積立NISAは貯金代わりになる?|預金との違いと使い分けの考え方

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積立NISAで買う投資信託を貯金代わりにしてよいかは、預金との仕組みの違いを知ってから判断する必要があります。投資信託は元本保証がなく、預金保険の対象にもなりません。

保護の仕組み、換金までの日数、税金の扱いは預金と異なります。金融庁は、貯蓄と投資を目的に応じて使い分ける考え方を示しています。

預金保険と投資者保護基金の違い、換金代金を受け取るまでの日数、貯金とNISAの使い分け方が分かります。

3行要約

①NISAで買う投資信託は元本保証がなく預金保険の対象外
②投資信託の換金代金の受け取りは原則申込日から4営業日目以降
③金融庁は貯蓄と投資を目的に応じて使い分ける考え方を提示

積立NISAは貯金代わりになる?

積立NISAで買う投資信託は、預金とは仕組みが別の金融商品です。預金保険の対象にならず、元本割れのおそれもあるため、預金と同じ仕組みで守られる商品ではありません。

その一方で、NISA口座で得た運用益は非課税になり、預金の利子にはない特徴があります。どちらに置くかは、お金を使う時期と目的で分けて考えることになるでしょう。

預金と投資信託は仕組みが別のもの

預金は、預金保険制度によって1金融機関ごとに預金者1人当たり元本1,000万円までと破綻日までの利息等が保護されます。投資信託は運用の結果で損失が出ることもある「元本保証のない金融商品」です。

金融庁は「株式や投資信託などの運用商品に投資することで、預貯金よりも高いリターンを期待することはできますが、元本割れのおそれもあります。」と説明しています。

NISAと貯金の違いは、保護の制度、換金までの日数、税金の扱いに表れます。どちらが優れているかではなく役割が違うと捉えると、使い分けを考えやすくなります。

出典:預金保険機構『保護の範囲』、資産運用業協会『投資信託の安全性』、金融庁『資産形成の基本』

積立NISAとつみたて投資枠の呼び方

NISA(ニーサ)は、2014年1月に始まった少額投資非課税制度です。2018年1月につみたてNISAが加わり、2024年1月から新しい制度に切り替わりました。

2024年からのNISAでは、つみたてNISAがつみたて投資枠に、一般NISAが成長投資枠に引き継がれています。本記事では、新NISAで「積立NISA」と呼ばれるものを現在のつみたて投資枠として扱います。

2023年末までにつみたてNISAで買った商品は、NISAの外枠で管理され、2023年までの制度の非課税措置が続きます。旧制度の非課税保有期間は、つみたてNISAで20年間でした。

出典:金融庁『NISAを知る』

NISAと預金の違い

預金とNISA口座で買う投資信託の違いを、一次資料の内容で並べました。保護の仕組み、換金までの日数、税金の3点で扱いが分かれます。

項目普通預金・定期預金NISA口座の投資信託
元本保証ありなし
破綻時の保護の仕組み預金保険制度分別管理(証券会社で買った場合は日本投資者保護基金も)
保護・補償の上限1金融機関ごとに元本1,000万円までと破綻日までの利息等(決済用預金は全額)破綻した証券会社ごとに1人1,000万円まで
値下がりによる損失―補償の対象外
換金代金の受け取り―原則として換金の申込日から4営業日目以降(日々決算型を除く)
利子・運用益の税金利子に15.315%(他に地方税5%)の源泉分離課税配当等と譲渡益が非課税
投資できる金額の上限―つみたて投資枠が年間120万円、成長投資枠が年間240万円

預金の元本保証は、金融庁の資料が引用する報告書の「預金は、元本保証があり安全性が高い一方」という整理によります。各項目の根拠は、以下の見出しごとに示します。

出典:金融庁『NISAを利用する皆さまへ』

預金保険で守られる範囲

預金保険は、金融機関が破綻したときに預金を保護する制度です。利息のつく普通預金や定期預金などの一般預金等は、1金融機関ごとに合算(名寄せ)して、預金者1人当たり元本1,000万円までと破綻日までの利息等が保護されます。

当座預金や利息のつかない普通預金などの決済用預金は、全額が保護の対象です。決済用預金とは、利息がつかず、いつでも払戻しを請求でき、決済サービスを提供できる預金のことです。

一般預金等のうち元本1,000万円を超える部分は、破綻した金融機関の財産の状況に応じて支払われ、一部カットされることがあります。なお、ゆうちょ銀行も預金保険制度の対象金融機関です。

預金保険機構は「国債や投資信託は、預金保険による保護の対象ではありません。」としています。銀行の窓口で買った投資信託でも、この扱いは変わりません。

出典:預金保険機構『保護の範囲』、『よくあるご質問』

投資者保護基金が補償する範囲

証券会社には、顧客から預かった金銭や有価証券を自社の資産と分けて管理する「分別管理」が法律で義務付けられています。分別管理がきちんと行われていれば、証券会社が破綻しても資産は原則として返還されます。

日本投資者保護基金は、分別管理の義務違反によって資産を返還できない場合に、1人当たり1,000万円を上限に金銭で補償します。複数の証券会社が破綻したときは、証券会社ごとに上限が適用される仕組みです。

