NISAのつみたて投資枠と成長投資枠の違いは?|対象商品と使い分け
NISAの口座には、つみたて投資枠と成長投資枠の2つの枠があります。名前は似ていますが、買える商品と買い方、1年間に投資できる金額が違います。
つみたて投資枠は金融庁の要件を満たす投資信託を積立で買う枠で年120万円、成長投資枠は上場株式や投資信託を一括でも積立でも買える枠で年240万円までです。
2つの枠の比較表、2026年4月の対象商品の拡充、併用の仕方、先に使う枠の決め方が分かります。
- 3行要約
①つみたて投資枠は金融庁の要件を満たす投資信託を積立で買う枠で年間投資枠120万円
②成長投資枠は上場株式や投資信託を一括でも積立でも買える枠で年間投資枠240万円
③2つの枠は1つのNISA口座で併用でき、先に使う枠は買い方と投資額で判断
NISAのつみたて投資枠と成長投資枠の違い
2つの枠の違いは、買える商品、買い方、1年間に投資できる金額の3点にあります。非課税で持ち続けられる期間や、売却益と配当・分配金が非課税になる点は、どちらの枠でも変わりません。
「積立投資枠」「積立NISA」と呼ばれることもありますが、制度上の名称は「つみたて投資枠」です。
| 項目 | つみたて投資枠 | 成長投資枠 |
| 買える商品 | 長期の積立・分散投資に適した一定の投資信託(ETFを含む) | 上場株式・ETF・上場REIT・投資信託など |
| 買い方 | 定期的に継続して買う積立だけ | 一括買付と積立の両方 |
| 年間投資枠 | 120万円 | 240万円 |
| 非課税保有限度額 | 2つの枠の合計で1,800万円(うち成長投資枠は1,200万円まで) | |
| 非課税保有期間 | 無期限 | 無期限 |
| 対象年齢 | 18歳以上(その年の1月1日時点) | 18歳以上(その年の1月1日時点) |
| 向いている使い方 | 毎月決まった額を投資信託で積み立てる | まとまった資金で一括で買う、株式やREITを買う |
2つの枠の年間投資枠を合わせると年360万円になります。対象年齢は2026年までの要件で、2027年からは18歳未満もNISA口座を使えるようになり、その場合に使えるのはつみたて投資枠だけです。
出典:金融庁『NISAを知る』、国税庁『タックスアンサー NISA制度』、日本証券業協会『2024年以降のNISAに関するQ&A』
2つの枠で共通するルール
非課税保有期間は2つの枠とも無期限で、2024年に始まった制度は恒久化されています。売却益と配当・分配金の両方が非課税になる点も、2つの枠で共通です。
NISA口座は1人につき1口座だけ開設でき、2つの枠はその口座の中に設けられます。上場株式の配当金を非課税で受け取るには、受取方法を株式数比例配分方式にしておく必要があります。
出典:金融庁『NISAを知る』、国税庁『タックスアンサー NISA制度』
つみたて投資枠とは
つみたて投資枠は、金融庁が定めた要件を満たす投資信託とETFを、積立で買うための枠です。年間投資枠は120万円で、つみたて投資枠だけで非課税保有限度額の1,800万円を使い切ることもできます。
対象は金融庁の基準を満たす投資信託
対象は、長期の積立・分散投資に適した一定の商品性を持つ公募株式投資信託とETFに限られます。上場株式や上場REIT、毎月分配型の投資信託は買えません。
投資信託に求められる主な要件は次のとおりです。
- 信託契約期間が無期限または20年以上であること
- ヘッジ目的などを除き、デリバティブ取引による運用を行わないこと
- 毎月分配型でないこと
- 販売手数料が0%(ノーロード)であること。ETFの売買手数料は1.25%以下
- インデックス運用の投資信託は、金融庁が指定した指数に連動するものであること
アクティブ運用の投資信託は、純資産額50億円以上、運用実績5年以上、信託期間の3分の2以上で資金流入超という実績が求められます。
指定指数に連動する投資信託の信託報酬は、投資先が国内なら0.5%、内外・海外なら0.75%が法令上の上限です。2026年9月30日時点の平均は、それぞれ0.27%と0.34%でした。
