貸株とは?仕組みと金利、デメリットを主要証券会社で比較
持っている株を証券会社に貸すだけで金利がもらえる貸株は、優待や配当、破綻したときの扱いが分かりにくいサービスです。
貸株は銘柄ごとの貸株金利を受け取れる一方、貸した株は分別管理と投資者保護基金の対象外になり、配当は雑所得の配当金相当額に変わります。
仕組みと金利の計算、優待・配当と税金の扱い、主要6社の違い、向いている人・向いていない人が分かります。
- 3行要約
①保有株を証券会社へ貸し、銘柄ごとの貸株金利を受け取るサービス
②貸出中の株は分別管理と投資者保護基金の対象外、配当は雑所得の配当金相当額
③優待・配当の自動取得設定、金利の見直し方、入金日が主要6社の相違点
貸株の意味と仕組み
貸株は、自分が持っている株式を証券会社に貸し出し、その対価として貸株金利を受け取るサービスです。持っている株を売らずに、値上がり益や配当とは別の受け取りを得られます。
ただし、貸している間は株主としての権利が移り、証券会社が破綻したときの保護の仕組みも通常の預け方とは変わります。
貸株の流れと貸株金利が支払われる理由
証券会社は、利用者から借りた株を機関投資家などに貸し出し、その貸借料を受け取ります。証券会社が受け取った貸借料をもとに、利用者へ貸株金利が支払われる流れです。
| 段階 | 誰が | 何をするか |
| 1 | 利用者(株主) | 保有株を証券会社に貸す(消費貸借契約) |
| 2 | 証券会社 | 借りた株を機関投資家などへ貸し出す |
| 3 | 機関投資家など | 借りた株の貸借料を証券会社へ支払う |
| 4 | 証券会社 | 受け取った貸借料をもとに貸株金利を利用者へ支払う |
利用者と証券会社が結ぶのは「消費貸借契約」で、証券会社から担保は差し入れられません。この無担保という性質が、後で触れる破綻時のリスクにつながっています。
貸株中の株の名義と売却
貸している間、株式の所有権は証券会社側へ移ります。楽天証券では、貸借期間中の株券等は楽天証券名義または第三者名義になり、株主としての権利義務をすべて失うと定めています。
一方で、貸出中の株もそのまま売れます。松井証券は貸出中の銘柄も制約を受けずに売却できるとし、マネックス証券も事前に貸出対象をOFFにする必要はないとしています。
出典:楽天証券『貸株サービスの基本ルール』、松井証券『貸株サービス 取引ルール』、マネックス証券『貸株サービスで貸出し中の株式を売却できますか?』
貸株対象・貸株中・貸株設定の意味
保有株の画面に出る貸株の表示は、次の意味で使われています。「貸株対象外」の銘柄は、申し込んでも貸し出されません。
| 表示 | 意味 |
| 貸株対象 | 証券会社が貸し出しを受け付けている銘柄 |
| 貸株対象外(非対象銘柄) | 単元未満株やETNなど、証券会社が貸し出しを受け付けない銘柄 |
| 貸株中(貸出中) | 株を証券会社に貸していて、貸株金利が付いている状態 |
| 貸株設定 | どの銘柄を何株貸すか、権利確定日に一度返してもらうかを決める設定 |
| 貸し出さない(OFF) | 貸株サービスに申し込んでいても、その銘柄や株数は貸さない設定 |
対象外の銘柄は会社ごとに決まっています。SBI証券はSBIホールディングス(8473)・外国株式・単元未満株・ETNなど、マネックス証券はマネックスグループ(8698)・NTT(9432)・優先株式などを対象外にしています。
出典:SBI証券『貸株サービスの概要』、マネックス証券『貸株サービスの対象となる銘柄を教えてください。』
貸株と信用取引の貸株料の違い
信用取引の「貸株料」や取引所の「貸株注意喚起」は、信用売りをする側が払う費用や取引の規制の話です。この記事の貸株サービスとは別のものなので、信用売りの仕組みは信用取引の記事で確認してください。
貸株金利の仕組みと決まり方
貸株金利は銘柄ごとに決まり、証券会社が市場の動きを見ながら見直します。金利は年率で示され、日割りで計算されたものが月に1回まとめて入金されます。
通常金利とボーナス金利
