ネット銀行のデメリットは?|やめた方がいい人と弱点の避け方
ネット銀行のデメリットは、窓口で相談できないこと、現金と硬貨の扱いに制限があること、家族が口座に気づきにくいことに集まります。
どれも業態に共通する弱点ですが、避けられる度合いは銀行の機能で変わります。ドコモショップで口座開設の案内を受けられる銀行や、硬貨を入金できる提携ATMを持つ銀行もあります。
弱点ごとの避け方と、ネット銀行をやめた方がいい人の条件、預金保険と相続時の口座照会の仕組みが分かります。
- 3行要約
①店舗の窓口・硬貨の入金・相続時の口座の把握がネット銀行の主な弱点
②口座開設の対面案内はドコモショップ・きらぼし銀行店頭・大和証券の窓口で対応
③利息のつく預金の保護は1金融機関1人あたり元本1,000万円と破綻日までの利息等
ネット銀行のデメリット一覧
ネット銀行の弱点は、窓口で相談できないこと、現金と硬貨の扱いに制限があること、家族が口座の存在に気づきにくいことに集まります。どれも業態に共通する性質で、特定の1行だけの欠点ではありません。
一方で、弱点をどこまで避けられるかは銀行ごとの機能で変わります。まずは弱点と避ける手段を1枚の表で確認してください。
デメリットと避け方の早見表
「その手段がある銀行」は、公式サイトで機能を確認できた銀行を五十音順に並べています。並び順は評価や順位を表すものではありません。
| デメリット | 困る場面 | 避ける手段 | その手段がある銀行 | 詳しい節 |
| 対面で相談できない | 口座開設やアプリ操作、資産運用を人に聞きたい | 提携先・代理店の窓口を使う | 大和ネクスト銀行(大和証券の窓口)、ドコモSMTBネット銀行(ドコモショップ)、UI銀行(きらぼし銀行の店頭) | 店舗・窓口がないデメリット |
| 問い合わせの時間が限られる | 平日の日中に電話できない | 24時間の紛失・盗難窓口とチャットを押さえる | ソニー銀行、PayPay銀行、楽天銀行 | 店舗・窓口がないデメリット |
| 紙の通帳がない | 確定申告やローン審査で取引明細を出す | Web明細をPDFで保存する | ドコモSMTBネット銀行、PayPay銀行、楽天銀行 | 店舗・窓口がないデメリット |
| ATMの無料回数に条件がある | 月に何度も現金を出し入れする | 無料回数と金額条件の範囲で使う | PayPay銀行、楽天銀行 | 現金・ATMのデメリット |
| 硬貨を入金しにくい | 小銭を口座に入れたい | 硬貨入金に対応した提携ATMを使う | ソニー銀行、PayPay銀行 | 現金・ATMのデメリット |
| 勤務先や支払先の指定に合わない | 給与や引き落としを別の銀行で受けるしかない | 他行口座から毎月自動で入金する | ソニー銀行、ドコモSMTBネット銀行 | 引き落とし・給与振込のデメリット |
| メンテナンスで使えない時間 | 深夜や週末に振込をしたい | 定例メンテナンスの曜日と時間を把握する | ドコモSMTBネット銀行、楽天銀行 | システム障害・メンテナンスのデメリット |
| ID・認証を自分で管理する | スマホの紛失・機種変更、フィッシング | 取引内容を確認して承認する認証アプリ | ドコモSMTBネット銀行、PayPay銀行 | ネット銀行の危険性とセキュリティ |
| 家族が口座を見つけにくい | 相続で口座の存在が分からない | 預貯金口座付番と相続時預貯金口座照会 | 銀行を問わない公的な制度 | 破綻と相続のデメリット |
表のとおり、多くの弱点には避ける手段があります。ただし相続の弱点だけは銀行の機能ではなく、生前の準備で差が出る点を押さえておいてください。
ネット専業銀行とネット支店の違い
ネット銀行には、店舗を持たずにインターネットで取引を完結させる専業の銀行と、店舗型の銀行がネット取引用に設けた支店の2種類があります。デジタル支店と呼ばれる支店も後者に入ります。
支店側も窓口で手続きできない点は専業の銀行と同じです。本記事の弱点はどちらにも当てはまるので、支店を検討している場合も同じ目線で確認してください。種類ごとの違いはネット銀行のおすすめ記事で扱っています。
店舗・窓口がないデメリット
ネット専業銀行には自前の窓口がありません。相談・問い合わせ・取引の記録の3つが、店舗型の銀行と違う形になります。
対面で相談できない