金融庁の公表では、2026年9月30日時点の対象商品は371本です。このうちETFは11本で、残りは公募投資信託となっています。
出典:金融庁『つみたて投資枠対象商品の概要について』、『NISAを利用する皆さまへ』、日本証券業協会『2024年以降のNISAに関するQ&A』
2026年4月の対象商品の拡充
金融庁は告示を改正し、2026年4月1日からつみたて投資枠で買える商品の範囲を広げました。指定指数には、読売株価指数とJPXプライム150指数の2つが加わっています。
一定の指定株式指数については、ほかの指定指数と組み合わせなければならないという要件もなくなりました。
指定指数に連動しない投資信託の要件も変わり、主な投資対象が「主に株式に投資するもの」から「主に株式又は公社債に投資するもの」になりました。同じ改正で、定期売却サービスに限って手数料を取ることも認められています。
この拡充は2026年4月に適用済みで、2027年1月から始まる18歳未満の利用とは別の改正です。なお預金や国債・社債そのもの、公社債投資信託は、2つの枠とも対象外です。
出典:金融庁『「非課税口座に受け入れることができる上場株式等の範囲に関する基準」の一部改正について』、日本証券業協会『2024年以降のNISAに関するQ&A』
買い方は定期的な積立だけ
つみたて投資枠で買えるのは、累積投資契約にもとづいて定期的に継続して買付けた分だけです。銘柄をあらかじめ決めて一定額を定期的に買付ける契約のことで、好きなときに一括で買う方法は使えません。
「定期的」は原則として毎月の買付けを想定しています。2か月に1回や3か月に1回のように時期を決めることもできますが、年に1回とすることは認められていません。
ETFは、設定した金額の範囲で買える口数を定期的に買付ける方法を選べる商品もあります。この場合、買付けの時点の市場価格によっては1口も買えないことがあります。
証券会社が用意する積立の方法はさまざまです。例えばマネックス証券は、証券口座から買付ける自動つみたてのほか、クレカ積立や銀行口座から引き落とす積立を用意しています。
出典:e-Gov法令検索『租税特別措置法』、日本証券業協会『2024年以降のNISAに関するQ&A』、マネックス証券『つみたて投資枠を解説』
成長投資枠とは
成長投資枠は、上場株式・ETF・上場REIT・投資信託などを、一括でも積立でも買える枠です。年間投資枠は240万円で、非課税保有限度額1,800万円のうち1,200万円までを成長投資枠で使えます。
つみたて投資枠より買える商品の範囲は広い一方で、制度上除外される商品のルールがあります。
成長投資枠で買える商品の種類
対象は、証券取引所に上場している株式・ETF・上場REITや、公募株式投資信託などです。国外の取引所に上場している商品も含まれます。
| 商品 | 成長投資枠 | つみたて投資枠 |
| 国内の上場株式 | 買える(整理銘柄・監理銘柄を除く) | 買えない |
| 外国の上場株式 | 買える(取扱いは金融機関ごと) | 買えない |
| ETF | 買える | 金融庁の要件を満たすものだけ買える |
| 上場REIT | 買える | 買えない |
| 公募株式投資信託 | 買える(除外される商品あり) | 金融庁の要件を満たすものだけ買える |
| 預金・国債・社債・公社債投資信託 | 対象外 | 対象外 |
外国株式の取扱いは証券会社で違います。例えばマネックス証券は、成長投資枠で米国株と中国株を扱い、国内株式では単元未満株やIPOも対象にしています。
出典:日本証券業協会『2024年以降のNISAに関するQ&A』、マネックス証券『成長投資枠を解説』
成長投資枠で除外される商品
整理銘柄と監理銘柄に指定された株式は、成長投資枠で買えません。整理銘柄は上場廃止が決まっている銘柄、監理銘柄は上場廃止基準に該当するおそれがある銘柄です。
投資信託では、信託期間が20年未満のもの、毎月分配型のもの、ヘッジ目的以外でデリバティブ取引を利用するものが除外されます。成長投資枠で買える投資信託の一覧は、資産運用業協会が公表しています。