基本となる金利より高い金利が付く銘柄が、ボーナス金利です。GMOクリック証券と三菱UFJ eスマート証券は、年1%以上の金利が付く銘柄をボーナス金利としています。
マネックス証券は通常金利を年0.1%とし、これより高い金利が付く銘柄をボーナス金利と位置づけています。楽天証券も、1%以上の金利が付くボーナス金利銘柄を扱う会社です。
松井証券は貸株対象銘柄なら年0.2%から、三菱UFJ eスマート証券は原則0.02%からです。SBI証券と楽天証券の銘柄ごとの金利は、ログイン後の画面で確認できます。
出典:マネックス証券『貸株サービス』、三菱UFJ eスマート証券『貸株サービス(国内株式)』、GMOクリック証券『貸株サービス 金利一覧』
貸株金利が高くなる銘柄の理由
銘柄ごとの金利の差は、貸株市場の動向から生まれます。三菱UFJ eスマート証券は、貸借料率が市場動向によって変わるため銘柄ごとに異なると説明しています。
金利の高さは貸株市場の動向で決まる数字で、株価の先行きを示すものではありません。
出典:三菱UFJ eスマート証券『貸株サービス 貸借料率(貸株利率)』
貸株金利の計算方法と受取日
マネックス証券の計算式は「時価総額×貸株利率÷365」で、時価総額は数量×当日の終値または最終気配値段です。営業日か非営業日かにかかわらず毎日計算され、土日の分も金利が付きます。
松井証券も「受渡ベースの貸出数量×当日の評価額×銘柄ごとの金利÷365」で日々計算します。この式に当てはめて、100万円分の株を貸した場合の受取額を試算すると次のとおりです。
| 年率(仮定) | 30日貸した場合 | 365日貸した場合 |
| 0.1% | 82円 | 1,000円 |
| 1% | 821円 | 10,000円 |
| 3% | 2,465円 | 30,000円 |
表の年率は計算のために置いた仮の値で、税引前・円未満切り捨ての目安です。実際の金利は銘柄と時期で変わり、株価が動けば時価総額も変わるため、受取額は表どおりにはなりません。
金利の入金日は会社ごとに違います。各社の入金日は、後の比較表にまとめました。
出典:マネックス証券『日々の貸株料(貸株金利)の計算方法を教えてください。』、松井証券『貸株サービス 取引ルール』
貸株のメリット
貸株の利点は、手間と費用をかけずに保有株から受け取りを増やせる点にあります。主な3点を整理します。
利用料無料で付く貸株金利
SBI証券・楽天証券・松井証券は、貸株サービスの利用料を無料としています。長期で持ち続ける予定の株なら、置いておくだけで貸株金利が積み上がります。
出典:SBI証券『貸株サービスの概要』、楽天証券『貸株サービスの基本ルール』、松井証券『貸株サービスについて』
設定後の自動貸出
一度設定すれば、新しく買った株も自動で貸し出せます。楽天証券には新規買付時の自動貸出設定があり、「自動で貸出す」を選ぶと購入や入庫と同時に貸し出しが始まります。
マネックス証券では、買付や他社からの移管をした株が約定日・入庫完了日を含めて3営業日目から自動で貸し出されます。松井証券も「全部貸し出す」が初期設定で、買い増した分も自動で貸し出されます。
出典:楽天証券『貸株サービス』、マネックス証券『よくあるご質問(貸株金利)』、松井証券『貸株サービス 取引ルール』
貸出中の売却と金利
売るために返却を待つ必要はありません。マネックス証券では、売却した株にも受渡日の前営業日までの貸株金利が支払われます。
貸株中の株主優待・配当金の扱い
貸株で受け取れるものが変わるのは、株主優待や配当の権利が決まる権利確定日です。その日に貸し出しているかどうかで、次のように変わります。
| 権利確定日の状態 | 株主優待 | 配当 | 議決権 |
| 貸し出したまま | 受け取れない | 配当金相当額(雑所得) | 行使できない |
| 自動取得設定などで返却済み | 受け取れる | 通常の配当金(配当所得) | 行使できる |
出典:マネックス証券『貸株を利用すると、配当金・株主優待・議決権などの株主権利はどうなりますか?』
権利確定日に貸出中の場合の優待
