IPOとは?新規公開株の仕組みと個人の買い方
「IPOはもうかる」と聞いても、何を買うのか、個人でも申し込めるのか、損をする場合があるのかは分かりにくいものです。
IPOは未上場の会社が株式を初めて公開して上場する手続きで、個人は証券口座からブックビルディングに申し込み、抽選で当たれば公開価格で買えます。
公開価格が決まる流れ、買うまでの5ステップ、手数料の扱い、公開価格割れや未公開株詐欺などの注意点が分かります。
- 3行要約
①IPOは未上場企業による株式の初公開と取引所への上場
②個人は証券口座からブックビルディングに申し込み抽選で配分
③公開価格割れ・ロックアップ解除・未公開株詐欺の3つが主な注意点
IPOの意味と株式公開の仕組み
IPOは、少数の株主が持ち自由に売買できなかった未上場会社の株式を、取引所への上場によって誰でも売買できる状態にする手続きです。日本取引所グループは「株式公開(IPO)」と呼んでいます。
株式を公開するときは、通常、会社が新しく株を発行する「公募増資」と、既存の株主が持ち株を手放す「売出し」が行われます。個人投資家は、この公募や売出しの株を上場前に買う機会を得られるわけです。
| 用語 | 意味 | 個人投資家から見た違い |
| IPO | 未上場の会社が公募・売出しを行い、初めて取引所に上場すること | 上場前にブックビルディングで申し込める |
| PO | 上場済みの会社の公募増資、または既存株主による株の売出し | 市場の株価を基準に、割り引いた価格で申し込める |
| 上場 | 取引所で株を自由に売買できる状態になること | 上場後は証券口座から市場で売買できる |
| 経由上場 | 他の取引所に上場済みの会社が東証に上場すること | 東証の新規上場だが、IPOとは呼び分ける |
IPOの読み方と略語の意味
IPOは「アイピーオー」と読み、英語のInitial Public Offeringの頭文字をとった略語です。日本語では「新規公開」や「新規株式公開」と訳されます。
IPOと書かれていれば、新しく上場する会社の株の話と読み替えて差し支えありません。
新規公開株・新規上場株・IPO株の呼び方の違い
呼び方は違っても、指している株は同じです。取引所や証券会社が、それぞれの案内で別の言い方を使っているだけと考えてください。
| 呼び方 | 使われている場面の例 |
| 新規公開株・IPO株 | 松井証券のIPOの案内(「IPO(新規公開株)」)、マネックス証券の商品ページ |
| 新規公開株式 | 楽天証券のIPOの案内(「新規公開株式(IPO)」) |
| 新規上場株式 | SBI証券のIPOの案内(「新規上場株式(IPO)」) |
| 新規上場株・新規上場銘柄 | 日本取引所グループの上場予定の一覧(「新規上場会社情報」) |
| 新規株式公開・株式公開 | 日本取引所グループの説明(「IPO(新規株式公開)」「株式公開(IPO)」) |
出典:日本取引所グループ『新規上場会社情報』、SBI証券『新規上場株式(IPO)とは?』
IPOと上場の違い
上場は、株式が取引所で売買できる状態になることを指します。IPOは、その上場に合わせて公募や売出しで投資家に株を売り出すところまでを含む言葉です。
東証は、初めて東証に上場することを「新規上場」と呼んでいます。他の取引所に上場していない会社の新規上場だけが「IPO」で、他の取引所から移ってくる「経由上場」も、IPOと同じ基準で審査を受けます。
IPOとPOの違い
POは、すでに上場している会社の公募増資や、既存株主の持ち株の売出しを指します。IPOは上場前、POは上場後の売り出しという違いがあります。
価格の決まり方も違います。POは基準となる日の終値から2~8%ほど割り引いた価格で買えるのが通常で、申込や購入に取引手数料はかかりません。市場の株価がないIPOは、次の章のブックビルディングで公開価格を決めます。
IPO投資の意味
IPO投資は、上場前に配分される株を公開価格で買う権利を抽選で得て、上場後に最初につく株価(初値)などで売って利益を狙う投資方法です。
ただし、初値が公開価格を上回るとは限りません。上場後も持ち続ける選択肢があり、いつ売るかは投資家それぞれの判断になります。
出典:松井証券『IPOとは?POとの違いやIPO投資のメリット、注意点』
企業がIPOをする目的と上場市場
企業がIPOを選ぶ理由を知っておくと、目論見書に書かれた資金の使い道や、上場する市場の意味が読み取りやすくなります。
資金調達と知名度が上がる理由
