プラチナNISAはどうなった?いつから始まるのか税制改正の経緯で確認

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2025年に話題になった高齢者向けの「プラチナNISA」は始まったのか、いつから使えるのか。自分や親のために、制度の今を確かめたい人もいるでしょう。

2026年10月2日時点で制度はありません。2025年12月の令和8年度税制改正の大綱に高齢者だけの措置は入らず、2026年8月の令和9年度要望にも項目はありません。

国会と金融庁の記録に残る提言の中身、大綱までの経緯、懸念と賛成の意見、今のNISAの年齢要件と対象商品のルールが分かります。

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3行要約

①プラチナNISAは自民党の議員連盟が提言した高齢者向け案で、2026年10月2日時点で制度は未成立
②2025年12月26日の税制改正大綱でも、高齢者限定の枠や毎月分配型の解禁は不記載
③2026年8月の令和9年度税制改正要望でも、高齢者向けの項目はゼロ

プラチナNISAはどうなった?

2026年10月2日時点で、「プラチナNISA」という制度はありません。高齢者向けのNISAとして自民党の議員連盟が提言し、国会でも取り上げられましたが、税制改正の大綱には入っていません。

金融庁は2025年8月の令和8年度税制改正要望で、あらゆる世代を対象に「対象商品の拡充等」を挙げました。同年12月26日に閣議決定した令和8年度税制改正の大綱には、高齢者だけを対象にした措置はありません。

政府資料に「見送り」という言葉は出てきません。事実として言えるのは、令和8年度税制改正の大綱に入らなかったということです。2026年8月の令和9年度要望にも、高齢者向けの項目は見当たりません。

項目2026年10月2日時点の状態確認した資料
高齢者だけのNISAの枠大綱に入らず。公的資料に記載なし令和8年度税制改正の大綱
対象年齢の線引き公的資料に記載なし大綱・金融庁の税制改正要望
非課税の限度額公的資料に記載なし大綱・金融庁の税制改正要望
毎月分配型の投資信託の解禁大綱に入らず。現行は両枠とも対象外大綱・日本証券業協会のQ&A
スイッチングの解禁大綱に入らず令和8年度税制改正の大綱
つみたて投資枠で指定指数に連動しない投資信託の要件を「主に株式又は公社債」へ広げる改正決定。2026年4月1日から適用(全世代向け)金融庁の告示改正
つみたて投資枠の定期売却サービスの手数料決定。2026年4月1日から適用(全世代向け)金融庁の告示改正

出典:財務省『令和8年度税制改正の大綱』、金融庁『「非課税口座に受け入れることができる上場株式等の範囲に関する基準」の一部改正について』、日本証券業協会『2024年以降のNISAに関するQ&A』

プラチナNISAとは?

プラチナNISAは、高齢者に限ってNISAの対象商品を広げ、スイッチングを認める案に付けられた呼び名です。法令や税制改正の大綱で使われた名称ではありません。

今回確認した公的資料のうち、この名前が出てくるのは国会の質疑と、金融庁が公開した有識者会合の議事録だけでした。

提言したのは自民党の議員連盟

2025年5月13日の参議院財政金融委員会で、加藤勝信財務大臣・内閣府特命担当大臣(金融)は提言の中身を次のように説明しました。

「自民党の資産運用立国議員連盟において、高齢者に限定して対象商品の拡大及びスイッチング解禁を図るプラチナNISAの導入など、退職世代向けの資産運用サービスの充実を含む提言が取りまとめられた」

そのうえで大臣は、NISAの活用を「どう進めていくのかということについて丁寧な検討を行っていきたい」と答えています。制度を設けると答えたわけではありません。

出典:国会会議録検索システム『第217回国会 参議院 財政金融委員会 第11号』

毎月分配型を対象にする案

同じ日の質疑では、質問した神谷宗幣議員が提言の中身を紹介しています。内容は「高齢者に限って毎月分配型の投資信託を買えるようにしたり、投資信託などのスイッチングですね、預け替えを認める」というものでした。

毎月分配型の話は議員による提言の紹介で、政府の答弁ではありません。同議員は、提言が2025年4月23日に出されたとも述べました。

出典:国会会議録検索システム『第217回国会 参議院 財政金融委員会 第11号』

年齢・限度額・対象商品は公的資料に記載なし

何歳から使えるのか、非課税の限度額はいくらか、どの商品が対象になるのかという3点は、今回確認した政府資料と国会会議録のどこにも数字や商品名として出てきません。

金融庁の令和8年度税制改正要望と令和8年度税制改正の大綱には、「プラチナ」という語もありませんでした。年齢や金額を裏付ける公的資料は、2026年10月2日時点で見つかっていません。