口座開設やアプリの操作を人に聞きたいときに、銀行の窓口へ行くという選択肢はありません。ただし提携先の店舗で対面の案内を受けられる銀行があります。
ドコモSMTBネット銀行(旧 住信SBIネット銀行)は、2026年8月21日からドコモショップで口座開設などのサポートを始めました。スタッフが利用者自身のスマホでの手続きを手伝う形で、利用は無料です。
対象は196店舗から始まり、約1,000店舗へ広げる予定です。ただし住宅ローンなど個別の金融商品の案内は対象外で、ショップで現金を預かることもありません。
UI銀行は、きらぼし銀行の店頭で口座開設やアプリの使い方を案内しています。相談は来店予約システムで予約してから行く形です。なお、各種手続きや相続手続きは両行それぞれで行う必要があります。
大和ネクスト銀行は、大和証券の店頭で口座を開設でき、大和証券の窓口で資産運用の相談もできます。ソニー銀行には相談窓口のCONSULTING PLAZAがあり、専任アドバイザーに予約制・無料で資産運用をオンラインで相談できます。
出典:ドコモSMTBネット銀行『ドコモショップで「ドコモの銀行」のご案内や口座開設等のサポートを開始』、UI銀行『きらぼし銀行のお客さま』、大和ネクスト銀行『口座開設申込について』
問い合わせは電話・チャット・メールが中心
問い合わせ先は電話・チャット・フォームです。オペレーターが対応する時間は平日の日中が中心で、夜間や休日は自動応答か紛失・盗難の専用窓口に限られる銀行があります。
| 銀行 | 通常の問い合わせ | 24時間の窓口 |
| ソニー銀行 | 電話 平日9:00〜17:00(土日祝日・12月31日〜1月3日は休業) | 不正利用緊急ダイヤル(年中無休24時間) |
| ドコモSMTBネット銀行 | チャット 平日9:00〜18:00/電話は予約制で平日9時〜18時に折り返し | 公式の窓口案内で確認できず |
| PayPay銀行 | LINEのAI自動応答(24時間365日) | 紛失・盗難の事故受付センター(24時間365日) |
| 楽天銀行 | カスタマーセンター 全日9:00〜17:00 | カード紛失・盗難、振り込め詐欺被害等の受付(24時間365日) |
カードやスマホを失くしたときの連絡先は、口座を作った時点で控えておくと手間取りません。表の4行のうち3行は夜間も紛失・盗難や不正利用の連絡を受け付けているので、番号の確認を先に済ませておきましょう。
出典:ソニー銀行『お問い合わせ先と各営業時間』、ドコモSMTBネット銀行『各種お問合せ窓口』、PayPay銀行『お問い合わせ・ご案内(個人のお客さま)』
紙の通帳がない
ネット銀行の取引記録は、紙の通帳ではなくWebの入出金明細で確認します。PayPay銀行は通帳を発行しておらず、勤務先から通帳のコピーを求められた場合はキャッシュカード券面のコピーやログイン後の口座情報画面の印刷で代用します。
困るのは、確定申告やローンの審査で過去の取引明細を出すときです。Webで見られる期間は銀行ごとに違うため、必要になりそうな明細はPDFで保存しておきましょう。
- 楽天銀行:依頼日から24か月以内の明細は即時にCSV・PDFでダウンロードでき、それより前を含む期間はデータの準備に時間がかかります
- PayPay銀行:普通預金取引明細などの照会・取得期間は過去10年分で、明細はPDFで出力できます
- ドコモSMTBネット銀行:円普通預金などは7年前の1月1日以降の明細を照会でき、CSV・PDFでのダウンロードにも対応しています。それより前は有料の取引明細書を請求します
出典:楽天銀行『入出金明細のダウンロード方法』、PayPay銀行『各種証明書・取引明細のWeb発行機能を改善しました』、ドコモSMTBネット銀行『入出金明細が確認できる期間を教えてください。』
現金・ATMのデメリット
ネット専業銀行は自前のATMを持たず、コンビニなどの提携ATMで現金を出し入れします。手数料・硬貨・引出限度額の3点で、店舗型の銀行と使い勝手が変わります。
自行ATMがなく提携ATMの無料回数に条件
提携ATMはセブン銀行・ローソン銀行・イーネット・ゆうちょ銀行などで、台数はPayPay銀行が全国約9万5千台、楽天銀行が全国約100,000台です。無料になる条件は銀行ごとに違います。