上場すると、不特定多数の投資家から資金を集められるようになります。日本取引所グループは、株式公開の効果として資金調達の多様化、知名度の向上、社会的信用の増大を挙げています。
ただし、新しく株を発行して資金を集めるのは公募増資の部分だけです。売出しは既存の株主が持ち株を売るもので、公募増資とは区別されます。
上場後に企業が負う開示の義務
上場すると、不特定多数の投資家から資金を集めるため、業績など企業情報を開示する義務が生じます。
上場の時点でも、会社は事業の内容や経理の状況、集めた資金の使い道をまとめた目論見書を投資家に交付します。目論見書は金融商品取引法第13条にもとづく書類で、IPOに申し込む前に読む基本の資料です。
出典:日本取引所グループ『株式公開(IPO)』、『目論見書』
プライム・スタンダード・グロースの区分
東証には、プライム市場、スタンダード市場、グロース市場、TOKYO PRO Marketの4つの市場があります。日本取引所グループの説明を要約すると、それぞれ次の企業に向けた市場です。
| 市場 | 対象となる企業 |
| プライム市場 | 多くの機関投資家の投資対象になりうる規模の時価総額を持ち、より高いガバナンス水準を備えた企業 |
| スタンダード市場 | 一定の時価総額を持ち、上場企業としての基本的なガバナンス水準を備えた企業 |
| グロース市場 | 高い成長可能性がある一方、事業実績の観点から相対的にリスクが高い企業 |
| TOKYO PRO Market | プロ投資家向けの市場で、取引所の認定を受けたJ-Adviserが上場審査を行う |
2025年に東証でIPOをした会社は、グロース市場が40社で、プライム市場の7社とスタンダード市場の12社を大きく上回りました(TOKYO PRO Marketを除く)。IPOの銘柄は、事業実績の面でリスクが相対的に高い企業向けの市場に多いことになります。
出典:日本取引所グループ『新規上場基本情報』、『最近のIPOの状況(2025年)』
公開価格が決まるまでの流れ
IPOの株には市場の値段がないため、上場前に投資家の需要を調べて公開価格を決めます。上場承認から上場日までは、次の順に進みます。
- 上場承認:取引所が上場を承認し、目論見書で募集の内容が示されます
- 仮条件の決定:機関投資家などの意見をもとに、申込価格の幅が決まります
- ブックビルディング:投資家が仮条件の範囲で価格と株数を申告します
- 公開価格の決定:集まった需要をもとに価格が決まり、抽選が行われます
- 購入申込:当選した人が購入の意思を示します
- 上場日:取引所で売買が始まり、最初についた値段が初値になります
このうち個人が手を動かすのは、ブックビルディングと購入申込の2か所です。流れの中で出てくる用語は次のとおりです。
| 用語 | 意味 |
| 仮条件 | ブックビルディングで申し込める価格の幅 |
| ブックビルディング | 投資家の需要を調べてから価格を決める方式。需要申告とも呼ばれる |
| ストライクプライス | どの価格で決まっても買う意思を示す申込価格 |
| 公開価格 | IPOで株を買うときの1株あたりの価格 |
| 初値 | 上場後に最初に売買が成立した値段 |
| 主幹事証券会社 | 幹事証券会社のうち、上場の手続きを中心になって進める会社 |
| 引受け | 株が売れ残るリスクを証券会社が肩代わりすること |
| ロックアップ | 上場前からの株主が、上場後の一定期間は株を売らない約束 |
| 目論見書 | 事業の内容や資金の使い道を投資家に示す書類 |
出典:日本証券業協会『IPOにおける公開価格の設定プロセスの見直しについて』
仮条件と主幹事証券会社
仮条件は、上場の手続きを取り仕切る主幹事証券会社が、機関投資家の意見をもとに設定します。主幹事証券会社は、株式公開の全般的な指導や取引所などとの折衝を担う幹事証券会社のうち、中心となる会社です。
主幹事のほかにも複数の幹事証券会社が株の販売を分担し、募集や売出しで売れ残るリスクを肩代わりします。株をいったん全部買い取ってから投資家に売りさばく方式を、買取引受と呼びます。
出典:日本取引所グループ『幹事会社』、『買取引受』、松井証券『IPOとは?POとの違いやIPO投資のメリット、注意点』
ブックビルディングの仕組み
ブックビルディングは、投資家の需要を調べてから発行価格を決める方式です。日本取引所グループは、仮条件を示して投資家からの需要を把握し、市場動向にあった発行価格を決定する方式と説明しています。
SBI証券は、購入希望者から希望株数と価格を募る需要予測の制度と位置づけ、この期間に申し込むことでIPOに応募できるとしています。申告は購入の確定ではなく、抽選に当選してから購入の意思を示す順番です。
