アルトコインとは、ビットコイン以外のすべての暗号資産を指す言葉です。種類が多く特徴もさまざまなため、「どれを選べばいいのか分からない」と感じる人も少なくありません。
しかし、用途や仕組みを理解すれば、将来性のあるプロジェクトを見分けることができます。
本記事では、アルトコインの基礎から主要銘柄の特徴、注目される理由、さらに将来性を判断するための重要ポイントまでをわかりやすくまとめました。暗号資産が初めての人でも安心して読み進められるよう丁寧に解説していきます。
- 三行要約
・アルトコインとはビットコイン以外の銘柄を指す言葉
・アルトコインには主要、ミーム、草、ステーブルなど種類がある
・ビットコイン同様にボラティリティが大きいので注意が必要
アルトコインとは
アルトコインとは、ビットコイン以外のすべての暗号資産（仮想通貨）を指す言葉です。
英語の「Alternative Coin（代替コイン）」が語源で、直訳すると「別の選択肢となるコイン」という意味になります。ビットコインが暗号資産の“原点”とされる一方で、アルトコインはその課題を補ったり、新しい仕組みを実装したりするために登場しました。
例えば、アプリケーション開発ができる「プラットフォーム型」、送金スピードに特化した「決済型」、価格を安定させる仕組みを備えた「ステーブルコイン」などです。
これらはビットコインが抱えていた課題を解決するために開発されました。代表的なものに、処理速度の遅さ、利用用途の限定性、プログラム機能の制限などがあります。
これらを改善するために、より高速にトランザクションを処理できる仕組みや、アプリケーションを構築できるシステム、エネルギー効率の改善など、それぞれのプロジェクトが独自のアイデアを持って開発されてきました。
アルトコインの種類
アルトコインには非常に多くの種類があり、その目的や機能によっていくつかのカテゴリーに分けることができます。
分類を理解しておくと、単に銘柄名を覚えるだけでなく「なぜそのコインが存在するのか」「どんな場面で利用されるのか」まで把握できるため、将来性を判断しやすくなります。ここではまず主要なカテゴリを整理し、そのうえで代表的なアルトコインを紹介します。
主要アルトコイン
「主要アルトコイン」は一般的な名称ではありませんが、当サイトでは「利用者が多く、すでに一定の市場規模を持っている銘柄」と定義しています。技術的な完成度も高く、世界中での採用事例が豊富です。そのため、暗号資産全体の基盤を支える“インフラ”として扱われることもあります。
以下では代表的なプロジェクトを個別に見ていきます。
イーサリアム（Ethereum）
イーサリアムは本格的なスマートコントラクト・プラットフォームとして最初期のブロックチェーンで、アプリケーションを自動実行できる仕組みを持っています。これにより、DeFi（分散型金融）やNFT、DAOといった新しいサービスが次々と誕生しました。
イーサリアムは2025年現在も開発者数が最も多く、レイヤー2と呼ばれる処理高速化技術の普及も進んでいます。アプリの基盤として圧倒的な存在感があるため、今後も長期的に価値を持ち続けるプロジェクトといえるでしょう。
リップル（XRP）
XRPは国際送金に特化した暗号資産で、銀行間の資金移動を高速・低コストで実現するために設計されています。従来の国際送金では数日かかることも珍しくありませんが、XRPを使うことで数秒〜数十秒で完結します。
特に2024〜2025年にかけて中東・アジアの銀行がRippleNetを採用するケースが増え、送金インフラとしての地位が強化されています。金融機関での採用実績が多い点は、他のアルトコインにはない特徴です。
ソラナ（Solana）
ソラナは圧倒的な高速処理（理論値5万件以上／秒）と低い手数料が武器のブロックチェーンです。NFT市場やゲーム系プロジェクトで存在感を強めており、2025年はオンチェーン取引量が大きく伸びています。
また「Solana Pay」と呼ばれる決済技術が実店舗に導入されるなど、ブロックチェーンを日常に広げる取り組みも進んでいます。処理能力の高さは現実世界での活用に直結するため、将来性があると評価されています。
BNB
BNBは世界最大級の暗号資産取引所Binanceが発行するトークンで、取引手数料の割引やブロックチェーン「BNB Chain」の基軸通貨として利用されています。取引量が多く、DeFi（分散型金融）分野でも大規模なエコシステムが構築されています。
また、BNB Chain上では多くのアプリやゲームが開発されており、実用性の面で強みがあります。
トロン（TRON）