権利確定日に貸し出していると、原則として株主名簿に載りません。松井証券は、この場合は株主優待の取得や議決権の行使など、株主としての権利を得られないとしています。
優待を受け取りたい場合は、権利確定日の前に株を返してもらう必要があります。手動で返す方法と、次に紹介する自動取得設定を使う方法の2通りです。
配当金に代わる配当金相当額
権利確定日に貸し出していた株の配当は、証券会社から「配当金相当額」として支払われます。楽天証券では、配当金から所得税15.315%相当額を差し引いた額と同じ金額です。
入金は配当金の支払日より少し遅れます。SBI証券は支払日の4営業日後、楽天証券はおおよそ5営業日後が目安です。税金の扱いは次の章で説明します。
出典:楽天証券『貸株サービス』、SBI証券『貸株サービスの概要』
優待・配当の自動取得設定の種類
各社とも、権利確定日の前に株を自動で返却して優待や配当を受け取れる設定を用意しています。金利を優先するか、優待や配当を優先するかを選ぶのが基本です。
| 証券会社 | 設定の名称 | 選べる内容 |
| SBI証券 | 株主権利自動取得サービス | 配当・優待優先/優待優先/金利優先 |
| GMOクリック証券 | 株主優待自動取得サービス | 優待優先/金利優先 |
| 松井証券 | 権利取得設定 | 貸株金利優先/株主優待優先/権利取得優先 |
| マネックス証券 | 配当金自動取得サービス・株主優待設定 | 優待の自動取得と配当の自動取得を個別に設定 |
| 三菱UFJ eスマート証券 | 自動優待取得設定 | 銘柄ごとに優待を自動取得するかを設定 |
| 楽天証券 | 株主優待・配当金自動取得サービス | 金利優先/株主優待優先/株主優待・予想有配優先 |
マネックス証券の配当金自動取得サービスは、申し込むと貸株金利から「配当金サービス利用率」が差し引かれます。利用中は通常より低い貸株金利になる点に注意が必要です。
SBI証券では、東洋経済新報社の株主優待情報で権利確定日が明示されていない銘柄(随時、不定期等)は、株主権利自動取得サービスの対象外です。
出典:SBI証券『貸株サービス各種設定』、楽天証券『貸株サービスの基本ルール』、マネックス証券『配当金自動取得サービス・株主優待設定とは何ですか?』
長期保有優待と株主番号が変わる場合
長く持つほど内容が良くなる株主優待は、貸株と相性がよくありません。貸して返してもらうと、株主名簿上の株主番号が同じまま続く保証がないためです。
SBI証券は、株主番号の連続性が途切れて保有期間に応じた優待の対象にならない可能性を示しています。楽天証券も、自動返却後に同一の株主番号になる保証はないとしています。
長期保有の条件がある銘柄は、発行会社の優待条件を確認したうえで「貸し出さない」設定にしておく方法があります。
出典:SBI証券『貸株サービスの概要』、楽天証券『貸株サービスの基本ルール』
貸株金利・配当金相当額の税金と確定申告
貸株で受け取るお金は、株の売却益や通常の配当とは税金の区分が違います。申告が要るかどうかと、配当で受け取る場合との差を確認しておきましょう。
貸株金利と配当金相当額は雑所得
SBI証券は、貸株金利と配当金相当額を税区分上「雑所得」で、総合課税の対象としています。楽天証券は「雑所得」または「事業所得」です。
雑所得は、給与所得などのほかの所得と合計して総所得金額を出し、そのうえで税額を計算します。株の売却益のように、特定口座の源泉徴収で手続きが終わる仕組みではありません。
確定申告が必要になる条件
給与を1か所から受け、その全部が源泉徴収の対象になる人は、給与所得と退職所得以外の所得の合計が20万円以下なら所得税の確定申告は不要です。給与の年間収入が2,000万円を超える人は、金額にかかわらず申告が必要になります。
20万円の判定には、貸株金利と配当金相当額だけでなく、副業の所得などほかの雑所得も合算します。楽天証券も、年収2,000万円以下の給与所得者で雑所得の合計が20万円以下なら申告不要としています。
給与所得がない人や、年金・事業の所得がある人は判定の条件が異なります。自分がどれに当たるかは、国税庁の案内で確かめてください。