出典:日本取引所グループ『ブックビルディング方式』、SBI証券『IPO(新規上場株式)ブックビルディングから上場までの流れ』
公開価格と初値の違い
公開価格はIPOで株を買うときの1株あたりの価格で、初値は上場後に最初に売買が成立した値段です。IPOで当選した人が払うのは公開価格で、初値ではありません。
公開価格は、日本取引所グループの用語でいう「発行価格」にあたり、投資者が払い込む1株あたりの額を指します。公募なら公募価格、売出しなら売出価格と呼ぶこともあります。
公開価格の決め方の見直し
公開価格の決め方は、2023年10月1日以降のIPOから一部変わりました。日本証券業協会のワーキング・グループ報告書で示された改善策にもとづく変更で、個人に関係する主な変更点は4つあります。
- 仮条件の範囲外で公開価格が決まったり、公開価格と同時に売出株式数が変わったりする場合がある
- 上場承認日から上場日までを、従来の1か月程度から21日程度に縮める方式を選べる
- 条件が決まるまでは、1週間程度の幅を持った上場日が目論見書に書かれることがある
- 訂正目論見書の交付で、上場日が数週間から数か月延期される場合がある
1つ目の変更は申込価格の選び方に関わります。SBI証券では、発行価格が仮条件の上限を超えて決まった場合(上限の120%以下)、ストライクプライスで申し込んだ人だけが抽選の対象になります。
出典:日本証券業協会『IPOにおける公開価格の設定プロセスの見直しについて』、SBI証券『新規上場株式ブックビルディング/購入意思表示』
個人がIPO株を買うまでの5ステップ
個人がIPO株を買うには、証券口座を開いてから上場日まで5つの手続きを踏みます。SBI証券は、購入に必要な手続きを「申込」「入金」「当選」「購入意思表示」の4つに整理しています。
- IPOを取り扱う証券会社で口座を開く
- ブックビルディングに申し込む
- 抽選結果を確認する
- 当選したら購入意思表示をする
- 上場日以降に売買する
証券口座を開く手順は、株の始め方の記事で確認できます。ここからは、口座を持ったあとの2〜5の手続きを順に見ていきます。
出典:SBI証券『IPO(新規上場株式)ブックビルディングから上場までの流れ』
ブックビルディングの申込方法
申込は、証券会社のIPOの画面で銘柄を選び、申込株数と申込価格を入力して行います。SBI証券では、初めて申し込む前に目論見書の電子交付サービスへの承諾が必要です。
申込価格は仮条件の範囲から選び、ストライクプライスを選べる会社もあります。SBI証券では、ブックビルディング期間の終了後は取消・訂正・再申込ができません。
出典:SBI証券『IPO(新規上場株式)ブックビルディングから上場までの流れ』
抽選で配分が決まる仕組み
申込が多いIPOは、抽選で配分先が決まります。日本証券業協会の規則により、証券会社は個人顧客への配分予定数量の10%以上を、原則として抽選で配分します。
抽選以外の方法で配分する場合も、特定の顧客への過度な集中配分や不公正な配分は禁じられています。抽選の方式は会社ごとに違い、各社の方式の比べ方はIPOの証券会社選びの記事で扱っています。
出典:日本証券業協会『株券等の募集等の引受け等に係る顧客への配分等に関する規則』
当選後の購入申込と辞退
当選しただけでは、株はまだ買えていません。当選または補欠当選になった人は、購入意思表示期限までに「購入」か「辞退」を伝える手続きが必要です。
SBI証券では、購入か辞退かの意思表示を受け付けるのは1回だけです。補欠当選の人が購入意思表示をした場合は、繰り上げの抽選のあとに結果が分かります。
購入が決まると、SBI証券では購入意思表示期限の翌営業日に代金を精算します。
出典:SBI証券『新規上場株式ブックビルディング/購入意思表示』
上場日の初値と売却
上場日は、買い注文と売り注文が釣り合う値段が見つかるまで初値がつかないことがあります。東証は初値が決まるまで、公募・売出価格を中心にした気配を一定の幅と時間で更新し、売買の成立を待ちます。
初値で売ることを「初値売り」と呼びますが、売るか持ち続けるかは投資家の判断です。上場後の売り注文の出し方は、株の買い方の記事で確認できます。
出典:日本取引所グループ『新規上場日の初値決定前の気配運用について』
IPOの件数とスケジュールの確認先
IPOの予定は、日本取引所グループの「新規上場会社情報」で確認できます。上場日・上場承認日・仮条件・公募と売出しの株数・市場区分が上場日の新しい順に並び、会社概要の資料も開けます。
