NISAの配当金は非課税?|株式数比例配分方式と受取方式の違い
NISA口座で買った株の配当金は、受取方法の設定しだいで非課税にも課税にもなります。初期設定のままで非課税になっているかは、証券会社の画面で確かめる必要があります。
非課税になるのは、配当金の受取方法に株式数比例配分方式を選び、配当基準日までに登録が済んでいる場合だけです。ほかの3つの方式で受け取ると課税扱いになります。
受取方式4種類の違い、設定の確認と変更の手順、投資信託の分配金や外国株の配当の扱いが分かります。
- 3行要約
①上場株式・ETF・REITの配当は株式数比例配分方式で受け取った分だけ非課税
②登録配当金受領口座方式・単純取次ぎ方式・配当金領収証方式の配当は課税対象
③投資信託の分配金は受取方式の登録が不要、外国株配当の外国税は控除対象外
NISAの配当金が非課税になる条件
NISA口座で取得した上場株式等の配当金は非課税です。ただし非課税になるのは、配当金の受取方法に「株式数比例配分方式」を選んだものだけに限られます。
国税庁のタックスアンサーは、非課税の配当等を「非課税口座を開設している金融商品取引業者等を経由して交付されるもの」に限っています。発行会社から直接受け取る配当は、NISA口座の株式でも課税扱いです。
この扱いは2023年までの一般NISA・つみたてNISA、ジュニアNISAでも同じでした。つみたて投資枠と成長投資枠のどちらで取得したかも問いません。
出典:国税庁『NISA制度』
対象は上場株式の配当とETF・REITの分配金
受取方式の選択が関係するのは、取引所に上場している商品の配当金です。証券保管振替機構は、受取方法の対象を「振替株式等の配当金(ETF、REIT 等の分配金を含みます。)」と定めています。
金融庁の資料も、国内株式の配当金について説明したうえでETF・REITの分配金も同様と明記しています。一方で上場していない投資信託の分配金は扱いが違うため、詳しくは後半のH2「投資信託の分配金の扱い」を参照してください。
NISAで個別株やREITを買えるのは成長投資枠です。つみたて投資枠の対象は一定の投資信託に限られます。
出典:証券保管振替機構『振替株式等の配当金の受取方法のご案内』、金融庁『NISAを利用する皆さまへ』
方式の登録は配当基準日までに完了
株式数比例配分方式で受け取るには、その銘柄の配当基準日までに、申込み内容が証券会社等を通じて証券保管振替機構へ取り次がれている必要があります。申込みから取次ぎまでに要する日数は証券会社によって異なります。
SBI証券は、配当の権利確定日以降に同方式を登録した場合、NISA口座の株式でも配当金は非課税にならないと注意を促しています。株を買ってから設定するのではなく、買う前に受取方式を確かめておくのが確実でしょう。
出典:証券保管振替機構『配当金の受取方法に関するQ&A』、SBI証券『NISA口座預りの国内上場株式の配当金を非課税にするために、配当金受領方法は何を登録すればいいのか教えてください。』
配当金の受取方式4種類の比較
上場株式の配当金の受取方法は4種類あります。NISA口座の配当が非課税になるのは株式数比例配分方式だけで、残りの3方式で受け取ると課税扱いです。
| 受取方式 | 受け取る場所 | 適用範囲 | 他の方式との併用 | NISA口座の配当 |
| 株式数比例配分方式 | 証券会社等の口座 | すべての銘柄 | できない | 非課税 |
| 登録配当金受領口座方式 | 指定した1つの預金口座 | すべての銘柄 | できない | 課税扱い |
| 単純取次ぎ方式 | 銘柄ごとに指定した預金口座 | 指定した銘柄 | 上の2方式とはできない | 課税扱い |
| 配当金領収証方式 | ゆうちょ銀行等の窓口 | 受取方法を選んでいない銘柄 | ― | 課税扱い |
方式の名称は証券会社等によって異なります。金融庁の資料では、単純取次ぎ方式を「個別銘柄指定方式」と表記しています。
出典:証券保管振替機構『振替株式等の配当金の受取方法のご案内』、金融庁『NISAを利用する皆さまへ』、国税庁『NISA制度』
株式数比例配分方式
証券会社等の口座の残高に応じて、証券会社等を通じて配当金を受け取る方式です。残高は配当基準日時点のものが使われます。
同じ銘柄を2社の口座で持っている場合は、それぞれの口座の株数に応じて配当金が分かれて入ります。たとえばA証券で200株、B証券で100株なら、1株10円の配当はA証券に2,000円、B証券に1,000円です。
