金の投資信託をおすすめしない理由は?|ETF・純金積立との手数料比較
金の投資信託は少額から手軽に金を持てる一方で、「おすすめしない」と言われることもあり、何が不利なのか見えにくい商品です。
おすすめしないと言われる主な理由は、保有中ずっとかかる信託報酬と、金が利息も配当も生まない点です。ただし実質的なコストは、商品によって5倍以上違います。
金の投資信託・ETF・純金積立・現物の4つの買い方の手数料と税金の違い、100万円を10年持った場合の費用の試算が分かります。
- 3行要約
①金の投資信託の実質コストは年0.1538%程度〜0.99%程度と商品で5倍以上の差
②金は利息も配当も生まず値上がり益だけが収益源
③純金積立は買付時1.65%〜3.1%の手数料と店頭価格で約1.5%の売買差
金の投資信託をおすすめしない5つの理由
金の投資信託をおすすめしないと言われる理由は、保有中ずっと差し引かれる信託報酬、利息や配当が無い点、為替ヘッジのコスト、ETF経由の上乗せ、購入時手数料の5つです。どれも商品の仕組みから生じる費用や性質で、運用会社の目論見書や商品ページで確かめられます。
一方で、金の投資信託は100円から積み立てられる証券会社があり、金を自分で保管する手間もかかりません。5つの理由が自分に当てはまるかどうかは、保有する年数と金額で変わります。
信託報酬が保有期間中ずっとかかる
信託報酬は、ファンドを持っている間ずっと、純資産総額から差し引かれる費用です。三菱UFJ 純金ファンドの目論見書では、運用管理費用(信託報酬)は日々計上され、基準価額に反映される仕組みになっています。
金そのものは収益を生まないため、費用は保有する金を売って支払われます。純金上場信託(金の果実)は、信託財産の貴金属を毎月末に必要な分だけ売却して、信託報酬などに充てる仕組みです。
金の価格が動かなければ、信託報酬の分だけ基準価額は少しずつ下がります。保有年数が長いほど、この差は積み上がっていきます。
出典:三菱UFJアセットマネジメント『三菱UFJ 純金ファンド 投資信託説明書(交付目論見書)』、三菱UFJ信託銀行『よくあるご質問』
金は利息も配当も生まない
株式には配当、債券には利息がありますが、金には保有しているだけで入ってくる収入がありません。収益は、買ったときより高く売れたときの値上がり益だけです。
iシェアーズ ゴールド ETFの運用会社は、金現物に投資するため通常はインカムが発生せず、分配金は払い出されないと説明しています。三菱UFJ 純金ファンドも、分配を原則として抑える方針をとっています。
ただ、利息や配当が無いのは金という資産に共通する性質で、投資信託だけの欠点ではありません。
出典:ブラックロック『iシェアーズ ゴールド ETF』、三菱UFJアセットマネジメント『三菱UFJ 純金ファンド 投資信託説明書(交付目論見書)』
為替ヘッジありはヘッジコストがかかる
海外の金に投資するファンドには、為替ヘッジありとなしがあります。ヘッジありは円とドルの為替の影響を抑える取引をしていて、その代わりにかかるのが為替ヘッジコストです。
SBI・iシェアーズ・ゴールドファンドの目論見書は、円金利が組入資産の通貨の金利より低い場合、金利差相当分の費用がかかるとしています。日本の金利が米国より低い間は、この費用が基準価額を押し下げる要因になるでしょう。
ヘッジコストは信託報酬とは別のものです。SBI・iシェアーズ・ゴールドファンドとピクテ・ゴールドの目論見書では、費用の欄ではなく為替の留意点として書かれていて、料率は示されていません。
出典:SBIアセットマネジメント『SBI・iシェアーズ・ゴールドファンド 投資信託説明書(交付目論見書)』、ピクテ・ジャパン『ピクテ・ゴールド 投資信託説明書(交付目論見書)』
ETF経由で信託報酬が二重にかかる
この記事で取り上げる3本の金の投資信託は、いずれも金を直接持たず、ETFやETCなどの投資信託証券を通じて投資します。この場合、ファンド自体の信託報酬に、投資先ETFの信託報酬が上乗せされます。