申込先は、各証券会社のIPO取扱銘柄の一覧で探します。上場に伴う公募の有価証券届出書は、金融庁のEDINETで「有価証券届出書(新規公開時)」が出ているかどうかで確かめられます。
出典:日本取引所グループ『新規上場会社情報』、金融庁『未公開株購入の勧誘にご注意!~一般投資家への注意喚起~』
IPO投資のメリット
IPO投資の利点は、買うときの費用と、上場の時点から会社の株を持てる点にあります。値上がりを約束するものではないことも、あわせて押さえてください。
購入時にかかる費用
当選した株を公開価格で買うときは、原則として購入の対価だけを払います。SBI証券は、当選して購入意思表示をすると公開価格で買えるため、通常の株式買付時の手数料がかからないと案内しています。
松井証券も、IPO・POの抽選時と購入時の手数料を無料としています。上場後に市場で売るときの手数料は、各社の通常の取引の料金体系に従います。
出典:SBI証券『新規上場株式(IPO)とは?』、松井証券『IPOとは?POとの違いやIPO投資のメリット、注意点』、野村證券『IPO(新規公開株式)』
公開価格を上回る初値がつく仕組み
初値が公開価格を上回ることがあるのは、IPOで買えなかった投資家が上場日に市場で買い注文を出すためです。SBI証券と松井証券はどちらも、人気のある銘柄は初値が公開価格を上回ることがある理由としてこの点を挙げています。
一方で、IPOの規模や人気、相場の状況によっては、初値が公開価格を下回るケースもあります。日本証券業協会は、上場3年以内の会社について主幹事証券会社別の公開価格と上場後の株価を「主幹事証券会社別の初期収益率等」として公表しています。
出典:SBI証券『新規上場株式(IPO)とは?』、松井証券『IPOとは?POとの違いやIPO投資のメリット、注意点』、日本証券業協会『主幹事証券会社別の初期収益率等』
上場時点から成長企業に投資できる点
IPOは、上場したばかりの会社の株を上場の時点から持てる機会です。上場までには、証券会社が公募・売出しを引き受けるための引受審査と、取引所の上場審査が行われます。
ただし、審査を通ったことは値上がりや業績の保証ではありません。会社ごとの事業の内容とリスクは、目論見書で確かめてから申し込んでください。
IPO投資のリスクと注意点
IPOは元本が保証された投資ではありません。株価の変動などで損失が出るおそれがあり、上場の前後ならではの注意点もあります。
公開価格割れ
初値や上場後の株価が公開価格を下回ることを、公開価格割れと呼びます。公開価格で買った株をそれより安い値段で売れば、差額がそのまま損失になります。
野村證券は、募集・売出しの株も株式相場の変動や会社の経営・財務状況などで価格が変わり、損失が生じるおそれがあると示しています。当選は利益の確定ではない点を理解してから申し込みましょう。
上場直後の値動きの大きさ
上場直後は、相場が大きく上下して値動きの方向を読みにくくなることがあります。新規上場日は、初値が決まるまで制限値幅が適用されず、決まったあとに初値を基準として制限値幅がかかります。
制限値幅は、1日のうちに株価が動ける上限のストップ高と、下限のストップ安の間の幅です。初値がついたあとに買う場合も、通常の株式と同じように損失が出る可能性があります。
出典:日本取引所グループ『新規上場日の初値決定前の気配運用について』、『制限値幅』、松井証券『IPOとは?POとの違いやIPO投資のメリット、注意点』
ロックアップ解除
ロックアップは、会社役員や大株主、ベンチャーキャピタルなど公開前からの株主が、公開後の一定期間は市場で持株を売らないよう公開前に契約を交わす制度です。通常は主幹事証券会社と既存株主の間で結ばれます。
日本では、期間を上場日後90日または180日までとし、売却価格が公開価格の1.5倍以上なら期間中でも売れるとする合意が一般的です。日本証券業協会のワーキング・グループは、報告書の案でこの実務を説明しています。
解除の条件を満たすと、それまで売られなかった株が市場に出てくる可能性があります。期間と条件は目論見書の「募集又は売出しに関する特別記載事項」に書かれるので、上場後に買う場合も確かめておきましょう。
出典:野村證券『ロックアップ』、金融庁掲載『「公開価格の設定プロセスのあり方等に関するワーキング・グループ」報告書(案)』、SBI証券掲載『新株式発行並びに株式売出届出目論見書の訂正事項分(2019年12月 第2回訂正分)』
当選しにくさと資金の拘束
IPOの株は、証券会社ごとに販売できる株数が割り当てられています。人気の銘柄ほど申込が多くなり、購入できない可能性も高くなる点に注意してください。
