SLASH CARDとは?使い方・メリットを初心者向けに徹底解説
近年仮想通貨を決済手段として利用できるクリプトカードが登場し、日本でも徐々にサービスを展開しています。
中でもSLASH CARD(スラッシュカード)は、機能面だけでなく安全面などから注目を集めているクリプトカードです。SLASH CARDを持つことで、仮想通貨が日常で利用できるツールとして活用できます。
本記事では、SLASH CARDの特徴やメリット・デメリットについて仮想通貨初心者にも分かりやすく紹介します。
※2025年12月15日現在、SLASH CARDは正式提供前の段階にあり、公開されている一次資料をもとに記載しています。今後、仕様や提供内容が変更される可能性があります。
SLASH CARDの基本概要
最初にSLASH CARDの基本的な仕組みと、今注目を集めている理由について紹介します。
SLASH CARDは、お手持ちの仮想通貨を日常の買い物に利用できる革新的なクリプトカードです。
SLASH CARDとは?

SLASH CARDは、仮想通貨を日常の買い物に活用することを目指したクリプトカードです。
米ドル連動ステーブルコイン「USDC」を担保として利用し、オンラインショップや実店舗でのカード決済を可能にする決済サービスとして案内されています。
公式発表では「暗号資産クレジットカード」および「BNPL(後払い)サービス」と位置づけられており、従来の仮想通貨決済よりも使いやすい仕組みが想定されています。
利用にあたっては、MetaMaskやPhantomなどのアンホステッド(セルフカストディ)ウォレットに保有するUSDCを担保として活用する形式が案内されています。
SLASH CARDの種類

SLASH CARDには、物理カードとバーチャルカードの2種類があり、どちらも複数枚発行できる予定です。
物理カードは、一般的なクレジットカードやデビットカードと同じように、実店舗での利用を想定したプラスチック製のカードです。一方バーチャルカードは、オンライン決済や各種モバイル決済に対応予定のデジタルカードです。
バーチャルカードは即時発行できるうえに、モバイル決済と連携予定のため、スマホでの手軽な支払いが可能になると思われます。利用シーンに合わせて、物理カードとバーチャルカードを使い分けられる点もSLASH CARDの魅力です。
SLASH CARDが注目されている理由
SLASH CARDが注目されている理由のひとつは、Visa加盟店での支払いをカード決済として行える点です。
Visa対応のため、国内外の多くの実店舗やオンラインショップで利用できるとされています。店舗側は通常のカード決済として処理できるため、利用者は暗号資産を意識しすぎることなく決済できる点が特徴です。
従来、仮想通貨を決済に使うには日本円への換金が必要なケースが一般的でしたが、SLASH CARDではその手間を減らせる可能性があります。これにより、仮想通貨をより身近な決済手段として活用できることが期待されています。
SLASH CARDの特徴
次にSLASH CARDが持つ特徴について紹介します。
SLASH CARDは、仮想通貨を用いて買い物ができるだけでなく、利便性と安全性の高さに特徴があります。SLASH CARDが持つ大きな特徴として挙げられるのは、次の3点です。
仮想通貨をそのまま買い物に利用
今まで仮想通貨は、主に「投資するための手段」の認識が強く、保有し続けるだけで具体的な使い道が明確ではありませんでした。
しかしSLASH CARDの登場により、仮想通貨は明確な「決済手段」としての使い道が生まれます。
SLASH CARDを使うことで、円に換金する手間をかけずに、仮想通貨に替えた資産で買い物ができます。クリプトカードが普及すれば、仮想通貨の流通性が高まり、より一層仮想通貨の価値が高まる可能性があります。
実用性が高いSLASH CARDは、仮想通貨の新しい可能性を広げてくれる要因になるでしょう。
オリコと業務提携
SLASH CARDの運営会社は、国内大手の信販会社であるオリコ(株式会社オリエントコーポレーション)と業務提携を結んでいます。オリコとの提携により、国内のカード利用における規制や法令をクリアするための整備が進められています。
また、オリコがもつ既存のインフラと強固な決済ネットワークを活用できるため、日本国内での利便性が高まることが期待されます。日本での利用における安全性や信頼性を担保する上で、SLASH CARDとオリコとの提携は非常に重要です。
今は、仮想通貨に関する法整備が不完全であり、今後新しい規制が入る可能性は否定できません。
それでも、大手国内企業であるオリコとの連携は、ユーザーが安心して利用できる環境を整えるための大きな一歩です。
対応している銘柄

SLASH CARDが担保として利用できる銘柄は、現時点でUSDCのみです。
USDCとは、米ドルに連動して価格が変動するステーブルコインで、価格変動リスクが他の仮想通貨に比べて極めて低いのが特徴です。SLASH CARDは、USDC以外の仮想通貨を担保にする計画もあります。