PayPay銀行は、毎月1回目の入金と出金が利用金額にかかわらず0円です。2回目以降は3万円以上なら0円ですが、3万円未満はセブン銀行ATMなどで165円、ゆうちょ銀行ATMで330円が必要です。
楽天銀行は、3万円以上で0円になるのが入金だけです。出金は金額に関わらず、無料回数がない場合は220円(一部のATMは275円)の手数料がかかるので注意しましょう。
銀行別の手数料の一覧はPayPay銀行の手数料の解説記事とネット銀行のおすすめ記事で扱っています。
出典:PayPay銀行『ATM』、楽天銀行『提携ATMでの入出金・残高照会』
硬貨を入金できるATMが限られる
コンビニなどの提携ATMは硬貨を扱わないため、小銭を口座へ入れる手段は限られます。ネット銀行でも、店舗型の銀行の硬貨対応ATMで入金できる場合があります。
ソニー銀行は三菱UFJ銀行と三井住友銀行の両方のATMで硬貨入金ができ、取扱いは店舗や時間帯で異なります。PayPay銀行は三井住友銀行の支店内ATMと一部の支店外ATMで平日8時45分〜18時に硬貨を入金でき、硬貨で出金できる提携ATMはありません。
銀行ごとの枚数上限や窓口の手数料はATMで小銭を入金できる銀行の記事にまとめています。
出典:ソニー銀行『提携ATM』、PayPay銀行『硬貨の取り扱いのある提携ATMを教えてください。』
1日の引出限度額の初期設定
ATMで1日に引き出せる金額には初期設定があります。引越しや冠婚葬祭でまとまった現金が要るときは、前もって限度額を確認してください。
UI銀行は、初回ログイン後の1日あたりの引出限度額が10万円です。10万円以上の定期預金の預け入れやローンの契約などで50万円になり、アプリで0円から100万円の範囲で変更できます。
PayPay銀行のATM出金限度額は初期設定額50万円です。ログイン後の画面で0〜50万円(千円単位)の範囲で変更でき、初期設定の50万円が設定できる上限でもあります。
どちらの銀行も限度額はアプリやWebで変えられるため、窓口に行く必要はありません。
出典:UI銀行『ATM情報』、PayPay銀行『ATM』、『各種限度額の設定について』
引き落とし・給与振込のデメリット
引き落としと給与の受取は、ネット銀行の側だけでは決まりません。支払先や勤務先の対応に左右される点が、店舗型の銀行と違うところです。
口座振替の申込方法は支払先で異なる
公共料金やクレジットカードの口座振替は、支払先ごとに申込方法が違います。オンラインで申し込めるのは、支払先がオンライン受付に対応している場合に限られます。
楽天銀行の口座振替は、依頼書・オンライン・Pay-easyの3通りで申し込めます。ドコモSMTBネット銀行は、オンライン受付に対応した支払先ならWebで、それ以外は支払先から取り寄せた口座振替依頼書を各社へ直接返送する形です。
依頼書で申し込む場合、口座振替依頼書に印鑑やサインを求める支払先があります。ドコモSMTBネット銀行に届出印はありませんが、依頼書には任意の印鑑を押すよう勧めています。
出典:楽天銀行『口座振替(自動引落)』、ドコモSMTBネット銀行『口座振替(銀行引落)サービス』
給与振込口座に指定できない場合
ネット銀行を給与振込口座に指定できないのは、主に勤務先の側の事情によるものです。銀行側は給与受取口座として使えても、勤務先が振込先の銀行を指定していると選べません。
PayPay銀行は、勤務先によっては給与受取口座に指定できない場合があると案内しています。ドコモSMTBネット銀行も、通常は受取口座として使えるものの、勤務先で振込先の指定がある場合は異なるとしています。
この場合は、給与を指定の銀行で受け取ってから、毎月決まった額をネット銀行へ自動で移す方法があります。
ソニー銀行の「おまかせ入金サービス」とドコモSMTBネット銀行の「定額自動入金サービス」は、本人名義の他行口座から毎月5日または27日に引き落として入金する仕組みです。
どちらも手数料は無料で、金額は1万円以上1千円単位で設定します(ドコモSMTBネット銀行はスルガ銀行Dバンク支店の口座から引き落とす場合を除く)。
入金は引落日の4営業日後になるため、ローンの返済日と重ねると残高不足になる点に気をつけてください。年金や公金の受取口座は公金受取口座の記事で扱っています。
出典:PayPay銀行『給与受取』、ドコモSMTBネット銀行『定額自動入金サービス』、ソニー銀行『おまかせ入金サービス』