登録配当金受領口座方式
あらかじめ指定した1つの金融機関の預金口座で、保有するすべての銘柄の配当金を受け取る方式です。指定できるのは普通預金か当座預金で、貯蓄預金は指定できません。
配当金は合算されず、それぞれの発行会社から振り込まれます。
単純取次ぎ方式
銘柄ごとに、あらかじめ指定した預金口座で配当金を受け取る方式です。手続きは、その銘柄の残高がある証券会社等に対して銘柄ごとに行います。
この方式を使っていても、振込先を指定していない銘柄には配当金領収証方式が適用されます。株式数比例配分方式や登録配当金受領口座方式とは併用できません。
配当金領収証方式
発行会社から郵送される配当金領収証を、ゆうちょ銀行等の窓口に持参し、引き換えに配当金を受け取る方式です。特段の手続きなしで使えます。
証券保管振替機構は、受取方法を選択していない場合には配当金領収証方式が適用されると案内しています。NISA口座で配当を非課税にしたいなら、自分の受取方式が何になっているかを口座で確かめてください。
なお松井証券は、2024年7月13日以降に口座を開設した場合、配当金受領方式が株式数比例配分方式になると案内しています。同日時点で口座開設済みでも、受領方式が「指定なし」かつ加入者口座コードが未登録なら同じ扱いです。
出典:証券保管振替機構『振替株式等の配当金の受取方法のご案内』、松井証券『株式数比例配分方式とはなんですか。』
株式数比例配分方式の注意点
株式数比例配分方式には、仕組み上の制約がいくつかあります。NISA口座以外の口座や、ほかの証券会社にも設定が及ぶ点を先に押さえておきましょう。
1社で申し込むと全証券会社に適用
取引している証券会社が複数あっても、1社に株式数比例配分方式を申し込めば、他社で保有している銘柄も含めたすべての銘柄に同方式が適用されます。他の方式との併用はできません。
同じ銘柄について、口座ごとに異なる受取方法を指定することもできない仕組みです。別の証券会社で手続きをしたら、もう一方の口座の受取方式まで変わっていた、という現象はこの仕組みから起きます。
出典:証券保管振替機構『振替株式等の配当金の受取方法のご案内』、『配当金の受取方法に関するQ&A』
NISA口座だけを比例配分にはできない
SBI証券は、株式数比例配分方式を登録するとNISA口座だけでなく特定口座・一般口座で保有する株式等の配当金も同方式で支払われると説明しています。NISA口座のみを同方式で登録することはできません。
そのため課税口座で持っている株の配当も、銀行口座ではなく証券口座に入るようになります。特定口座とNISA口座の使い分けは、特定口座とNISA口座の違いを扱う記事で解説します。
出典:SBI証券『NISA口座預りの国内上場株式の配当金を非課税にするために、配当金受領方法は何を登録すればいいのか教えてください。』
特別口座があると使えない
信託銀行等に特別口座を持っていると、株式数比例配分方式は使えません。特別口座は、株券を持ったまま株券電子化を迎えた株主の権利を守るため、発行会社が信託銀行等に開設した口座です。
使えるようにするには、特別口座の残高を証券会社の口座へ振り替えるか、単元未満株の買取請求を行って特別口座を閉鎖します。そのうえで証券会社に同方式を申し込む順序です。
特別口座がどの信託銀行等にあるか分からないときは、証券会社を通じて証券保管振替機構へ加入者情報の開示請求をすると確認できます。ただし分かるのは開設先の名称で、銘柄と残高は確認できません。
マネックス証券は、特別口座の閉鎖後に改めて株式数比例配分方式へ変更する手続きが要ると案内しています。
出典:証券保管振替機構『配当金の受取方法に関するQ&A』、マネックス証券『配当金の受取方法を、株式数比例配分方式に変更できないのはなぜですか?』
特定口座の配当は譲渡損失と自動で通算
株式数比例配分方式で配当金を特定口座(源泉徴収選択口座)に受け入れると、同じ特定口座内の譲渡損失と損益通算されます。損益通算のための確定申告は不要です。
一方で、NISA口座で出た売却損は特定口座や一般口座の配当・譲渡益と通算できません。NISA口座の損失は「ないもの」とみなされ、繰越控除もできない扱いです。
出典:証券保管振替機構『振替株式等の配当金の受取方法のご案内』、国税庁『NISA制度』
受取方式の確認と変更の手順
受取方式の確認と変更は、取引している証券会社の画面から行います。変更の申込みは1社で足りますが、単純取次ぎ方式だけは銘柄の残高がある証券会社へ申し込みます。