取得の方法による制限もあります。従業員持株会で取得した株式や、税制適格ストックオプションの行使で取得した株式は、成長投資枠に入れられません。
出典:金融庁『NISAを利用する皆さまへ』、『つみたて投資枠対象商品』、日本証券業協会『2024年以降のNISAに関するQ&A』
一括買付と積立の両方が可能
成長投資枠は、まとまった金額を1回で買う一括買付にも、毎月の積立にも使えます。金融庁も、成長投資枠でもつみたて投資枠と同じように積立投資ができるとしています。
例えばマネックス証券は、成長投資枠の積立の方法として投信つみたて、クレカ積立、日本株積立、米国株積立を挙げています。どちらの買い方を選ぶかは、利用者が決めることです。
出典:金融庁『NISAを利用する皆さまへ』、マネックス証券『成長投資枠を解説』
成長投資枠での買付手順
SBI証券とマネックス証券で、投資信託を成長投資枠で一括買付する流れは次のとおりです。どちらも注文の途中でNISAの区分を選ぶのがポイントです。
SBI証券では、次の4つの手順で買付します。
- 個別銘柄の画面で「NISA(成長投資枠)」のマークを確認し、「買付」をクリックします。
- 目論見書の電子書面確認画面で目論見書を開き、チェックを入れて「同意して注文入力」をクリックします。
- 取引種別で「金額買付」、預り区分で「NISA(成長)」を選び、買付金額と分配金受取方法を入力します。
- 取引パスワードを入力して「注文確認」をクリックし、確認画面で「注文発注」をクリックします。
SBI証券では、NISA預りで口数を指定する口数買付はできません。成長投資枠で買うときは金額買付を選んでください。
マネックス証券では、次の5つの手順で買付します。
- ログイン後、ファンド検索で買いたいファンドを探します。検索条件の「成長投資枠」にチェックを入れると、対象のファンドに絞り込めます。
- ファンド詳細画面で「購入」を選びます。
- 口座区分で「NISA 購入」を選びます。成長投資枠の対象でないファンドには、このボタンが表示されません。
- 分配金の受取方法を選び、申込金額または口数を入力して注文内容確認画面へ進みます。
- 入力内容を確認し、取引パスワードを入力して実行します。
出典:SBI証券『NISAお取引ガイド 投資信託』、『ファンドを購入する』、マネックス証券『スポット買付(課税・NISA(成長投資枠))』
2つの枠の併用の仕方
つみたて投資枠と成長投資枠は、1つのNISA口座の中で同じ年に併用できます。合わせると年間投資枠は360万円になり、どちらか片方の枠だけを使うこともできます。
2つの枠は同じ口座の中で使う
つみたて投資枠と成長投資枠を別々の金融機関で使うことはできず、1つの金融機関で利用します。例えばつみたて投資枠をA社、成長投資枠をB社という分け方はできません。
金融機関の変更は年単位で行えます。変更した場合も、2つの枠はそろって変更後の金融機関で使うことになります。
出典:金融庁『よくある質問』
同じ投資信託を両方の枠で買う
つみたて投資枠の対象となる投資信託は、信託期間20年以上で毎月分配型でなく、デリバティブで運用しないという要件を満たしています。そのため成長投資枠の除外条件には当たりません。
SBI証券では、積立購入にはNISA成長投資枠とNISAつみたて投資枠のどちらも使えます。積立設定の画面で、預り区分を「NISA(成長)」か「NISA(つみたて)」から選ぶ仕組みです。
成長投資枠の対象にもなっている投資信託なら、毎月の積立はつみたて投資枠、まとまった資金での買付は成長投資枠という分け方ができます。
出典:金融庁『NISAを利用する皆さまへ』、SBI証券『NISAお取引ガイド 投資信託』
クレカ積立と2つの枠
クレジットカードで決済できる積立額には、証券会社ごとに1か月10万円という上限があります。2024年3月8日に公布・施行された内閣府令の改正で決済の上限額が引き上げられ、現在は1か月の対価の総額が10万円を超えないことが要件です。