システム障害・メンテナンスのデメリット
ネット銀行の取引は、銀行のシステムと自分のスマホの両方が動いていることが前提です。どちらかが止まると、残高の確認も振込もできなくなります。
定期メンテナンスで使えない時間帯
24時間取引できるのが原則でも、システムメンテナンスの時間は使えません。深夜や週末に振込を予定しているなら、定例の時間帯を先に確認してください。
| 銀行 | メンテナンスの例 |
| ドコモSMTBネット銀行 | 他行宛の当日振込:毎週土曜日23:30〜翌0:30 各種商品・サービスの手続き:毎週土曜日24:00から数分間 |
| PayPay銀行 | 実施は不定期で、事前にお知らせで告知 例:2026年3月14日(土)午前3時〜午前6時に全サービスを停止 |
| 楽天銀行 | 月ごとにお知らせで告知 例:2026年7月13日(月)午前1:00〜午前7:00はインターネットバンキングが利用不可 |
臨時のメンテナンスや障害は予定表に載りません。給与日や引き落とし日の直前に残高を移す運用は避け、日程に余裕を持たせておくと影響を受けにくくなります。
出典:ドコモSMTBネット銀行『システムメンテナンス時間のご案内』、PayPay銀行『定期システムメンテナンスに伴うサービス停止のお知らせ(3月14日)』、楽天銀行『システムメンテナンス(2026年7月実施分)のお知らせ』
スマホの故障・機種変更への備え
認証アプリを入れたスマホが使えなくなると、振込などの取引が止まります。機種変更の前に、登録している電話番号が最新かどうかを確かめてください。
ドコモSMTBネット銀行のスマート認証NEOは、機種変更後に登録し直すとき、電話番号あての認証コードかURLの受信が必要です。電話番号も変える場合は、切り替わる前に銀行へ新しい番号を届けておきます。
PayPay銀行のトークンアプリは、新しいスマホに再ダウンロードして画面の案内に沿って登録し直します。障害への備えとして生活費を2つ以上の銀行に分ける考え方は、口座を持ちすぎるデメリットの記事で扱っています。
出典:ドコモSMTBネット銀行『スマート認証NEO 機種変更』、PayPay銀行『機種変更後のアプリの再登録方法』
ネット銀行の危険性とセキュリティ
インターネットバンキングの危険性は、IDやパスワードを盗まれて預金を不正に送金されることにあります。窓口の本人確認がない分、認証情報の管理が利用者自身に任されている点がネット銀行の弱点です。
ID・パスワードと認証の自己管理
みんなの銀行は、アプリでの取引では利用者のスマホが通帳やキャッシュカードの代わりになると説明しています。スマホを失くしたときに他人に操作されないよう、パスコードや指紋・顔の認証で画面ロックを設定することを求めています。
ログインパスワードや暗証番号を、スマホのメモやクラウドサービスに保存することも避けるべき行為です。画面ロックとパスワードの分離が、利用者側でできる基本の対策です。
出典:みんなの銀行『みんなの銀行アプリ・法人インターネットバンキングを安全にご利用いただくための15か条』
フィッシングや不正送金の手口
金融庁が注意を呼びかけている主な手口は、銀行を装ったSMSやメールで偽のログインサイトへ誘導するものです。そこでIDやパスワード、ワンタイムパスワードを入力させ、預金を不正に送金します。
金融庁は、金融機関がIDやパスワードをSMS等で問い合わせることはないとしています。そのうえで、次の対策を示しています。
- 心当たりのないSMS等は開かない
- 利用状況を通知する機能を有効にし、入出金明細をこまめに確認する
- SMS等のURLからアクセスせず、ブックマークか公式アプリから開く
- 金融機関が推奨する多要素認証等の認証方式を利用する
出典:金融庁『インターネットバンキングによる預金の不正送金事案が急増しています。』
不正送金の補償の仕組み
全国銀行協会は2008年に、インターネット・バンキングで預金が不正に払い戻された場合の対応を申し合わせました。銀行に過失がなくても、預金者に過失がないときは原則補償するという内容です。
個人の預金者に過失または重過失がある場合は、個別対応になります。被害の発生日から30日後まで金融機関へ通知しなかった場合や、親族等による払い戻しの場合は補償を行わないとされています。