- 証券会社にログインし、現在の配当金の受取方式を確認する
- 株式数比例配分方式以外なら、同じ画面から変更を申し込む
- 保有銘柄の配当基準日までに、申込みが証券保管振替機構へ取り次がれていることを確かめる
証券会社ごとの確認・変更画面
SBI証券は、ログイン後の「My設定」>「お取引関連・口座情報」>「配当金受領サービス」欄で受取方式を確認・変更できます。
松井証券は、ログイン後の【口座管理】-【登録情報】画面にある「配当金受領方式変更」から手続きします。変更後の受取方法は、変更後に権利確定した銘柄から適用されます。
マネックス証券は、ウェブサイトから変更手続きをした場合、登録までに2営業日かかります(営業日の20時締切)。国内株式の預りが一度もないと、受取方法は変更できません。
出典:SBI証券『NISA口座預りの国内上場株式の配当金を非課税にするために、配当金受領方法は何を登録すればいいのか教えてください。』、松井証券『配当金の受取方法を変更するにはどうすればいいですか。』、マネックス証券『配当金の受取方法を、株式数比例配分方式に変更できないのはなぜですか?』
変更の申込み期限は配当基準日
配当基準日以降に申し込むと、新しい方式での受取りは次回の配当基準日の配当金からになることがあります。申込手続に要する日数は証券会社等によって異なります。
株式数比例配分方式から別の方式へ戻す場合も、同じく配当基準日までに取次ぎが済んでいる必要があります。
意図しない方式で支払われたときの連絡先
選んだはずの方式と違う方法で配当金が支払われたときは、その銘柄の株主名簿管理人である信託銀行等に連絡します。証券保管振替機構に原因の調査を依頼してほしい、と伝えるのが手順です。
証券保管振替機構は申込みを受け付けた証券会社等を調べて連絡し、その証券会社等から経緯が説明されます。
課税された配当金の税率と確定申告
株式数比例配分方式以外で受け取ったNISA口座の配当金は、課税口座の配当と同じく課税されます。NISA口座で保有していても、受取方式によっては税が差し引かれる点に注意してください。
税率は20.315%
配当金にかかる税率は20.315%です。金融庁の資料によると、内訳は所得税15%、地方税5%、復興特別所得税0.315%になります。
SBI証券は、2037年12月31日までは復興特別所得税の対象となるため20.315%の税率になると説明しています。
出典:金融庁『NISAを利用する皆さまへ』、SBI証券『NISA口座預りの国内上場株式の配当金を非課税にするために、配当金受領方法は何を登録すればいいのか教えてください。』
確定申告で損益通算できる場合
株式数比例配分方式を選ばなかったために非課税にならなかった配当は、確定申告をすれば特定口座や一般口座で保有する他の上場株式等の売買損失と損益通算できます。SBI証券のFAQがこの扱いを示しています。
NISAと年末調整・確定申告の関係そのものは、NISAの年末調整を扱う記事で整理しています。
出典:SBI証券『NISA口座預りの国内上場株式の配当金を非課税にするために、配当金受領方法は何を登録すればいいのか教えてください。』
投資信託の分配金の扱い
投資信託の分配金は、決算時に投資信託の収益等の一部を受益者に分配するものです。決算時点で保有している口数に応じて支払われ、分配した分だけ基準価額は下がります。
普通分配金と元本払戻金の違い
分配金には普通分配金と元本払戻金(特別分配金)の2種類があります。NISAの非課税で意味を持つのは普通分配金の側です。
| 種類 | 中身 | 課税口座での扱い | NISA口座での扱い |
| 普通分配金 | 投資家にとって利益となる部分 | 課税 | 非課税 |
| 元本払戻金(特別分配金) | 投資家にとって元本の払戻しとなる部分 | 非課税 | 非課税 |
元本払戻金は、NISA口座に限らず非課税です。もともと非課税の部分なので、NISA口座で受け取っても税の扱いは課税口座と変わりません。
SBI証券は、元本払戻金は元本の一部払戻しに相当するため、受け取ると個別元本が減額修正されると説明しています。
出典:金融庁『NISAを利用する皆さまへ』、松井証券『NISA口座で購入した投資信託の分配金は非課税になりますか。』、SBI証券『元本払戻金(特別分配金)を受取った場合はどうなりますか?』
投資信託の分配金は受取方式の登録が不要