抽選の時点で資金が必要かどうかも会社で違います。SBI証券は発行価格×有効申込株数以上の買付余力が抽選に参加する条件で、野村證券のオンライン抽選は前受金なしで参加できます。
資金が必要な会社では、抽選から購入までの間その資金を別の用途に回せません。会社ごとの資金のルールは、IPOの証券会社選びの記事で比べています。
出典:松井証券『IPOとは?POとの違いやIPO投資のメリット、注意点』、SBI証券『IPO(新規上場株式)ブックビルディングから上場までの流れ』、野村證券『IPO(新規公開株式)』
未公開株詐欺との違い
「上場間近」「値上がり確実」などと言って未公開株を売りつける勧誘は、正規のIPOとは別物です。金融庁には、買ったあとで発行会社に上場予定はないと言われた、株券が届かないといった相談が寄せられています。
| 確かめる点 | 正規のIPO | 未公開株の勧誘で注意する点 |
| 売ってよい相手 | 発行会社や登録を受けた証券会社に限られる | それ以外の者からの勧誘 |
| 上場予定の確かめ方 | EDINETに「有価証券届出書(新規公開時)」が出ている | 届出書が見当たらない |
| 勧誘の言葉 | 証券会社は断定的判断を示して勧誘することを法律で禁じられている | 「上場間近で、値上がり確実」などの断定 |
| 換金のしやすさ | 上場後は取引所で売買できる | 上場しなければ売買の成立は極めて困難 |
未公開株は実際に上場しなければ、換金する方法はほとんどありません。勧誘を受けたら、金融庁の「免許・登録を受けている業者一覧」で登録の有無を確かめ、取引するつもりがなければはっきり断ってください。
出典:金融庁『未公開株購入の勧誘にご注意!~一般投資家への注意喚起~』
IPOの申込先と主幹事・引受けの関係
IPOに申し込めるのは、その銘柄の主幹事や幹事として販売を分担する証券会社です。個人はそのいずれかに口座を持つことで抽選に申し込めます。
幹事に入る証券会社は銘柄ごとに変わります。SBI証券、マネックス証券、松井証券、楽天証券などのネット証券もIPOを取り扱っていますが、抽選の方式や資金のルールは会社ごとに違います。
会社ごとの比較はIPOの証券会社選びの記事で、IPO以外の軸で選ぶ場合は証券会社の選び方の記事を参照してください。
出典:松井証券『IPOとは?POとの違いやIPO投資のメリット、注意点』、マネックス証券『新規公開株(IPO)/公募・売出株式(PO)』、楽天証券『新規公開株式(IPO)/公募・売出(PO)』
よくある質問
IPOで利益が出ると言われる理由は?
公開価格で買った株に、公開価格を上回る初値がつく場合があるためです。ただし初値が公開価格を下回る場合もあり、利益が出ることは保証されていません。
IPOは年に何社くらい?
日本取引所グループの集計では、2025年に東証でIPOをした会社は59社でした(TOKYO PRO Marketを除く)。プロ投資家向けのTOKYO PRO Marketの46社を含めると105社になります。
2026年は9月までに、TOKYO PRO Marketを除いて31社がIPOをしました。
出典:日本取引所グループ『最近のIPOの状況(2025年)』、『最近のIPOの状況(2026年)』
当選したら買わないといけない?
買う義務はありません。当選後の意思表示で「辞退」を選べば、購入しないことになります。購入する場合は期限までの手続きが必要なので、当選の通知を受けたら期限を確認しましょう。
NISAでIPOは買える?
NISA口座でIPOに申し込める証券会社があります。SBI証券とマネックス証券は、NISAでもIPOに申し込めると案内しています。
NISAで個別株を持つときの注意点は、NISAで個別株を買うときの注意点の記事で確認できます。
出典:SBI証券『新規上場株式(IPO)とは?』、マネックス証券『新規公開株(IPO)/公募・売出株式(PO)』
まとめ
IPOは、未上場の会社が公募や売出しを行い、株式を初めて取引所に上場する手続きです。個人は幹事の証券会社でブックビルディングに申し込み、抽選に当たれば公開価格で買えます。
公開価格は需要の調査をもとに決まり、2023年10月以降は仮条件の範囲外で決まる場合もあります。当選後は期限までに購入か辞退かを伝え、購入時は原則として購入の対価だけを払います。
注意したいのは、公開価格割れ、ロックアップ解除後の売り、そして未公開株詐欺の3つです。申し込む前に目論見書でリスクとロックアップの条件を確かめ、取引所や金融庁の公表情報で上場予定を確認してください。