つまり補償は無条件ではなく、パスワードの管理状況や通知の早さで結果が変わります。PayPay銀行の個別の補償条件はPayPay銀行の安全性の記事で扱っています。
出典:全国銀行協会『「預金等の不正な払戻しへの対応」について』、『インターネット・バンキングに係る補償の対象・要件・基準等について』
銀行ごとの追加認証と通知
ネット銀行の安全性は、ランキングではなく認証の方式・取引の通知・限度額の設定の3つで見ると比べやすくなります。公式サイトで確認できた機能を並べました。
| 銀行 | 追加の認証 | 通知・限度額 |
| ドコモSMTBネット銀行 | スマート認証NEO(スマホに登録した生体認証。FIDO準拠) | ログイン承認設定をONにすると、登録したスマホ以外では解除できない |
| PayPay銀行 | トークンアプリ(取引内容を確認しないとワンタイムパスワードが出ないトランザクション認証) | 振込限度額を0円にして振込ロックに使える。一定額以上への引き上げは24時間後に反映 |
| 楽天銀行 | 合言葉認証・ワンタイム認証・セキュリティカード認証 | 取引通知メール、振込限度額設定 |
どの銀行でも、追加の認証は登録や設定をして初めて働きます。口座を作ったら、認証アプリの登録と振込限度額の見直しを最初に済ませてください。ドコモSMTBネット銀行の機能はドコモSMTBネット銀行の解説記事で扱っています。
出典:ドコモSMTBネット銀行『セキュリティ』、PayPay銀行『トークンアプリのセキュリティ』、楽天銀行『セキュリティ』
破綻と相続のデメリット
ネット銀行が破綻したときの保護は、店舗型の銀行と同じ制度で決まります。弱点が表れやすいのは破綻よりも相続の場面で、通帳や郵便物がないために家族が口座に気づかないおそれがあります。
ネット銀行も預金保険制度の対象
預金保険の対象は、日本国内に本店がある銀行です。ネット専業銀行もこれに当てはまり、預金者が加入の手続きをする必要はありません。
利息のつく普通預金や定期預金は、1金融機関ごとに合算して預金者1人当たり元本1,000万円までと破綻日までの利息等が保護されます。当座預金や利息のつかない普通預金などの決済用預金は全額保護です。
外貨預金は預金保険の対象外です。1,000万円を超える部分とともに破綻した金融機関の財産の状況に応じて支払われ、一部カットされることがあります。外貨預金の弱点は外貨預金をおすすめしない理由の記事で扱っています。
出典:預金保険機構『保護の範囲』、『預金保険制度の基礎知識』
家族が口座に気づきにくい
ネット銀行にはPayPay銀行のように紙の通帳を発行しない銀行があり、取引はアプリの中で完結します。本人のスマホにロックがかかっていると、家族は口座があること自体を確かめにくくなります。
対策は、利用している銀行名と支店名を家族と共有しておくことです。パスワードまで伝える必要はなく、どの銀行に口座があるかが分かれば相続の手続きを始められます。
相続時預貯金口座照会と口座の付番
家族が口座を把握していない場合は、預金保険機構の相続時預貯金口座照会を使えます。相続人が、亡くなった人の名義でマイナンバーが付番された口座を、全ての金融機関を対象に照会できる制度です。
通知されるのは金融機関名・支店名・預貯金の種類・口座番号等で、残高は含みません。照会できるのは死後10年までで、結果の通知までは1か月程度かかります。
照会手数料は1件につき5,060円(消費税込)です。付番されていない口座は「該当口座なし」と通知され、その場合も手数料は原則返金されません。
この照会で口座を見つけてもらうには、本人が生前に口座へマイナンバーを届け出ておく必要があります。デジタル庁の預貯金口座付番制度で、金融機関の窓口かマイナポータルから届け出る仕組みです。
付番は給付金の受取口座を国に登録する公金受取口座登録制度とは別の制度で、公金受取口座を登録しても付番は行われません。違いは公金受取口座の記事で扱っています。
出典:預金保険機構『相続時預貯金口座照会のお申込みにあたって』、デジタル庁『よくある質問:預貯金口座付番制度について』
相続手続きは電話・Webフォームと郵送が中心
ネット銀行の相続手続きは、窓口ではなく連絡と書類の郵送で進みます。書類のやり取りに時間がかかることを見込んでおいてください。
楽天銀行は、まず電話で亡くなった口座名義人を知らせ、必要な書類が郵送で案内されます。連絡した時点で相続手続きが始まり、口座の利用は止まります。