NISA口座で買った投資信託の普通分配金は、株式数比例配分方式を指定しなくても非課税です。松井証券は、再投資・受取のどちらの分配金コースでも源泉徴収はされないと説明しています。
受取方式の登録が要るのは、上場しているETFとREITの分配金です。同じ投資信託の仲間でも、上場商品かどうかで手続きの要否が分かれます。
分配金の再投資と非課税投資枠
松井証券では、分配金の再投資で非課税投資枠の上限を超える場合、普通分配金の全額を特定口座(未開設なら一般口座)で再投資します。そこで再投資された分の普通分配金と解約益は課税対象です。
つみたて投資枠で持つ投資信託の場合、同社はつみたて投資枠、成長投資枠、特定口座(未開設なら一般口座)の順で再投資します。この順序は松井証券の取扱いです。
出典:松井証券『NISA口座で購入した投資信託の分配金は非課税になりますか。』
毎月分配型の投資信託はNISAの対象外
金融庁の資料(令和7年9月改訂版)は、つみたて投資枠の対象商品の要件に「毎月分配型でない」ことを挙げています。成長投資枠でも、毎月分配型の投資信託は投資対象から除外されています。
そのためNISAで買える投資信託に、毎月分配型の商品は含まれません。分配金を出すかどうか、どの頻度で出すかは商品ごとの運用方針で決まります。
外国株式の配当金と外国税
NISA口座で受け取る外国株式の配当でも、外国の法令で課された税の扱いには注意が要ります。
外国税額控除の対象外
外国税額控除は、外国の法令で課された所得税に相当する税(外国所得税)を、日本の所得税額から差し引く制度です。
国税庁は、控除の対象にならない外国所得税額の一つに非課税口座内上場株式等の配当等に対して課される外国所得税額を挙げています。NISA口座の外国株の配当に外国で課された税は、確定申告をしても外国税額控除で取り戻せません。
国内上場の外国株式の配当金
SBI証券は、国内上場外国株式の配当金等は株式数比例配分方式の適用外となるため課税対象になると注意を促しています。NISA口座で保有していても、同社ではこの扱いです。
出典:SBI証券『NISA口座預りの国内上場株式の配当金を非課税にするために、配当金受領方法は何を登録すればいいのか教えてください。』
よくある質問
NISAで配当金はもらえる?
もらえます。NISA口座で保有する株式の配当金も、課税口座と同じく発行会社から支払われます。非課税で受け取るには株式数比例配分方式の選択が条件です。
NISAで毎月配当金はもらえる?
配当を受け取る権利が確定する日は企業によって異なります。毎月分配型の投資信託はつみたて投資枠・成長投資枠とも対象外です。
積立NISAで分配金がもらえないのはなぜ?
つみたて投資枠の対象は毎月分配型でない投資信託で、分配金を出すかどうかは商品ごとの方針で決まります。分配金を出さない方針の投資信託なら、保有していても分配金は入りません。
NISAの配当金はどこに入る?
株式数比例配分方式なら、株を預けている証券会社の口座に入ります。複数の証券会社で同じ銘柄を持つ場合は、各社の保有残高に応じてそれぞれの口座に入金されます。
NISAの配当金はいつ入る?
配当を受け取るには、権利確定日に株主名簿に登録されている必要があります。株式の受渡しには2営業日かかるため、権利確定日の2営業日前の権利付最終日までに買い付けておく必要があります。
権利確定日は企業によって異なります。入金の時期は、保有銘柄の発行会社が公表する配当の情報で確かめてください。
NISAで株主優待はもらえる?
株主優待は、配当と同じく株主に与えられる権利です。
優待を受けるにも、権利付最終日までに現物株式を買い付けて株主になる必要があります。権利付最終日の夜間PTSで買い付けた株式は翌営業日扱いとなり、優待の権利が付かない点に注意してください。
出典:松井証券『配当金・株主優待狙いの長期投資』、『株式数比例配分方式とはなんですか。』、金融庁『NISAを利用する皆さまへ』
まとめ
NISA口座の配当金が非課税になるのは、受取方法に株式数比例配分方式を選び、配当基準日までに登録が済んでいる場合です。登録配当金受領口座方式・単純取次ぎ方式・配当金領収証方式で受け取ると課税扱いになります。
同方式は1社で申し込むと全証券会社のすべての銘柄に及び、NISA口座だけに設定することはできません。特別口座があると使えないため、閉鎖してから申し込みます。
投資信託の分配金は登録なしで非課税で、元本払戻金はもともと非課税です。外国株の配当に外国で課された税は、外国税額控除の対象になりません。