上限を超えて返還されない資産は、破綻した証券会社の債権者として破産手続などを通じて請求できます。ただし、どれだけ戻るかは証券会社の財産状況によって異なります。

インターネット取引専業の証券会社も、基金への加入が法律で義務付けられています。NISA口座をネット証券で開いた場合も、この補償の仕組みは同じです。

補償の対象は、返還を受けられなかった金銭と有価証券に限られます。基金は、相場の値下がりによる損失を補償するものではないとしており、評価損(取得価額と時価の差額)も補償しません。

銀行など証券会社以外で買った投資信託は、基金の補償対象になりません。銀行は基金の会員ではないためです。ただし、銀行で買った場合でも分別管理は義務付けられています。

投資信託の信託財産は、受託会社(信託銀行等)が自社の固有財産と分けて管理しています。資産運用業協会は、こうして保全されていることと、元本保証のない金融商品であることは別のことだと注意を促しています。

販売会社が破綻した場合も信託財産に影響はなく、保有していた投資信託は別の販売会社に移管され、移管先で取引を続けることが可能です。運用会社が破綻しても、信託財産は信託銀行に保管されているため直接的な影響はありません。

出典:日本投資者保護基金『Q&A』、預金保険機構『よくあるご質問』、資産運用業協会『投資信託の安全性』

換金までの日数

投資信託は原則としていつでも換金を申し込めますが、お金を受け取るまでに日数がかかります。日々決算型(MMF・MRFなど)以外の投資信託の換金代金は、原則として換金の申込日から4営業日目以降に支払われます。

換金の申込みは、販売会社の営業時間の午後3時30分までに行います。ただし、換金の受付時間は投資信託によって異なります。

投資信託によっては、一定期間解約ができない「クローズド期間」を設けているものもあります。急にお金が必要になったときは、受け取りまでの日数を見込んでおく必要があるでしょう。

出典:資産運用業協会『換金の種類と手続き』

利息と運用益にかかる税金

預貯金の利子には、支払いを受けるときに一律15.315%(他に地方税5%)の税金が源泉徴収されます。これで納税が完結する源泉分離課税で、確定申告はできません。

令和9年分以後は内訳が所得税・防衛特別所得税・復興特別所得税に変わりますが、国税庁は合計税率に変更はないとしています。

NISA口座では、つみたて投資枠と成長投資枠で取得した上場株式等の配当等と、売却で生じた譲渡益が非課税です。通常の口座で投資した場合は、売却益や配当に約20%の税金がかかります。

NISA口座で持つ上場株式の配当金が非課税になるのは、受取方法に株式数比例配分方式を選んだものだけです。

出典:国税庁『利息を受け取ったとき(利子所得)』、『NISA制度』、金融庁『NISAを知る』

NISA口座で買える商品

NISAで非課税になるのは、非課税口座で取得した上場株式等です。金融庁の資料では、つみたて投資枠の対象は長期の積立・分散投資に適した一定の投資信託、成長投資枠は上場株式・投資信託等となっています。

定期預金はNISAの対象商品に挙がっていません。NISAと定期預金を比べるときは、別々の口座で持つ別の商品として並べることになります。

出典:国税庁『NISA制度』、金融庁『NISAを利用する皆さまへ』

貯金とNISAの使い分けの考え方

貯金とNISAのどちらを選ぶかについて、金融庁は優劣ではなく使い分けの考え方を示しています。資産状況やライフプラン、目的に応じて貯蓄と投資を使い分けるという考え方です。

金融庁が示す貯蓄と投資の使い分け

金融庁のNISA特設サイトは、資産形成には「貯蓄」と「投資」の2つの方法があるとしています。そのうえで「方法を使い分けることが大切です。」と説明しています。

使い分けの基準は「そのときの資産状況や今後のライフプランなどに適した形で」とされています。同じページでは、主な金融商品の特徴を安全性・収益性・流動性の3つの軸で比べています。

金融商品安全性収益性流動性
預貯金◎△◎
株式△◎◯
債券◯◯△
投資信託△〜◯◯〜◎◯

安全性は元本と利子の支払いが確実かの度合い、流動性は必要になったときにすぐ換金できるかの度合いを表します。金融庁は表の下で「3つとも◎の金融商品はありません。目的に応じて使い分けましょう。」と結んでいます。

積立NISAと貯金、定期預金とNISAのどっちを選ぶかは、この3つの軸のどれを優先するかで変わってきます。

出典:金融庁『資産形成の基本』

貯金とNISAの割合の決め方

金融庁の「資産形成の基本」は、貯金とNISAの割合を数値で示していません。代わりに、ライフプランからお金が必要になる時期を考える手順を示しています。

金融庁は、希望するライフプランについて「どのくらいお金がかかるのか、想定外の事態にも備えて、必要な時期についても考えてみましょう。」という案内です。

手順にすると、まず予定している支出を、いつ・いくら必要になるかで書き出します。そのうえで、安全性・収益性・流動性の表と照らし合わせ、それぞれのお金の置き場所を考えていく流れです。