出典:金融庁『令和8(2026)年度 税制改正要望について』、財務省『令和8年度税制改正の大綱』

プラチナNISAの経緯

2025年4月から2026年8月までの動きを、国会会議録と金融庁・財務省の資料で並べると次のとおりです。国会でこの名前が出た発言は、2025年4〜6月に集まっています。

時期場・資料内容
2025年4月9日衆議院 財務金融委員会中西健治議員が「高齢者向けに、年齢を区切った上で、プラチナNISAみたいなものをつくったらいい」と発言
2025年5月13日参議院 財政金融委員会大臣が議員連盟の提言に触れ、「丁寧な検討を行っていきたい」と答弁
2025年6月10日参議院 財政金融委員会大臣が「党からはそういった御要望が出ていることは承知」と答弁
2025年6月18日税制のEBPMに関する専門家会合(第5回)金融庁の課長が「プラチナNISAみたいな話」に言及
2025年8月金融庁 令和8年度税制改正要望「対象商品の拡充等」を要望。「プラチナ」の語はなし
2025年12月26日令和8年度税制改正の大綱(閣議決定)つみたて投資枠で指定指数に連動しない投資信託の対象資産を「株式又は公社債」へ。高齢者限定の措置はなし
2026年3月31日所得税法等の一部を改正する法律の成立2026年4月1日に施行(別段の定めがあるものを除く)
2026年8月金融庁 令和9年度税制改正要望NISAの項目は当年中の枠の復活と、つみたて投資枠の要件の整備。高齢者向けの項目はなし

出典:国会会議録検索システム『第217回国会 衆議院 財務金融委員会 第15号』、財務省『第221回国会における財務省関連法律』

2025年4〜6月の国会と有識者会合

国会会議録検索システムで「プラチナNISA」を含む発言は、2026年10月2日時点で6件あり、すべて2025年4〜6月の発言です。内訳は衆議院財務金融委員会が1件、参議院財政金融委員会が5件でした。

6月10日の参議院財政金融委員会で、大臣は「幅広い世代においてNISAの活用をどう進めていくのか、これについて丁寧な検討を進めていきたい」と答えました。高齢者に限った制度を設けるとは述べていません。

6月18日の税制のEBPMに関する専門家会合では、金融庁の総合政策課長が発言しています。「巷間言われておりますプラチナNISAみたいな話を制度として何ができるかということとも絡みます」というものです。

出典:国会会議録検索システム『第217回国会 参議院 財政金融委員会 第17号』、金融庁『税制のEBPMに関する専門家会合(第5回)議事録(金融庁関係部分の抜粋)』

令和8年度の税制改正要望

金融庁は2025年8月の令和8年度税制改正要望で、「NISA対象商品の拡充を含む制度の充実」を挙げました。中身の一つは「様々な資産運用ニーズに応えるため、対象商品の拡充等」です。

要望書は政策目的の位置付けとして、「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画 2025年改訂版」の次の一文を引いています。

「高齢者を含めあらゆる世代がNISAの投資枠を活用することができ、計画的に資産運用を続けながらその成果を活用して生活に充てることができるよう、顧客本位の金融商品・サービスの提供を前提に、対象商品の拡大を含むNISA制度の充実を検討する」

要望資料にも要望書にも、「プラチナ」「毎月分配」という語はありません。対象の世代は「若年層や高齢層などを含め、あらゆる世代」と書かれていて、高齢者だけを対象にした要望ではありませんでした。

出典:金融庁『令和8(2026)年度 税制改正要望について』、財務省『令和8年度税制改正要望事項(金融庁)NISA対象商品の拡充を含む制度の充実』

令和8年度税制改正の大綱

2025年12月26日に閣議決定した令和8年度税制改正の大綱では、NISAの改正として口座開設可能年齢の下限の撤廃や、指定指数の追加が決まりました。高齢者だけの枠、毎月分配型の解禁、スイッチングの解禁はどれも入っていません。

高齢層に触れた改正は、つみたて投資枠で指定指数に連動しない投資信託の対象資産を「株式又は公社債(現行:株式)とする」ものです。

金融庁はこれを「リスク許容度が高くない若年層や高齢層などが投資の第一歩を踏み出せるよう」にする措置と注記しています。

つみたて投資枠の定期売却サービスに手数料を認める改正も入りました。金融庁の注記は「資産を運用しながらその成果を活用したいニーズに応える観点から」というもので、年齢による区別はありません。