マネックス証券のマネックスカードによるクレカ積立は課税口座とNISA口座の両方が対象で、成長投資枠の積立方法の1つにもクレカ積立が入っています。カードごとのポイントの付き方は、クレカ積立のおすすめカード比較で確認できます。
証券会社ごとの使えるカードは、SBI証券のクレカ積立のおすすめカードとマネックス証券のクレカ積立で使えるカードにまとめています。
出典:金融庁『「金融商品取引業等に関する内閣府令」及び「金融サービス仲介業者等に関する内閣府令」の改正(案)に対するパブリックコメントの結果等について』、マネックス証券『マネックスカード クレカ積立 サービス概要』
先に使う枠の決め方
先に使う枠は、買い方・買う商品・1年間の投資額の3つの条件で決まります。どちらの枠で買っても運用益が非課税になる仕組みは同じで、制度の上でどちらかが得になるわけではありません。
| 質問 | 「はい」の場合 | 「いいえ」の場合 |
| Q1 毎月決まった額で投資信託を積み立てる? | つみたて投資枠から使う | Q2へ進む |
| Q2 一括で買う、または株式・REIT・つみたて投資枠の対象外の投資信託を買う? | 成長投資枠を使う | Q3へ進む |
| Q3 1年間に120万円を超えて投資する? | 超える分に成長投資枠を使う | つみたて投資枠だけで収まる |
Q1が「はい」の場合でも、Q2かQ3に当てはまるなら成長投資枠を併用することになります。
つみたて投資枠から使う条件
毎月決まった額を積み立て、買いたい投資信託がつみたて投資枠の対象商品に入っているなら、つみたて投資枠だけで積立ができます。1年間の積立額が120万円以内なら、成長投資枠を使わなくても枠に収まります。
対象商品は金融庁の要件を満たした商品に限られ、2026年9月30日時点では371本です。買う商品はこの中から選ぶことになります。
成長投資枠を使う場面
成長投資枠を使うのは、一括で買うとき、株式やREITを買うとき、つみたて投資枠の年120万円を超えて投資するときです。いずれもつみたて投資枠ではできない買い方になります。
一括で買うか積立で買うかについて、どちらが有利になるかは決まっていません。買付のタイミングは利用者が自分で判断することになります。
成長投資枠だけを使う場合の上限
つみたて投資枠を使わず、成長投資枠だけを使うこともできます。ただし成長投資枠の非課税保有限度額は1,200万円で、1,800万円のうち残りの600万円はつみたて投資枠でしか使えません。
出典:金融庁『よくある質問』
よくある質問
成長投資枠は使ったほうがいい?
使うかどうかは任意です。つみたて投資枠だけで1,800万円を使い切ることもできるため、積立だけで足りるなら成長投資枠を使わない選択もあります。
成長投資枠のデメリットは?
対象商品が広いぶん、何をいつ買うかを自分で決める必要があります。またNISA口座で出た損失は、特定口座や一般口座の利益と損益通算できません。ただし、この点はつみたて投資枠にも共通します。
成長投資枠で240万円を超えたらどうなる?
成長投資枠の年間投資枠は240万円で、超える分はその年の成長投資枠では買えません。1年間に一度使った枠は、同じ年のうちに売却しても再利用できない決まりです。
つみたて投資枠の対象商品を積立で買う場合を除き、超える分は課税口座での買付になります。SBI証券の投資信託の買付画面では、預り区分で「特定/一般」を選びます。
出典:金融庁『よくある質問』、国税庁『タックスアンサー NISA制度』、日本証券業協会『2024年以降のNISAに関するQ&A』
まとめ
つみたて投資枠と成長投資枠の違いは、買える商品、買い方、年間投資枠の3点です。つみたて投資枠は金融庁の要件を満たす投資信託を積立で年120万円まで、成長投資枠は上場株式や投資信託を一括でも積立でも年240万円まで買えます。
毎月の積立はつみたて投資枠から使い、一括の買付や株式の購入、年120万円を超える投資には成長投資枠を使います。2つの枠は1つのNISA口座の中で併用できます。
毎月の積立をカード払いにするなら、クレカ積立のおすすめカード比較で上限とポイントの付き方を確認しておきましょう。