三菱UFJ 純金ファンドはファンド分が年0.55%、投資先の金の果実が年0.44%で、実質的な負担は年0.99%程度です。名目の信託報酬だけを見ると、実際の負担より安く見えるでしょう。
SBI・iシェアーズ・ゴールドファンドもファンド分は年0.0638%ですが、投資先の年0.09%〜0.12%程度が加わり、実質的な負担は年0.1538%〜0.1838%程度になります。
投資先ETFの市場価格は需給でも動くため、基準価額は金の店頭価格や海外の取引価格とずれる場合があります。費用を比べるときは、目論見書の「実質的な負担」の欄を見てください。
出典:三菱UFJアセットマネジメント『三菱UFJ 純金ファンド 投資信託説明書(交付目論見書)』、SBIアセットマネジメント『SBI・iシェアーズ・ゴールドファンド 投資信託説明書(交付目論見書)』
購入時手数料がかかるファンドもある
金の投資信託がすべて購入時手数料なしとは限りません。ピクテ・ゴールドは購入価額の2.2%を上限に、三菱UFJ 純金ファンドは1.1%を上限に、販売会社ごとに手数料率を決めています。
100万円を購入時手数料2.2%で買うと、買った時点で22,000円がかかります。SBI・iシェアーズ・ゴールドファンドのように購入時手数料がないファンドもあるため、買う前に販売会社の画面で率を確かめてください。
出典:ピクテ・ジャパン『ピクテ・ゴールド 投資信託説明書(交付目論見書)』、三菱UFJアセットマネジメント『三菱UFJ 純金ファンド 投資信託説明書(交付目論見書)』
金の4つの買い方のコスト比較表
金を持つ方法は、金の投資信託・金ETF・純金積立・金の現物の4つに分かれます。並びは評価の順位ではありません。かかる費用の種類が買い方ごとに違うため、同じ項目で横に並べました。
※記載の手数料・信託報酬・価格は2026年10月22日時点の情報です。
| 買い方 | 保有中のコスト | 買うときのコスト | 売るときのコスト | いくらから買えるか | 保管の手間 | NISA | 売却益の税金 |
| 金の投資信託 | 実質的な負担 年0.1538%程度〜0.99%程度 | 購入時手数料 0円〜上限2.2% | 信託財産留保額なし(3本とも) | 100円から(SBI証券の積立買付) | なし | ○ | 20.315% |
| 金ETF | 信託報酬 年0.176%〜0.440% | 証券会社の売買委託手数料 | 証券会社の売買委託手数料 | 市場価格×売買単位(1口または10口) | なし | ○ | 20.315% |
| 純金積立 | 年会費 0円〜880円 | 買付手数料 1.65%〜3.1% | 小売価格と買取価格の差 | 1,000円〜3,000円から | 業者が保管 | ✗ | 総合課税(譲渡所得) |
| 金の現物(地金) | なし(自分で保管) | 小売価格(5g〜20gは1本8,800円の手数料込み) | 買取価格(500g未満は手数料を差し引き) | 5gの地金で124,795円 | 盗難・紛失に自分で備える | ✗ | 総合課税(譲渡所得) |
NISAの成長投資枠の対象は上場株式・投資信託等で、金の投資信託と金ETFはこの枠で買えます。枠の使い方と対象商品の見分け方はNISAでゴールド(金)は買えるかの解説にまとめています。
出典:金融庁『NISAの抜本的拡充・恒久化のイメージ』、三菱マテリアル『金価格推移』、野村アセットマネジメント『NEXT FUNDS 金価格連動型上場投信』
比較表の前提と数字の出どころ
投資信託の行は、三菱UFJ 純金ファンド、SBI・iシェアーズ・ゴールドファンド、ピクテ・ゴールドの3本の目論見書の値です。ETFの行は、国内上場の4銘柄の公表値を幅で示しています。
純金積立の行は、三菱マテリアルの純金積立と、SBI証券・楽天証券の金積立の公表値です。現物の行は三菱マテリアルの店頭価格を使い、小型の地金ほど1gあたりの手数料が重くなる点を含めました。