担保にできる仮想通貨が増えれば、SLASH CARDの利便性はより高くなるでしょう。
USDCは、国際的な決済にも利用されやすい銘柄のため、海外での利用を見据えた上でも理にかなっています。USDCは米ドルと連動しているため「米ドルで買い物をする」感覚で仮想通貨を用いた買い物ができるのも、SLASH CARDの特徴です。
SLASH CARDのメリット
SLASH CARDを利用することで、従来の決済方法や他の仮想通貨カードにはない、いくつかの大きなメリットを享受できます。
具体的なSLASH CARDのメリットとして次の3つが挙げられます。
換金しなくても買い物ができる
SLASH CARDの最大のメリットは、資産として保有している仮想通貨を気軽に決済手段として利用できる点です。
仮想通貨を日常で使うために、取引所での売却手続きや銀行への出金手続きが必要でした。特に仮想通貨でまとまった資金を持っている人は、換金のために作業の手間や時間的なコストを払う必要がありました
しかしSLASH CARDなら、都度、取引所で売却して出金する手間を減らせる可能性があります。
「使いすぎ」を防げる
利用可能額や利用上限はUSDCの担保状況・与信枠などの条件に基づいて設定されると案内されています。
使いすぎを防ぐ目的で利用する場合も、上限設定や利用管理の方法は提供開始後の案内を確認しましょう。
国内の店舗でも気軽に利用できる
SLASH CARDは、国際ブランドであるVISAに対応しているため、国内の店舗でも非常に気軽に利用できます。
現在、日本国内の多くの店舗やオンラインサービスがVISA決済を受け入れています。そのため、国内で利用できる場所を探す必要がなく、いつもの買い物と同じ感覚で利用できます。
仮想通貨関連のサービスは海外発のものが多く、日本国内での利用に制限があるケースも少なくありません。
VISAカードが対応していれば利用できるので、他のクリプトカードと比べて実用性が高く「使える場所で困ることはない」という点がSLASH CARDのメリットです。
SLASH CARDのデメリット
利便性の高いSLASH CARDですが、利用をするにあたってのデメリットも知っておかなければいけません。
特に、仮想通貨を保有していない人や、特定の銘柄を保有している方にとっては、利用開始までに手間がかかる場合があります。具体的なSLASH CARDのデメリットを3つ紹介するので、ぜひ理解しておきましょう。
仮想通貨を持っていないと使えない
当然ながら、SLASH CARDはウォレット内の仮想通貨を決済に利用するカードであるため、仮想通貨を持っていないと利用できません。
仮想通貨を保有するには、仮想通貨取引所もしくは販売所の口座を開設して、購入分の日本円を入金する必要があります。なお、SLASH CARDを利用するならUSDCが必要なため、USDCを販売できる取引所の口座を開設しなければいけません。
一般的なクレジットカードやデビットカードに比べて、買い物できる状態にするまでの手間がかかるのがSLASH CARDのデメリットです。
これから新しく仮想通貨を持ち始める方にとっては、取引所の開設から入金、購入、そしてウォレットへの送金など一連の手間が発生します。仮想通貨投資に興味はあるものの、まだ一歩を踏み出せていない人には、ややハードルに感じるかもしれません。
USDCにしか対応していない
SLASH CARDが担保にできる仮想通貨は、現在発表されているのはUSDCのみとなっています。
ビットコインやイーサリアムなどの仮想通貨はもちろん、他のステーブルコインの対応は現時点では未定です。そのため、USDCを保有していない人は、保有銘柄をUSDCに交換しなければいけません。
USDCは、米ドルに連動しているステーブルコインではあるものの、仮想通貨取引でもっとも利用されているのはUSDT(テザー)です。
仮想通貨の交換には手数料やスプレッドなどのコストが発生します。今後対応銘柄が増える可能性はあるものの、USDCしか使えない点がSLASH CARDのデメリットです。
SLASH CARDと他のカードとの比較
| カードの種類 | 支払い手段 | 支払いのタイミング | 主なメリット | 日本での発行 | ブランド | ウォレットの開設 |
| SLASH CARD | USDCを担保として利用 | 後払いBNPL | 換金不要、使いすぎ防止 | 可能 | VISA | セルフカストディウォレット等の利用が案内(※要最新確認) |
| クレジットカード | 円(法定通貨) | 後払い | 手軽さ、ポイント、信用 | 可能 | カードによる | 不要 |
| デビットカード | 円(法定通貨) | 即時払い型 | 現金感覚、使いすぎ防止 | 可能 | カードによる | 不要 |
| 他のクリプトカード | 仮想通貨 | 即時払い型/後払い型 | 仮想通貨の利用促進 | 一部可能 | VISAもしくはMasterCard | 必要 |