出典:国税庁『給与所得者で確定申告が必要な人』、楽天証券『貸株サービス』
配当控除と損益通算が使えなくなる点
同じ配当の権利でも、配当金で受け取るか配当金相当額で受け取るかで税金の扱いが変わります。配当金相当額は配当所得ではないため、配当控除を使えません。
| 項目 | 配当金(配当所得) | 配当金相当額(雑所得) |
| 受け取り時の税 | 上場株式等は所得税15.315%と地方税5%を源泉徴収 | 源泉徴収税相当額を差し引いた額で受け取る(楽天証券は所得税15.315%相当額) |
| 課税の方法 | 総合課税・申告分離課税・確定申告不要から選べる | 総合課税 |
| 配当控除 | 総合課税を選べば対象 | 対象外 |
| 上場株式等の譲渡損失との相殺 | 申告分離課税を選べば可能 | できない |
株の売却で損失が出た年でも、配当金相当額をその損失と相殺することはできません。三菱UFJ eスマート証券は、REITや高配当の株では予想外の配当金相当額を受け取る場合があると注意を促しています。
出典:国税庁『配当金を受け取ったとき(配当所得)』、楽天証券『貸株サービスの基本ルール』、三菱UFJ eスマート証券『貸株サービス 取引ルール』
貸株サービスを主要ネット証券6社で比較
主要ネット証券6社の貸株サービスを、金利の決まり方・入金日・自動取得設定で並べました。並びは五十音順で、金利は各社の公式ページで公表している範囲の記載です。
| 証券会社 | 金利の決まり方 | 金利の入金日 | 優待・配当の自動取得 | 公式サイト |
| SBI証券 | 銘柄ごと。翌週分の予定金利を画面に表示 | 翌月15日(休業日は前営業日) | 3コース | 公式サイト |
| GMOクリック証券 | 銘柄ごと。原則週次で見直し | 翌月20日(営業日でない場合は前倒し) | 2コース | 公式サイト |
| 松井証券 | 年0.2%から。市場の動向により随時変更 | 翌月第1営業日の夜間処理で入金 | 3つの設定 | 公式サイト |
| マネックス証券 | 通常金利は年0.1%。高い銘柄はボーナス金利 | 翌月10日(非営業日は前営業日) | 優待・配当を個別に設定 | 公式サイト |
| 三菱UFJ eスマート証券 | 原則0.02%から。月末に1回見直し | 翌月第2金曜日の翌営業日 | 銘柄ごとに設定 | 公式サイト |
| 楽天証券 | 銘柄ごと。原則週次で見直し | 翌月第2営業日 | 3コース | 公式サイト |
証券会社の選び方全般は、証券会社の比較記事で扱います。
出典:GMOクリック証券『貸株サービスルール』、マネックス証券『貸株サービスを利用していますが、貸株金利の受取方法を教えてください。』、三菱UFJ eスマート証券『貸株サービス 貸借料率(貸株利率)』
SBI証券の貸株
SBI証券では、NISA口座の株は銘柄にかかわらず貸株の対象外です。
信用取引口座を持つ人向けに、代用有価証券のまま貸し出せる「担保貸株」もあります。原則毎営業日の抽選で当選した株に特別金利が付き、貸出中の評価額分の担保金は会社の資産と区別して管理されます。
通常の貸株サービスは分別管理の対象外で、担保貸株とは扱いが違います。手数料全般はSBI証券の手数料記事で扱います。
GMOクリック証券の貸株
GMOクリック証券は、貸株金利も優待も受け取りたい場合は「優待優先」、貸株金利を多く受け取りたい場合は「金利優先」のコースを選ぶ形です。
NISA口座で保有している株は貸株の対象になりません。会社そのものの安全性や評判は、GMOクリック証券の評判記事で扱います。
出典:GMOクリック証券『株主優待自動取得サービス』、『貸株サービスルール』
松井証券の貸株
松井証券では、2020年9月25日夕方以降に総合口座を申し込んだ人は、貸株口座も同時に申し込んだ扱いです。その場合の権利取得設定は、初期状態で「権利取得優先」になっています。
信用取引の担保にしている株も貸し出せ、貸し出しても担保の評価は原則80%のままです。NISA口座(旧NISA含む)の残高は貸株の対象外です。手数料は松井証券の手数料記事で扱います。