出典:財務省『令和8年度税制改正の大綱』、金融庁『令和8(2026)年度税制改正について』

2026年8月の令和9年度要望

金融庁が2026年8月に公表した令和9年度税制改正要望で、NISAの項目に挙がったのは「非課税保有限度額の当年中の復活」と「つみたて投資枠における要件の整備」です。高齢者向けの項目はありません。

要望書の現状認識は「これまでの制度拡充を踏まえつつ、実務的な改善等を通じて、利便性の向上を進めることが必要」というものです。

2026年10月2日時点で、高齢者向けの検討が続いていることを示す政府資料は見当たりません。ただし、検討が終わったと書いた資料もありません。

出典:金融庁『令和9(2027)年度 税制改正要望について』

プラチナNISAの懸念と賛成の意見

制度ができていないため、メリットやデメリットを評価できる段階ではありません。ここでは国会と有識者会合の記録に残った発言を、懸念と賛成の両方とも原文の抜粋で並べます。

日付・場発言者発言(原文の抜粋)
2025年5月13日
参議院 財政金融委員会
神谷宗幣議員(質問者)「毎月分配型を投資対象に加えるということはこのNISAの制度趣旨にそぐわないようにも思えます」
2025年6月10日
参議院 財政金融委員会
柴愼一議員(質問者)「リスク商品に向かない高齢者に資産運用立国の実現という政策目的でNISAに誘導するということは、顧客本位の業務運営の視点からもちょっと問題があるんじゃないか」
2025年6月18日
EBPM専門家会合
國枝中央大学法学部教授「私の知る限り、高齢者のリスク投資を政策的に促進している国はない」
2025年6月18日
EBPM専門家会合
中空委員「特にプラチナNISAは毎月分配型が合致している」
2025年6月18日
EBPM専門家会合
熊谷委員「商品性をしっかり絞り込むとともに、金融経済教育を強化して、取り崩し分が運用の成果と誤解されないような仕組みを整えることができれば、NISAの選択肢に加えて、国民の選択の幅を広げることには一定の合理性がある」

懸念として挙がったのは、毎月分配型がNISAの長期投資の趣旨に合うのかという点と、高齢者をリスクのある商品へ誘導することへの疑問です。國枝教授は、議論の前提として「データ、そして、分析と議論が不可欠」とも述べました。

一方で中空委員は毎月分配型が合うとし、熊谷委員は商品性の絞り込みと金融経済教育を条件に一定の合理性があると述べています。どちらの立場の発言も、2026年10月2日時点で制度の形にはなっていません。

出典:国会会議録検索システム『第217回国会 参議院 財政金融委員会 第11号』、『第217回国会 参議院 財政金融委員会 第17号』、金融庁『税制のEBPMに関する専門家会合(第5回)議事録(金融庁関係部分の抜粋)』

プラチナNISAはいつから?

2026年10月2日時点で、プラチナNISAが始まる時期を示した政府資料はありません。始まる時期を判断する手がかりとして、令和8年度のNISA改正がどの順番で決まり、施行されたのかを確認しておきます。

令和8年度改正で見る税制改正の順番

令和8年度のNISA改正は、要望から施行まで5つの段階を次の順番で進みました。

  1. 2025年8月:金融庁が令和8年度税制改正要望を公表
  2. 2025年12月26日:令和8年度税制改正の大綱を閣議決定
  3. 2026年2月20日:所得税法等の一部を改正する法律案を国会に提出
  4. 2026年3月31日:同法が成立・公布され、つみたて投資枠の告示改正も公布
  5. 2026年4月1日:法律の施行(別段の定めがあるものを除く)と告示改正の適用

大綱で決まった改正でも、始まる時期は項目ごとに違います。0歳からNISA口座を開設できるようになるのは2027年からです。

出典:財務省『第221回国会における財務省関連法律』、金融庁『「非課税口座に受け入れることができる上場株式等の範囲に関する基準」の一部改正について』、日本証券業協会『2024年以降のNISAに関するQ&A』

2026年10月時点で決まっている時期

上の順番の入口にあたる税制改正要望のうち、令和9年度(2027年度)分に高齢者向けの項目は入っていません。決まっている時期は1つもないというのが、2026年10月2日時点の答えになります。