トロンはコンテンツ配信や決済に強みを持つブロックチェーンで、USDT（テザー）の発行量の多くがTRONネットワーク上に存在することでも知られています。手数料が安く送金が速いため、特にアジア・中南米では個人間送金の手段として広く利用されています。
流通量の多さは安定したネットワーク利用につながり、長期的な継続性を支える要因にもなっています。
ミームコイン
ミームコインは、インターネット文化やジョークを由来とした暗号資産の総称です。代表的なものにDOGE（ドージコイン）やSHIB（シバイヌ）があり、コミュニティの盛り上がりが価格に反映されやすい特徴があります。
近年はSolana上のミームコインが注目され、短期的な値上がりで話題になるケースが増えています。ただし、実用性よりも話題性が先行しやすいため、投機性が高い点には注意が必要です。
草コイン
草コインとは、時価総額が非常に小さく、プロジェクト規模も小さいコインのことを指します。大きく成長する可能性がある一方で、開発が途中で止まったり、プロジェクト自体が消滅したりするリスクもあります。
初心者が手を出すには慎重さが求められますが、アルトコイン市場を理解するうえで「なぜ価値がつかないのか」を学ぶ題材としては有用です。
ステーブルコイン
ステーブルコインは、1ドルなどの法定通貨と価格連動するよう設計された暗号資産です。代表例としてUSDTやUSDCがあり、暗号資産市場の“基軸通貨”とも呼ばれるほど重要な存在になっています。
2025年は特に、アメリカの金融機関がステーブルコインを公式に扱えるようになる制度整備が進み、国際送金・オンライン決済・企業間決済で利用が急増しています。価格が安定しているため、資金を移動する際の“中継通貨”として欠かせない役割を担っています。
アルトコインが重要な理由
アルトコインは、単にビットコインの代わりとなる存在ではなく、暗号資産市場全体の発展を支える重要な役割を担っています。ここでは、なぜアルトコインが必要とされ、世界中で注目され続けているのかを整理します。
初心者でも理解しやすいように、それぞれのポイントを具体例とともに解説します。
技術や用途の多様性
アルトコインの最大の特徴は、用途の幅が非常に広いことです。
ビットコインは「価値保存」や「デジタルゴールド」としての性格が強いのに対し、アルトコインはそれぞれ独自の目的を持って開発されています。
たとえば以下のような用途があります。
- アプリ開発ができるプラットフォーム型（イーサリアム）
→ 金融アプリ、NFT、DAOなど多様なサービスを支える土台 - 国際送金に特化（XRP）
→ 世界各国の銀行が採用し、数秒で送金が完了 - 高速・低手数料の処理を実現（Solana）
→ ゲームやNFTマーケットで大量のトランザクションを捌く - 企業が利用しやすいブロックチェーン（BNB Chain、TRON）
→ 事業者向けアプリや送金サービスが急成長
このように、アルトコインはビットコインで解決できない課題に向き合い、新しい技術やサービスを生み出す源泉となっているのです。
投資対象としての魅力
アルトコインは、投資という観点でも大きな魅力があります。
理由のひとつが 成長余地の大きさ です。
ビットコインはすでに世界中で広く浸透しており、時価総額が非常に大きい一方、アルトコインはまだ伸びしろを残したプロジェクトが多く存在します。そのため、初期段階で実用性を伴った銘柄を見つけられれば、大幅な値上がりを期待できることがあります。
また市場全体が活況になると、「アルトシーズン」と呼ばれるアルトコインに資金が集まりやすい時期が訪れます。特に2024〜2025年には、Solanaや新興ミームコインが大幅に上昇する局面が複数回確認されました。
もちろん価格変動の大きさには注意が必要ですが、技術・需要・市場トレンドが揃った銘柄は長期的にも強い傾向があります。
市場トレンドと資金流入の動き
アルトコインが注目される背景には、市場全体のトレンドも密接に関係しています。
特に2024〜2025年は以下の要因が大きな追い風になっています。
ETFの登場と機関投資家の参入
イーサリアムやXRPなど、主要アルトコインに関連するETFが米国で注目されるようになり、従来より多くの資金が市場へ流入しやすくなっています。
ステーブルコインの普及
USDT・USDCの利用が世界中で拡大したことで、暗号資産全体の流動性が向上し、アルトコイン市場にも資金が回りやすくなっています。
新興国での利用増加
中南米・アフリカ・アジアなどでは、既存銀行インフラが不足している地域を中心に、SolanaやTRONを用いた低コスト送金が急速に広がっています。
企業のWeb3参入
大手企業がイーサリアムやSolanaの技術を採用するケースが増え、アルトコインの実用性が評価される流れが加速しています。