5gの地金は小売価格124,795円に対し、買取価格は107,665円でした。差額は17,130円で、小売価格の約13.7%にあたります。
100万円を10年持った場合のコスト試算
金の価格が10年間変わらないと仮定して、100万円分の金を持ったときにかかる費用だけを計算しました。保有中の費用は「100万円×年率×10年」の単純計算で、将来の収益を示すものではありません。表の並びは評価の順位ではありません。
| 買い方の例 | 買うとき | 保有中(10年) | 売るとき | 合計 |
| SBI・iシェアーズ・ゴールドファンド(年0.1838%程度) | 0円 | 18,380円 | 0円 | 18,380円 |
| ピクテ・ゴールド(試算値の年0.76%程度・購入時手数料2.2%) | 22,000円 | 76,000円 | 0円 | 98,000円 |
| 三菱UFJ 純金ファンド(年0.99%程度・購入時手数料0円の販売会社) | 0円 | 99,000円 | 0円 | 99,000円 |
| NEXT FUNDS 金価格連動型上場投信(年0.176%) | 売買委託手数料 | 17,600円 | 売買委託手数料 | 17,600円+売買委託手数料 |
| 楽天証券の金積立(買付手数料1.65%) | 16,500円 | 0円 | 売買価格の差 | 16,500円+売買価格の差 |
| 三菱マテリアルの純金積立(月1万円以上・年会費880円) | 26,000円 | 8,800円 | 売買価格の差 | 34,800円+売買価格の差 |
同じ金の投資信託でも、実質的な負担が年0.1838%程度の商品と年0.99%程度の商品では、10年の費用に約8万円の差が出ます。保有年数が長くなるほど、この差は広がります。
純金積立は保有中の費用が小さい一方、買うときの手数料と売るときの価格差がかかります。売買価格の差は、2026年10月22日の時点で約1.5%でした(後述)。
主な金の投資信託の信託報酬一覧
国内で販売されている主な金の投資信託を、運用会社名の五十音順に並べました。並び順は評価の順位ではありません。
| 商品名(愛称) | 運用会社 | 投資のしかた | 為替ヘッジ | 購入時手数料 | 信託報酬(ファンド分) | 実質的な負担 |
| SBI・iシェアーズ・ゴールドファンド(サクっと純金) | SBIアセットマネジメント | マザーファンド経由で金のETC・ETF | あり・なしの2本 | なし | 年0.0638% | 年0.1538%〜0.1838%程度 |
| ピクテ・ゴールド | ピクテ・ジャパン | 投資信託証券経由で金の現物 | あり・なしの2本 | 上限2.2% | 年0.539% | 上限 年0.789%程度(2026年7月末の試算値 年0.76%程度) |
| 三菱UFJ 純金ファンド(ファインゴールド) | 三菱UFJアセットマネジメント | 国内の金ETF(金の果実)経由 | なし(外貨建資産に投資しない) | 上限1.1% | 年0.55% | 年0.99%程度 |
いずれもNISAの成長投資枠の対象です。信託報酬はすべて税込の年率で、実質的な負担は投資先ETFなどの信託報酬を加えた値になります。
出典:SBIアセットマネジメント『SBI・iシェアーズ・ゴールドファンド 投資信託説明書(交付目論見書)』、ピクテ・ジャパン『ピクテ・ゴールド 投資信託説明書(交付目論見書)』、三菱UFJアセットマネジメント『三菱UFJ 純金ファンド 投資信託説明書(交付目論見書)』
三菱UFJ純金ファンドのコストと仕組み
三菱UFJ 純金ファンド(愛称:ファインゴールド)は、純金上場信託(金の果実)を主な投資対象とするファンドです。日本の取引所における金価格の値動きをとらえることをめざし、外貨建資産には投資しません。
実質的な負担が年0.99%程度と3本の中で大きいのは、国内ETFの信託報酬をファンドの外側でもう一度負担する仕組みのためです。
ファンドから金地金へ交換することはできず、ファンドが直接金地金を持つこともありません。金の現物を受け取りたい場合、この商品は対象外になります。