出典:松井証券『貸株サービス 取引ルール』、『貸株サービス』
マネックス証券の貸株
マネックス証券では、NISA・ジュニアNISAで持っている株は貸株の対象外です。
米国株の貸株サービスは2027年4月に始まる予定で、現在は事前申込みを受け付けています。
出典:マネックス証券『貸株サービスの特徴を教えてください。』、『米国貸株サービスの申込み方法を教えてください。』
三菱UFJ eスマート証券の貸株
三菱UFJ eスマート証券は、ETFやREITを含む現物株式が貸株の対象で、貸借料率は原則月末に1回見直します。翌月の料率は、変更日の7日前から画面に表示されます。
信用取引の代用有価証券を貸す場合は、別サービスの「代用貸株」を使います。単元未満株(プチ株)は貸株の対象外です。
出典:三菱UFJ eスマート証券『貸株サービス(国内株式)』、『貸株サービス 取引ルール』
楽天証券の貸株
楽天証券では、旧NISAとNISA成長投資枠の株は貸株の対象外です。
3つのコースから優待・配当の受け取り方を選べ、信用取引の代用有価証券は「信用貸株」として貸し出せます。設定は保有銘柄の一括設定のほか、銘柄ごとにも行えます。
出典:楽天証券『貸株サービス』、『貸株サービスの基本ルール』
貸株のデメリットとリスク
貸株の注意点は、優待・配当・税金の扱いに加えて、貸した株そのものの保護にあります。株を預けているだけの状態とは、守られ方が変わる点を押さえてください。
証券会社が破綻した場合の扱い
貸株は無担保の消費貸借契約のため、利用者は貸した先の証券会社の信用リスクを負います。マネックス証券は、破綻した場合に利用者は一般債権者となり、貸した株が返却されない可能性があるとしています。
三菱UFJ eスマート証券も、破綻時に貸出中の株式等は返却されず、時価相当額の返還請求権を持つ一般債権者になるとしています。
証券会社がさらに貸した先が破綻した場合、SBI証券は担保で株を調達して返却するとしています。それでも返却が難しい場合は遅延損害金の支払いとなり、優待や議決権に当たる内容は保証の対象外です。
出典:マネックス証券『貸株サービスには、どのようなリスクがありますか?』、三菱UFJ eスマート証券『貸株サービス 取引ルール』、SBI証券『貸株サービスの概要』
分別管理と投資者保護基金の対象外
証券会社に預けた株は、通常は会社の資産と分けて管理され、破綻しても返還される仕組みです。返還されない分は、日本投資者保護基金が1人当たり1,000万円を上限に補償します。
ところが、楽天証券は貸し付けた株券等について分別保管と投資者保護基金による保護の対象にならないとしています。松井証券・マネックス証券・三菱UFJ eスマート証券も同じ扱いです。
貸株サービスに申し込んでいても、貸し出していない銘柄や株数は分別保管の対象です(マネックス証券)。証券会社ごとの財務や安全性は、各社の安全性を扱う記事で確認できます。
出典:日本投資者保護基金『よくあるご質問』、楽天証券『貸株サービスの基本ルール』、マネックス証券『貸株サービスには、どのようなリスクがありますか?』
変動し保証されない貸株金利
貸株金利は、楽天証券とGMOクリック証券が原則週次、三菱UFJ eスマート証券が月に1回見直します。貸し始めた時点の金利がそのまま続くわけではありません。
松井証券は市場の動向に応じて随時変更するとしています。高い金利を見て貸し始めても、翌週や翌月には下がっている場合があります。
出典:楽天証券『貸株サービスの基本ルール』、GMOクリック証券『貸株サービスルール』、松井証券『貸株サービス 取引ルール』
貸株の制限・返却が起きる場合
証券会社の判断で、貸し出しが止まったり株が返却されたりすることがあります。SBI証券では、特定口座の開設・廃止や信用口座の廃止のときにすべての銘柄が自動返却されます。
松井証券は、貸出数量の上限を1人当たり発行済株式数の1%としています。株式分割や合併などの銘柄異動があるときも、SBI証券・松井証券では貸し出しの停止や返却が行われます。
出典:SBI証券『貸株サービスの概要』、松井証券『貸株サービス 取引ルール』