これらの要素が重なることで、アルトコインは単なる投資対象ではなく、実経済の一部としての役割を持つようになってきています。
アルトコインの将来性
主要アルトコインの将来性を判断するポイントは、①実用性（誰がどう使っているか）②開発の継続性（どれだけ改善が進んでいるか）③市場規模（流動性・取引量） の3つが中心になります。
以下では、主要銘柄ごとに最新動向を踏まえて将来性を整理します。
イーサリアム（Ethereum）
イーサリアムは依然としてWeb3・DeFi・NFTエコシステムの中心です。
2025年時点でも、時価総額はビットコインに次いで第2位の座をキープしています。
実用性
- DeFiのTVL（預かり資金）は約700億ドル超で、チェーン別で1位
- Arbitrum・Optimism・Base などレイヤー2の急成長により、ETHの利用範囲がさらに拡大
開発の継続性
- Ethereum Foundationが進める「Rollup-Centric Roadmap」が進行中
- Vitalik Buterinらコア開発者が継続関与しており、開発者数は暗号資産で最大
参考：https://ethereum.org
●市場規模
- ETH現物ETFが2024〜2025年に承認され、機関投資家の資金流入が安定
- 流動性・取引量ともに全アルトコイン中トップクラス
データ：https://coinmarketcap.com
総合評価
実需・開発・市場の全てが高水準で、長期的な将来性が最も高いアルトコインといえます。
ソラナ（Solana / SOL）
Solanaは2024〜2025年にもっとも勢いのあるチェーンのひとつで、高速処理・低手数料を強みに実需が急拡大しています。
実用性
- Solana Payがアメリカのアパレルブランド・ECサイトで採用
- Circle（USDC発行企業）がSolana対応を正式拡大 → 決済用途が強化
開発の継続性
- Google Cloud・Jump Crypto がバリデーターとして参加
- AI × ブロックチェーン領域の新規プロジェクトが急増
- エコシステムファンドにより新規DAppsが継続的に立ち上がっている
参考：https://solana.com
市場規模
- 2024〜2025年、オンチェーン取引量がETHを上回る日が複数回出現
データ：https://defillama.com - ミームコイン市場の活性化でSOLの取引量が急増
総合評価
実需・技術・市場の伸びが非常に強く、特に「決済×高速処理」の分野で将来性が高い注目銘柄です。
リップル（XRP）
XRPは国際送金に特化した暗号資産として、金融機関での採用が多い珍しいプロジェクトです。
実用性
- 中東・アジアの銀行がRippleNetを採用
- ODL（オンデマンド流動性）が複数の送金企業で実稼働
- 実際に「銀行が使う暗号資産」という位置づけを確立
開発の継続性
- Ripple社が企業向け送金インフラを継続強化
- XRPL（リップルの台帳）でNFT・トークン発行など新規用途も増加
市場規模
- スポットXRP ETFの申請が米国で承認される（2025年11月13日）
- 国際送金企業の保有量増加で流動性が安定
- 取引量は常に上位10以内を維持
総合評価
2025年時点では複数のXRP現物ETFが承認・上場しており、機関マネーの参入も進んでいます。
BNB（BNB Chain）
BNBは、世界最大級の取引所Binanceが発行するユーティリティトークンであり、取引所とブロックチェーンの両面で強い実用性を持ちます。
実用性
- Binance取引手数料の割引
- BNB Chainの基軸通貨として利用（DApps・ゲーム・DeFi）
参考：https://www.bnbchain.org
開発の継続性
- Binanceが全面支援するため更新が非常に早い
- EVM互換チェーンとして開発者が参入しやすい
●市場規模
- DeFi TVLは常に上位5以内
データ：https://defillama.com - 取引所利用者の増加により安定した需要がある
総合評価
取引所とチェーンの両方に強みがあり、Web3開発基盤として一定の成長が続く見込みがあります。
トロン（TRON / TRX）
TRONは新興国での送金インフラとして定着しており、実需に支えられた安定成長型のアルトコインです。
実用性
- USDT（テザー）の発行量の約50%以上がTRONネットワーク上で稼働
- 中南米・アジアで“安い・速い”送金手段として普及
- ピアツーピア送金での利用増
開発の継続性
- 継続的にネットワーク改善が行われている
- コミュニティ規模が大きく、利用者数も右肩上がり
●市場規模