サクっと純金の信託報酬と為替ヘッジ
「サクっと純金」は、SBIアセットマネジメントが運用するSBI・iシェアーズ・ゴールドファンドの愛称です。名前に純金とありますが、貴金属会社の純金積立とは別の、投資信託という商品になります。
為替ヘッジありとなしの2本があり、費用は同じです。ヘッジありとなしでは値動きが違い、ヘッジありは為替変動の影響を抑える代わりに、為替ヘッジコストがかかります。ヘッジなしは、投資先の通貨に対して円高になると基準価額の下落要因になります。
出典:SBIアセットマネジメント『SBI・iシェアーズ・ゴールドファンド 投資信託説明書(交付目論見書)』
購入時手数料は販売会社で変わる
同じファンドでも、購入時手数料は販売会社ごとに違います。目論見書に書かれているのは上限の率で、実際の率は販売会社が決めます。
SBI証券は、インターネットコースの投資信託の買付手数料を原則無料としています。一部の銘柄は対象外で、その場合は個別銘柄の画面で案内があります。
金ETFのデメリットとコスト
金ETFは証券取引所に上場している投資信託で、株と同じように取引時間中に売買します。金ETFと金の投資信託の仕組みの違いは、NISAで金を持つ方法の記事で扱っています。
純金上場信託(1540)のデメリット
純金上場信託(金の果実)は、国内に保管する金の現物を裏付けにしたETFです。信託報酬は年0.440%(2026年9月30日現在)で、下の表の4銘柄の中では高い水準にあります。
売買のたびに証券会社の売買委託手数料がかかり、水準は証券会社ごとに違います。取引所の価格は需給で動き、基準価額より高い値段や低い値段で取引されることもある点に注意が必要でしょう。
金の現物に換える小口転換は1kg以上5kg以内の1kg単位です。事務取扱手数料5,500円や改鋳費用・送料のほか、転換価格の10%に相当する消費税相当額もかかります。
出典:三菱UFJ信託銀行『投資家の皆様にご負担いただく費用について』、『純金上場信託(金の果実)』
国内上場の主な金ETFの経費率
国内の取引所で買える主な金ETFを、銘柄コード順に並べました。ETFでも信託報酬には2倍以上の差があります。
| 銘柄コード | 名称 | 管理会社・運用会社 | 信託報酬(年率) | 売買単位 |
| 1326 | SPDRゴールド・シェア | ワールド・ゴールド・トラスト・サービシズ | 総経費率0.40% | 1口 |
| 1328 | NEXT FUNDS 金価格連動型上場投信 | 野村アセットマネジメント | 0.176%(税込) | 1口 |
| 1540 | 純金上場信託(現物国内保管型) | 三菱UFJ信託銀行 | 0.440%(税込) | 1口 |
| 314A | iシェアーズ ゴールド ETF | ブラックロック・ジャパン | 0.2200%程度(税込) | 10口 |
1326は米国で設定された信託の総経費率で、2026年10月21日時点の値です。そのほかは2026年9月30日〜10月21日に各社が公表した値になります。
出典:ステート・ストリート『SPDR ゴールド・シェア』、野村アセットマネジメント『NEXT FUNDS 金価格連動型上場投信』、ブラックロック『iシェアーズ ゴールド ETF』
少額の積立がしにくい
取引所でのETFの売買は売買単位ごとで、1回に必要な金額は市場価格×売買単位で決まります。NEXT FUNDS 金価格連動型上場投信は、2026年10月21日時点で1口15,340円でした。
iシェアーズ ゴールド ETFのように、売買単位が10口の銘柄もあります。毎月決まった金額を積み立てたい場合は、100円から金額を指定できる投資信託のほうが細かく調整できるでしょう。
出典:野村アセットマネジメント『NEXT FUNDS 金価格連動型上場投信』、日本取引所グループ『SPDRゴールド・シェア 銘柄情報』
純金積立のデメリットとコスト
年会費と購入手数料の二重コスト
