届いた書類を返送 | 通知書を書類と一緒に返送 | 9月中旬頃までに手続き | マネックス証券のクレカ積立 | マネックス証券 |
| 楽天証券 | ログイン後に「他社から乗り換え・再開設」から申し込み | 画面で廃止通知情報を入力し、本人確認書類をアップロード | 2026年分は9月29日(火)で終了 | 楽天証券の引き落とし方法 | 楽天証券 |
※2026年10月2日時点の各社の手続きページにもとづく内容です。
SBI証券のクレカ積立は、東急カード仲介コースの口座なら東急カードを登録できます。カード別の条件はSBI証券と三井住友カードの組み合わせの解説と東急カードのクレカ積立の解説にまとめています。
乗り換え先をクレカ積立の還元率や対応カードで比べたい場合は、クレカ積立の比較記事で各社をまとめて確認できます。
出典:SBI証券『NISAの始め方』、マネックス証券『NISA口座の【金融機関変更】とは?』、楽天証券『NISA口座の金融機関変更・移管』
よくある質問
NISA口座を変更したら元の口座の株・投資信託はどうなる?
元のNISA口座に残り、配当金や売買益は引き続き非課税です。元の口座では売却だけができ、新しい買い付けはできません。選べる扱いは、上の「変更前のNISA口座に残る資産の扱い」の表のとおりです。
NISA口座の変更は何回できる?
金融機関の変更は年単位で行えます。1年のうちに使えるNISA口座は1つの金融機関だけで、つみたて投資枠と成長投資枠を別々の金融機関で使うこともできません。
出典:金融庁『よくある質問』、日本証券業協会『2024年以降のNISAに関するQ&A』
今年買った商品を全部売れば今年中に変更できる?
変更の可否を分ける条件は、残高ではなく買い付けの有無です。その年の1月1日以降に変更前の口座で買い付けていれば、その年分の変更はできません。切り替えは10月1日以降に翌年分として手続きします。
出典:日本証券業協会『2024年以降のNISAに関するQ&A』
NISA口座をどこで開いたか分からない場合は?
税務署に確認依頼書を提出するか、e-Taxを使って自分で確認できます。e-Taxで確認できるのは、利用者識別番号を持ち、マイナンバーを記載した確定申告書等を税務署に出したことがある人です。
子どものNISA口座も変更できる?
18歳未満のNISA口座は、金融機関を変更できません。別の金融機関で開き直したい場合は、今の口座を廃止してから再開設する手続きになります。
出典:日本証券業協会『2024年以降のNISAに関するQ&A』
まとめ
NISAの口座変更のデメリットは、保有中の商品を移せないこと、買付済みの年は変更できないこと、手続き中に買えない期間が出ること、管理先が2か所に分かれることの4点です。どれも損失ではなく、手続きの制約にあたります。
手続きできるのは変更したい年の前年10月1日から当年9月30日までです。SBI証券とマネックス証券の受付締めは9月中旬頃で、楽天証券は2026年分の受付を9月29日(火)で終えています。今年すでに買い付けているなら、10月以降に翌年分として手続きしてください。
乗り換え先を選ぶときは、手続きの方法に加えて、クレカ積立に使えるカードなどの条件をクレカ積立の比較記事で確認してから決めてください。