- USDT流通量の多さがネットワーク利用を底支え
- 取引量も上位常連で、流動性が高い
データ：https://coinmarketcap.com
総合評価
派手さはないが実利用が強く、特に「新興国×送金」の分野で長期安定の将来性を持つプロジェクトです。
アルトコインの投資メリット
アルトコインへの投資は、正しく理解して取り組めば大きなメリットがありますが、一方でビットコイン以上にリスクも存在します。
この章では、メリットと注意点をバランス良く整理し、初心者が理解しやすいようにポイントを解説します。
アルトコインに投資するメリットとして、まず挙げられるのが 「成長余地の大きさ」 です。
値上がりが期待できる
ビットコインはすでに時価総額が非常に大きく、価格が短期間で数倍になるケースは限られています。一方アルトコインは、まだ発展途上のプロジェクトも多く、実用性や需要の増加によって大幅に成長する可能性があります。
実際に、Solana や Polygon のようなプロジェクトは初期から長期的に保有していた投資家に大きな利益をもたらしました。
長期的な需要が生まれる
イーサリアムをはじめ、アプリ開発の基盤となるアルトコインは、DeFi・NFT・ゲーム・AI連携サービスなど、利用シーンが増えるほど価値が高まりやすい構造があります。
用途が明確なプロジェクトは、ビットコインとは異なる形で価値が裏付けられやすく、長期的な価格安定にもつながりやすいのが特徴です。
分散投資の選択肢が広がる
ビットコインのみを保有するよりも、アルトコインを組み合わせることでポートフォリオを多角化できます。
特に以下のように性質の異なるコインを組み合わせると、リスクを調整しやすくなります。
- プラットフォーム型（例：ETH）
- 決済特化型（例：XRP）
- 高速処理型（例：SOL）
- 安定型（USDC・USDT）
アルトコインは、投資戦略に柔軟性を持たせられる点でもメリットがあります。
アルトコインの投資リスク
メリットがある一方、アルトコインにはビットコインに比べて 価格変動が大きい という側面があります。初心者が特に理解しておきたいリスクを整理します。
価格が急騰・急落しやすい
アルトコインは市場規模がまだ比較的小さいため、資金の出入りによって価格が大きく変動します。ニュースやSNSの影響だけで価格が数十％動くことも珍しくありません。
Solana やミームコインのように「短期間で急上昇 → 反動で急落」というパターンも多いため、短期的な値動きだけを見て判断すると危険です。
プロジェクトが頓挫するリスク
開発チームの資金不足、技術的な問題、コミュニティの離脱などにより、プロジェクト自体が停止するケースも存在します。
特に草コインはこのリスクが高く、
- 開発者が匿名
- ロードマップが曖昧
- 公式発信が少ない
といった特徴がある場合は注意が必要です。
規制の変更が価格に影響する
暗号資産は各国の規制に大きく左右されます。特に以下の事項は価格に直結しやすい動きです。
- アメリカの証券法関連の判断
- ステーブルコインに関する法案（例：米国 GENIUS Act）
- 取引所の上場廃止・上場審査の強化
急な規制対応により、価格が一時的に大きく下落する場合もあります。
アルトコイン投資リスクを避ける方法
アルトコイン投資で特に注意したいのが、初心者が陥りがちな“落とし穴”です。
SNS・インフルエンサーの情報を過信する
SNSで話題になったコインが必ずしも実力を持っているわけではありません。とくにミームコインは煽りや勢いで価格が動くことが多く、情報の真偽を見極める必要があります。
実用性を見ずに価格だけで判断する
価格が上がったから買う、下がったから売るという判断は危険です。
アルトコインは、
- 実際にどの企業が利用しているか
- 開発の進捗があるか
- コミュニティが活発か
といった“本質”を見ることが重要です。
1つの銘柄に集中投資する
初心者がよくやってしまうのが、1つのコインに全額投資するパターンです。
アルトコインはビットコイン以上にボラティリティが高いため、複数銘柄に分散することでリスクを大きく減らせます。
まとめ
アルトコインは、ビットコインでは補えない用途を担う存在として発展してきました。
イーサリアムのようにアプリ開発の基盤となるものから、リップルやトロンのように実際の送金インフラとして利用されるものまで役割は幅広く、その多様性こそが市場全体の成長を支えています。
将来性を判断する際は、実際に使われているかどうか、開発が継続しているか、市場規模が拡大しているかという三つの軸を押さえることが重要です。これらを踏まえて銘柄を選ぶことで、価格の変動に左右されにくく、より納得のいく投資判断ができるようになります。