貴金属会社の純金積立は、積み立てる金額に応じた購入手数料に加えて、年会費がかかる場合があります。三菱マテリアルのマイ・ゴールドパートナーは年会費880円です。
積立購入手数料は、月額積立の合計が10,000円以上なら1,000円につき26円、10,000円未満なら1,000円につき31円です。率に直すと、月1万円未満は3.1%、1万円以上は2.6%になります。
年会費は、オンライントレードを申し込み、残高報告書などの郵送を止める手続きをすると無料になります。積立は3,000円以上1,000円単位で、保管料が無料の消費寄託で預けられます。
出典:三菱マテリアル『積立購入』、『マイ・ゴールドパートナー(会員制サービス)』、『年会費無料化』
売るときの価格差(スプレッド)
純金積立や金の現物は、買うときの小売価格と売るときの買取価格が違い、その差が実質的なコストになります。2026年10月22日に公表された1gあたりの価格は次のとおりです。
| 会社 | 店頭小売価格(税込) | 店頭買取価格(税込) | 差額 |
| 田中貴金属工業(9:30公表) | 23,215円 | 22,858円 | 357円 |
| 三菱マテリアル(10:00更新) | 23,199円 | 22,853円 | 346円 |
差額はどちらも小売価格の約1.5%で、価格が変わらなければ、買った直後に売ると約1.5%目減りします。田中貴金属工業では、500g未満の地金を売買すると地金代金とは別に手数料もかかります。
出典:田中貴金属工業『貴金属価格情報』、『売買価格と別途手数料』、三菱マテリアル『金価格推移』
証券会社の金積立のコスト
証券会社でも金の積立ができます。SBI証券と楽天証券は、どちらも買付時に代金の1.65%の手数料がかかり、売却時の手数料と年会費・保管料はかかりません。
SBI証券は1,000円から積み立てられます。買付価格と売却価格の間にはスプレッドがあり、手数料とは別のコストになる点は貴金属会社と同じです。証券会社の金積立も、NISAの対象にはなりません。
出典:SBI証券『1,000円からはじめる!SBI証券で純金積立投資』、楽天証券『金・銀・プラチナ取引 手数料』
金の買い方ごとの課税と控除
投資信託・ETFの売却益は一律20.315%
金の投資信託と金ETFの売却益は、上場株式と同じく20.315%(所得税15.315%・住民税5%)が課税されます。給与などの所得の額で税率が変わることはありません。
2027年1月1日から防衛特別所得税が加わりますが、課税率の合計は変わりません。
出典:三菱UFJ信託銀行『よくあるご質問』、SBIアセットマネジメント『SBI・iシェアーズ・ゴールドファンド 投資信託説明書(交付目論見書)』
純金積立・現物は総合課税の譲渡所得
純金積立や地金の売却益は譲渡所得として、給与所得などと合算する総合課税の対象です。譲渡所得には年間50万円の特別控除があり、他の譲渡益と合わせて50万円を超えた分が課税対象になります。
購入から5年以内に売ると短期譲渡所得、5年を超えてから売ると長期譲渡所得です。長期は、控除後の金額の2分の1だけが課税対象に入ります。
例えば5年を超えて持ち、売却益が150万円なら、(150万円−50万円)×2分の1で50万円が課税対象です。売却益とは、売却価格から取得価格と売却費用を引いた金額のことです。
田中貴金属工業は、支払金額が1回で200万円を超えた場合に支払調書を税務署へ提出すると案内しています。対象は金地金・金貨の売却と、純金積立の現金化です。
出典:国税庁『タックスアンサー 金地金の譲渡による所得』、田中貴金属工業『よくある質問 税金・支払調書』
損失が出たときの扱いの違い
投資信託・ETFの売却損は、その年の上場株式等の売却益や配当などと損益通算できます。控除しきれない損失は、確定申告をすれば翌年以降3年間繰り越せます。
この繰越控除は、上場株式や投資信託などの売却損が対象の制度です。金地金の売却損は、同じ年の他の譲渡所得の範囲で差し引けます。NISA口座の損失の扱いはNISAで元本割れしたときの解説を参照してください。