投資信託を換金してお金を受け取るまでの日数は、前の見出し「換金までの日数」を参照してください。

出典:金融庁『資産形成の基本』

貯金ゼロから始める前の確認

NISA口座は、日本国内に住んでいる18歳以上(利用する年の1月1日時点)であれば開設できます。口座は1人につき1口座で、制度の要件に預金残高は含まれていません。

一方で金融庁は、家計管理の基本を「収入と支出をきちんと把握・管理すること、収支を黒字にすること、そして黒字分を貯蓄すること」としています。

給料日に一定額を自動で貯蓄用口座に移し、先に貯蓄に回す方法も紹介されています。毎月いくら積み立てるかの目安は、本記事では扱っていません。

出典:金融庁『NISAを知る』、『資産形成の基本』

貯金をNISAに移す前の確認

貯金をNISAに回すときは、年間に投資できる金額の上限を確認しておきましょう。つみたて投資枠は年間120万円、成長投資枠は年間240万円で、両方を併用できます。

生涯の非課税保有限度額は1,800万円で、そのうち成長投資枠は1,200万円が上限です。限度額は簿価(取得金額)をもとに計算されます。

非課税保有限度額は利用者ごとに国税庁が一括で管理し、複数の金融機関で保有する分も合算して管理する仕組みです。

預金から移した資金は、投資信託として値動きの影響を受けるようになります。見出し「NISAと預金の違い」で示した保護制度と換金日数の違いは、移した分にもそのまま当てはまる点に注意してください。

出典:金融庁『NISAを知る』、『NISAを利用する皆さまへ』

積立NISAを貯金代わりにするときの注意点

積立NISAを貯金と同じ感覚で使う場合は、値下がりの扱い、売却した後の枠、積立投資の性質を先に確認しておく必要があります。どれも預金にはない論点です。

元本割れの可能性

金融庁の資料は、有価証券等への投資は「預金等とは異なり、元本割れ等のリスクを伴います」としています。NISA口座で買っても値下がりの扱いは変わらず、投資者保護基金も値下がりによる損失は補償しません。

出典:金融庁『NISAを利用する皆さまへ』

売却した枠が戻る時期

NISA口座で商品を売却すると、翌年以降に、売却した商品の簿価(取得金額)の分だけ非課税投資枠が復活します。売却した年のうちに枠が戻るわけではありません。

金融庁は、NISA口座で保有している商品を売却しても損益がなくなるわけではない点も添えています。

出典:金融庁『NISAを知る』

積立投資の仕組み

積立NISAを貯金感覚で続けやすいのは、決まった金額を続けて買う積立投資の形をとるためです。金融庁は積立投資を「一括で投資するのではなく『あらかじめ決まった金額』を『続けて』投資すること」と説明しています。

少ない金額から始められ、安いときに買わなかったり高いときにだけ買ったりすることを避けられる点も挙げられています。

ただし、積み立てた金額と評価額は一致しません。

出典:金融庁『資産形成の基本』

定期預金・積立預金と比べるとき

毎月一定額を積み立てる点では、積立NISAと銀行の積立型の預金は似ています。違いは保護の仕組みにあり、定期預金や定期積金は預金保険の対象、投資信託は対象外です。

定期預金のデメリットや中途解約の扱いは、定期預金はおすすめしない?の解説記事で整理しています。

銀行ごとの積立預金の条件は、積立預金の解説記事で比べています。

出典:預金保険機構『保護の範囲』

積立NISAと貯金に関するよくある質問

積立NISAは貯金になる?

積立NISAで買う投資信託は、預金保険の対象外で元本保証もないため、預金と同じものにはなりません。運用益が非課税になる投資の制度として、貯蓄とは役割を分けて考えるのが金融庁の示す整理です。

NISAで定期預金は買える?

NISAの対象商品は、つみたて投資枠が一定の投資信託、成長投資枠が上場株式・投資信託等で、定期預金は含まれていません。詳しくは見出し「NISA口座で買える商品」を参照してください。

銀行で買った投資信託は投資者保護基金の対象?

対象外です。銀行は日本投資者保護基金の会員ではないため、銀行で買った投資信託は基金の補償対象になりません。ただし、銀行でも分別管理は義務付けられています。

NISA口座を銀行と証券会社のどちらで開くかは、取り扱う商品の違いも含めて別に比べる論点です。

出典:日本投資者保護基金『Q&A』

子どもの貯金をNISAで運用できる?

本記事で扱うNISA口座は、利用する年の1月1日時点で18歳以上の人が対象です。18歳未満の子ども名義の資金の扱いは、本記事の対象外です。

まとめ

積立NISAで買う投資信託は、預金保険の対象外で元本保証のない商品です。証券会社で買った場合は分別管理と投資者保護基金で守られますが、値下がりによる損失は補償されません。

換金代金の受け取りは原則として申込日から4営業日目以降です。利子に課税される預金と違い、NISA口座の運用益は非課税になります。

金融庁は「3つとも◎の金融商品はありません」として、貯蓄と投資を目的に応じて使い分ける考え方を示しています。お金が必要になる時期と金額を書き出し、安全性・収益性・流動性の表と照らし合わせて置き場所を考えてください。

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