ただし、要望に項目がないことと、今後の大綱で扱われないことは同じではありません。令和8年度の大綱は2025年12月26日に閣議決定されたので、次に状況を確かめられる区切りは令和9年度の大綱でしょう。

出典:金融庁『令和9(2027)年度 税制改正要望について』

現行NISAの年齢要件と対象商品のルール

プラチナNISAが無くても、今のNISAで決まっているルールは次のとおりです。高齢者向けの特別な枠はありませんが、口座を開設できる年齢の上限も示されていません。

NISA口座を開設できる年齢

金融庁は、NISA口座は日本国内に住んでいる18歳以上なら誰でも開設できると説明していて、上限の年齢は示していません。18歳かどうかは、利用する年の1月1日時点で判定するのがルールです。

2027年からは18歳未満も口座を開設できるようになります。日本証券業協会のQ&Aは、2027年以降のNISA口座を「年齢にかかわらずどなたでも利用することができます」と説明しています。

2024年からのNISAは非課税保有期間が無期限です。保有期間の期限を気にせず、口座内で持ち続けられます。

出典:金融庁『NISAを知る』、日本証券業協会『2024年以降のNISAに関するQ&A』

毎月分配型の投資信託は両枠とも対象外

成長投資枠では、信託期間20年未満、毎月分配型の投資信託およびデリバティブ取引を用いた一定の投資信託等が除外されています。つみたて投資枠も、毎月分配型の公募株式投資信託を受け入れられません。

出典:金融庁『NISAを知る』、日本証券業協会『2024年以降のNISAに関するQ&A』

つみたて投資枠に債券中心の投資信託が加わった改正

2026年4月1日から、指定指数に連動しない公募株式投資信託について、主たる投資対象の要件が変わりました。「主に株式に投資するもの」から「主に株式又は公社債に投資するもの」への改正です。

経緯の章で触れたとおり、金融庁はこの改正の対象に若年層と高齢層を並べて挙げています。高齢者に限った改正ではありません。

出典:金融庁『「非課税口座に受け入れることができる上場株式等の範囲に関する基準」の一部改正について』

定期売却サービスの手数料

つみたて投資枠の売買手数料はゼロとされてきました。2026年4月1日からは、定期売却サービスに限り、サービスに通常必要と認められる手数料の徴収が可能になっています。

告示改正の内容に、利用者の年齢による区別はありません。

出典:金融庁『「非課税口座に受け入れることができる上場株式等の範囲に関する基準」の一部改正について』

売却して取り崩すことはいつでも可能

NISA口座で投資した上場株式や公募株式投資信託等は、口座内で保有している限りいつでも非課税で売却できます。

売却した場合、翌年以降に売却した商品の簿価の分だけ非課税投資枠が復活します。売却した年のうちに枠は戻りません。

出典:日本証券業協会『2024年以降のNISAに関するQ&A』、金融庁『NISAを知る』

プラチナNISAのよくある質問

プラチナNISAは結局どうなった?

2026年10月2日時点で、制度としては始まっていません。令和8年度税制改正の大綱に高齢者だけの措置は入らず、令和9年度要望にも項目がない状態です。

プラチナNISAは何歳から使える?

制度がなく、対象年齢を定めた公的資料もありません。今のNISAは、2026年中は日本国内に住んでいる18歳以上が口座を開設でき、2027年からは18歳未満も開設できるようになります。

出典:金融庁『NISAを知る』、日本証券業協会『2024年以降のNISAに関するQ&A』

毎月分配型の投資信託は今のNISAで買える?

成長投資枠・つみたて投資枠のどちらでも買えません。毎月分配型は両方の枠で対象から外れています。

出典:日本証券業協会『2024年以降のNISAに関するQ&A』

まとめ

2026年10月2日時点で、プラチナNISAは制度になっていません。2025年4〜6月に国会と有識者会合で名前が出ましたが、令和8年度税制改正の大綱に高齢者だけの措置は入りませんでした。

決まったのは、つみたて投資枠で指定指数に連動しない投資信託の要件を「主に株式又は公社債に投資するもの」へ広げた改正と、定期売却サービスの手数料の改正です。

どちらも2026年4月1日から適用され、年齢で区別しない全世代向けの改正でした。

2026年8月の令和9年度要望にも、高齢者向けの項目はありません。今後の動きは、金融庁の税制改正要望と税制改正の大綱で確かめられます。

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