出典:SBI証券『譲渡損失の繰越控除制度を利用するには、どうすればよいですか?』、田中貴金属工業『よくある質問 税金・支払調書』
金の投資信託が向く人・向かない人
向かない人
利息や配当で毎年の収入を得たい人には、金の投資信託は合いません。金は値上がり益だけが収益で、三菱UFJ 純金ファンドのように分配を原則として抑える方針のファンドもあります。
数か月で売買を繰り返す人にとっては、購入時手数料のかかるファンドや、売買のたびに手数料がかかるETFの負担が重くなります。金の現物を手元に置きたい人も、投資信託では現物を受け取れません。
向く人
100円や1,000円といった少額から積み立てたい人には、金額を指定して買える投資信託が合います。ETFのように売買単位ごとの価格に縛られず、毎月の積立額を決められます。
金を自分で保管したくない人にも向いています。金の現物は保管場所の確保が必要で、盗難や紛失のリスクも伴います。NISAの成長投資枠で金を持ちたい場合も、金の投資信託か金ETFが対象です。
保有年数と金額で変わる買い方の目安
コストの比較表と試算から、条件ごとに費用が小さくなりやすい買い方を整理しました。どれを選ぶべきかではなく、費用の構造から見た目安です。
- 少額で長く持つ場合は、購入時手数料がなく実質的な負担が年0.2%を下回る投資信託が、保有中の費用を抑えやすい形です。
- まとまった金額を一度に買う場合は、信託報酬が年0.176%〜0.440%の金ETFも候補になり、売買委託手数料の水準で差が出ます。
- 金の現物を手元に持ちたい場合は純金積立か地金になり、買付手数料と、店頭価格で約1.5%の売買価格の差を含めて考える必要があります。
金の投資信託のよくある質問
為替ヘッジありとなしの違いは?
ヘッジなしは為替の影響をそのまま受け、円高は基準価額の下落要因、円安は上昇要因になります。ヘッジありは米ドル建ての金価格の値動きを概ねとらえることをめざし、円金利が低い間は金利差相当分のヘッジコストがかかります。
出典:ピクテ・ジャパン『ピクテ・ゴールド 投資信託説明書(交付目論見書)』
金の投資信託は元本保証?
元本保証はありません。金の価格が下がれば基準価額も下がり、投資した元本を割り込むことがあります。
投資信託は預金保険の対象ではなく、銀行などの登録金融機関で買った投資信託は投資者保護基金の支払対象にもなりません。
出典:SBIアセットマネジメント『SBI・iシェアーズ・ゴールドファンド 投資信託説明書(交付目論見書)』
金の投資信託はいくらから買える?
SBI証券の積立買付なら100円から買えます。一部の投資信託は、1,000円以上1円単位、または10,000円以上1,000円単位からの買付になります。
出典:SBI証券『投資信託』
金の投資信託とETFはどっちが安い?
保有中の費用だけで比べると、実質的な負担が年0.1538%〜0.1838%程度の投資信託と、信託報酬が年0.176%のETFはほぼ同じ水準です。ETFは売買のたびに証券会社の手数料がかかるため、売買の回数と金額で総額が変わります。
まとめ
金の投資信託をおすすめしないと言われる理由は、信託報酬が保有中ずっとかかること、金が利息も配当も生まないこと、為替ヘッジのコスト、ETF経由の上乗せ、購入時手数料の5つです。
同じ金の投資信託でも、実質的な負担は年0.1538%程度から年0.99%程度まで開きがあります。純金積立は買付手数料と売買価格の差(店頭価格で約1.5%)、金ETFは売買委託手数料が別にかかります。
NISAの成長投資枠で金を持つ場合の枠と対象商品は、NISAでゴールド(金)は買えるかの解説で確認してください。
100万円を10年持つ試算では、実質的な負担が年0.1838%程度の商品と年0.99%程度の商品で、費用に約8万円の差が出ました。
購入時手数料をかけずに少額から積み立てるなら、インターネットコースの投資信託の買付手数料が原則無料で、100円から積立買付ができるSBI証券の口座が使えます。