PayPay銀行は、Webの相続受付フォームから連絡すると手続き書類が送られてきます。書類の到着後約2週間で口座解約や払い戻しが処理され、契約していた商品によっては書類のやり取りが複数回必要です。
出典:楽天銀行『相続のお手続き』、PayPay銀行『相続のお手続き』
条件付きの優遇と手数料のデメリット
ネット銀行の手数料の安さや金利の高さは、条件付きで決まっていることがあります。条件から外れたときや、改定があったときの負担も見ておく必要があります。
無料回数や金利は条件と改定がある
楽天銀行のATM手数料の無料回数は、ハッピープログラムの会員ステージに応じて月7回までで、口座開設から2ヶ月目までは月3回です。取引の状況でステージが変わると、無料回数も変わります。
金利や振込手数料も、残高や給与受取などの条件で優遇する仕組みを設けている銀行があり、改定も行われます。数値の比較は普通預金金利ランキングと振込手数料が安い銀行の記事で扱っています。
使わない口座の管理手数料
作ったまま使わない口座に手数料がかかる銀行があります。PayPay銀行の未利用口座管理手数料は年1,320円(消費税含む)です。
対象は、ログイン・預け入れ・引き出しの最後の利用から2年以上たった個人と個人事業主の口座です。普通預金残高が10,000円以上ある場合や、口座保有者が18歳未満の場合などは対象外になります。
対象になるとメールで知らせがあり、3ヶ月たっても利用がなければ口座から引き落とされます。他行の同様の手数料は口座を持ちすぎるデメリットの記事で扱っています。
ネット銀行をやめた方がいい人と向いている人
ネット銀行はやめた方がいいかどうかは、ここまでの弱点が自分の生活で実害になるかで決まります。ネットバンキングはやめた方がいいと一律に言えるものではありません。
やめた方がいい人の条件
次の条件に当てはまるなら、ネット銀行をメインの口座にするのは避けた方がよいでしょう。
- 住宅ローンや相続の相談を、窓口で担当者と対面で進めたい
- 現金や硬貨を出し入れする回数が多く、提携ATMの無料回数に収まらない
- スマホを持っていない、または認証アプリやパスワードを自分で管理する自信がない
- 口座の存在を家族と共有できず、相続のときに見つけてもらえるか不安がある
- 勤務先や支払先がネット銀行を指定先として受け付けない
このうち対面の相談は、代理店や提携先の窓口がある銀行を選べば一部を補えます。ただし窓口で扱う範囲は口座開設や操作の案内が中心で、店舗型の銀行と同じ相談ができるわけではありません。
向いている人の条件
反対に、取引の大半をスマホで済ませていて、現金の出し入れが月に数回で足りる人には向いています。無料回数や手数料の条件を自分で確認できる人ほど、ネット銀行の利点を受けやすくなります。
メンテナンスの時間や相続への備えを理解したうえで使うなら、弱点の多くは運用で避けられます。PayPay銀行の長所と短所はPayPay銀行のメリット・デメリットの記事で扱っています。
店舗型の銀行と併用する方法
弱点を避けやすいのは、店舗型の銀行とネット銀行を役割で分ける使い方です。給与の受取や窓口の相談は店舗型、貯蓄や手数料を抑えたい振込はネット銀行と分けると、どちらかが使えない場面でも生活費が止まりません。
口座を増やしすぎると管理の手間や未利用口座の手数料が増えるので、数は必要な分に絞りましょう。口座数の目安は口座を持ちすぎるデメリットの記事、銀行の種類ごとの違いは銀行口座のおすすめ記事で扱っています。
ネット銀行のメリット
弱点がある一方で、ネット銀行には店舗型の銀行にない利点があります。手数料・金利・取引できる時間・アプリでの完結の4点です。
提携ATMや他行宛振込に無料回数を設けている銀行では、条件を満たせば手数料を抑えられます。普通預金や定期預金の金利も、店舗型の銀行より高めに設定されている場合があります。
残高照会や振込はメンテナンスの時間を除いて24時間でき、窓口の営業時間に合わせる必要がありません。口座開設から振込・限度額の変更まで、アプリで完結できる銀行もあります。
銀行ごとの金利や手数料、口座開設の手順はネット銀行のおすすめ記事で比べているので、あわせて確認してください。
ネット銀行のデメリットに関するよくある質問
ネット銀行をメインバンクにするのは危険?