貸株が向いている人・向いていない人
貸株を使うかどうかは、持っている株の目的と、優待・税金・信用リスクをどう考えるかで分かれます。条件ごとに整理しました。
貸株が向いている人
長く持つつもりの株があり、優待や配当より貸株金利を優先できる人は、貸株の利点を受けやすくなります。売りたいときにそのまま売れるため、保有の自由度も大きく変わりません。
優待も受け取りたい人は、自動取得設定で権利確定日だけ株を戻す方法があります。
貸株をやめたほうがいい人
次の条件に当てはまる場合は、貸株を使わないか、その銘柄だけ貸し出さない設定にする選択肢があります。どれも仕組みから生じる制約で、会社を選んでも避けられません。
| 当てはまる条件 | 貸株で起きること |
| 長期保有の優待を狙っている | 株主番号が途切れ、保有期間の条件を満たせない場合がある |
| 配当控除を使いたい | 貸出中の配当は配当金相当額になり、配当控除の対象外 |
| 確定申告の手間を増やしたくない | 雑所得の合計が20万円を超えると申告が必要になる |
| 証券会社の破綻リスクを取りたくない | 貸した株は分別管理と投資者保護基金の対象外 |
| 株はNISA口座でしか持っていない | SBI・楽天・マネックス・松井・GMOクリックではNISAの株は対象外 |
口座をまだ持っていない人は、口座開設の手順を各社の記事で確認できます。
貸株に関するよくある質問
貸株でどれくらいの金利を受け取れる?
金利は銘柄と時期で変わるため、決まった額はありません。100万円分を年1%で1年貸すと1万円が税引前の目安で、ほかの年率の場合は金利の計算方法の章の表を参照してください。
貸株をやめた方がいい理由は?
主な理由は、長期保有の優待を失う場合があること、配当控除が使えないこと、破綻時に貸した株が保護されないことの3点です。当てはまる条件は、向いていない人の表にまとめました。
貸株ができる証券会社は?
この記事で比べたSBI証券・GMOクリック証券・松井証券・マネックス証券・三菱UFJ eスマート証券・楽天証券の6社は、いずれも国内株式の貸株サービスを提供しています。
貸株中に株価が下がったらどうなる?
貸している間も、株価の値動きは自分の保有株として受けます。値下がりによる損失は、投資者保護基金の補償の対象になりません。貸出中でも売却はできるため、売買の判断は通常の保有と同じように行えます。
NISA口座の株は貸株できる?
SBI証券・楽天証券・マネックス証券・松井証券・GMOクリック証券では、NISA口座の株は貸株の対象外です。NISAで個別株を持つときの注意点は、NISAで個別株を買うときの記事で確認できます。
米国株も貸株できる?
SBI証券には、2016年9月に始まった米国貸株サービス「カストック」があります。マネックス証券の米国貸株は2027年4月開始の予定で、現在は事前申込みの段階です。
出典:SBI証券『米国貸株のサービス利便性向上、申込みが毎国内営業日可能に』、マネックス証券『米国貸株サービスの申込み方法を教えてください。』
貸株は途中でやめられる?
やめられます。SBI証券は営業日13:30までの解約申込みが5営業日後に完了し、楽天証券は16時前の返却設定で3営業日後に返却されます。銘柄ごとに「貸し出さない」にする方法もあります。
出典:SBI証券『貸株サービスの概要』、楽天証券『貸株サービスの基本ルール』
まとめ
貸株は、保有株を証券会社に貸して銘柄ごとの貸株金利を受け取るサービスです。利用料はかからず、貸出中も売却できますが、貸した株は分別管理と投資者保護基金の対象から外れます。
権利確定日に貸していると優待は受け取れず、配当は雑所得の配当金相当額になります。優待を守りたい場合は自動取得設定を使い、長期保有の優待がある銘柄は貸し出さない設定にしておく方法があります。
証券会社ごとの違いは、金利の見直し方・入金日・自動取得設定の選択肢です。NISA口座の株はSBI証券・楽天証券・マネックス証券・松井証券・GMOクリック証券で対象外なので、課税口座で長く持つ株があるかを先に確認してください。