メインバンクにすること自体が危険なわけではありません。預金保険の保護は、店舗型の銀行と同じ制度で決まります。
気をつけたいのは、システムやスマホが止まったときに生活費を動かせなくなることです。給与の受取や引き落としを1行に集めるなら、もう1つ別の銀行の口座を持っておくと影響を減らせます。
ネット銀行だけで生活できる?
給与の受取・引き落とし・現金の出し入れがネット銀行で足りるなら、生活はできます。勤務先の給与振込先の指定や、硬貨の入金は例外になりやすいので、この2点を先に確認してください。
窓口での相談が必要になる住宅ローンや相続の手続きは、ネット銀行では電話・Web・郵送で進めることになります。対面を求めるなら、店舗型の銀行と併用する方が現実的でしょう。
スマホを紛失したらどうなる?
すぐに銀行の紛失・盗難の窓口へ連絡して、取引を止めてもらいます。PayPay銀行の事故受付センターと楽天銀行の紛失・盗難の受付は24時間365日対応です。
PayPay銀行は、紛失・盗難のときにログインして、自分で取引を止める即時停止処理もできます。新しいスマホを用意したら、認証アプリを登録し直してから取引を再開してください。
出典:PayPay銀行『お問い合わせ・ご案内(個人のお客さま)』、楽天銀行『ご利用時間・システムメンテナンス』
高齢の家族にネット銀行は向いている?
スマホの操作や認証の管理に慣れていない場合は、ネット銀行をメインにするのは向いていません。困ったときに窓口で聞けないことと、家族が口座を把握しにくいことが重なるためです。
使う場合は、銀行名と支店名を家族で共有し、口座へのマイナンバーの付番も済ませておくと相続時に見つけやすくなります。
ネット銀行を解約するときの注意点は?
解約の前に、その口座からの引き落としやスマホ決済との連携を別の口座へ付け替えておく必要があります。定期預金やローンなど、口座で使っているサービスの解約や返済を先に求める銀行もあります。
PayPay銀行は、普通預金口座の解約前に定期預金の解約やカードローンの全額返済などを済ませる必要があります。そのうえでWebから解約でき、残高は指定した他の金融機関の口座へ翌営業日に振り込まれます。
トークンを紛失した場合や解約代わり金が1000万円を超える場合は、Webではなく書面での手続きです。
ネット銀行を詳しく比べる記事
銀行ごとの弱点や手数料をもっと詳しく知りたい場合は、次の記事を参考にしてください。銀行選びそのものはネット銀行のおすすめ記事が担当しています。
| 知りたいこと | 記事 |
| ネット銀行の選び方と比較 | ネット銀行のおすすめ記事 |
| PayPay銀行の長所と短所 | PayPay銀行のメリット・デメリット |
| PayPay銀行の安全性と補償 | PayPay銀行は危険? |
| PayPay銀行の手数料 | PayPay銀行の手数料 |
| ドコモSMTBネット銀行の特徴 | ドコモSMTBネット銀行の解説 |
| SBI新生銀行の特徴 | SBI新生銀行の解説 |
まとめ
ネット銀行のデメリットは、窓口がないこと、現金と硬貨の扱いに制限があること、認証を自分で管理すること、家族が口座に気づきにくいことに集まります。これらは業態に共通する弱点で、特定の銀行だけの欠点ではありません。
避けられる度合いは銀行の機能で変わります。対面の案内が受けられる提携窓口、硬貨に対応した提携ATM、取引内容を確認する認証アプリなど、自分が困る場面に合った機能を持つ銀行を選んでください。
相続への備えは、銀行名を家族と共有することと、口座へマイナンバーを付番しておくことです。窓口での相談が欠かせない人は、店舗型の銀行と併用する形を検討しましょう。