SLASH CARDをより深く理解するために、クレジットカードやデビットカード、そして他のクリプトカードとの違いを比較しました。
上で紹介した決済カードは類似している部分もありますが、それぞれ独自の特徴を持っています。
SLASH CARDと各決済カードの違いを以下で詳しく解説します。
SLASH CARDとクレジットカードとの違い

SLASH CARDと一般的なクレジットカードの最大の違いは、決済に用いる資産と与信の考え方にあります。
一般的なクレジットカードは、カード会社が利用者の信用情報(年収・勤務先・信用履歴など)をもとに与信枠を設定し、その範囲内で後払いの決済ができる仕組みです。決済時点では利用者の預金残高や保有資産に関係なく支払いが成立し、後日まとめて口座から引き落とされます。
一方、SLASH CARDは公式発表において、米ドル連動ステーブルコイン「USDC」を担保として活用するBNPL(後払い)型の決済サービスとして案内されています。この点が、法定通貨の信用力のみを基準とする一般的なクレジットカードと大きく異なります。
SLASH CARDとデビットカードとの違い
SLASH CARDとデビットカードは、どちらも残高の範囲内で引き落としされる即時払い型という点で、使い方としては最も似ています。
大きな違いは支払い手段の資産の形です。
デビットカードは銀行口座にある法定通貨で、紐づけされた金融機関口座に預金がなければデビットカードでの支払いはできません。給与が振り込まれる口座を紐づければ、利用分を口座に振り込む必要はありません。
一方でSLASH CARDは、USDCを担保として活用するBNPL型の決済サービスとして案内されています。
デビットカードと違い、仮想通貨(USDC)の購入や送金手続きなど、利用できるようになるまでの手続きが多いです。手間はかかりますが、スマホから手続きできるため、仮想通貨を資産として保有していれば大きな問題ではありません。
SLASH CARDと他のクリプトカードとの違い
クリプトカードとは、仮想通貨を担保として決済を行う決済カードの総称で、SLASH CARDもクリプトカードの一種です。
SLASH CARDと他のクリプトカードとの主な違いは、日本での展開状況にあります。
多くのクリプトカードは、海外の会社が運営しており、日本でサービスを開始していないものも少なくありません。
また日本でサービス展開しているクリプトカードも、日本の規制に従っていないものもあります。SLASH CARDは、オリコと業務提携するなど日本での法令・規制対応をしっかり行い、サービス提供を目指しています。
信頼性や安全性を比べると、他のクリプトカードよりも一歩先を行っているのがSLASH CARDです。
SLASH CARDがおすすめな人の特徴
SLASH CARDは、仮想通貨を担保にして決済ができる新しいサービスです。
さまざまな特徴や数多くのメリットがありますが、すべての人におすすめできるわけではありません。
次に紹介する項目に当てはまる人は、SLASH CARDを強くおすすめします。
投資以外で仮想通貨を使いたい人
SLASH CARDは資産の一部を仮想通貨で保有しており、その使い道を考えている人に最もおすすめです。
仮想通貨でまとまった資産を保有していると、買い物で使おうとした時に法定通貨への換金手続きをしなければいけません。しかしSLASH CARDを所有すれば、換金の手間を省いて、保有資産をすぐに消費に回せます。
「仮想通貨を持っているのに、ただ保有しているだけ」という状況から脱却し、資産を流動的に活用したい人にSLASH CARDはおすすめです。
価格変動リスクが少ないクリプトカードを探している人
SLASH CARDは、担保にできる仮想通貨が米ドルと連動するUSDCであることが大きな特徴です。
ビットコインなどは、価格の変動が非常に大きいため、決済直前に価格が急落によって実質的な利用可能金額が減ってしまうリスクがあります。
しかし、ステーブルコインは法定通貨と価値が連動しているため、保有資産が予期せず減るリスクがビットコインに比べると比較的少ないです。価格変動リスクがないことによって、決済手段として使う上での安心感が格段に高まり、計画的で安定した支出が可能となります。
価格変動リスクを気にせず使えるクリプトカードを探してい人に、SLASH CARDはおすすめです。
海外旅行や海外出張が多い人
SLASH CARDは、海外での利用が多い人にとっても非常に利便性が高いカードで、海外旅行や海外出張する人におすすめです。
最大の理由は、利用できる店舗の多さで、VISAに対応しているため、世界中のVISA加盟店で気軽に利用できます。
海外での利用を想定したサービスとして案内されており、Visa加盟店でカード決済として支払いできる点はメリットになり得ます。日本のクレジットカードで海外決済をする際に発生する外貨両替手数料や、複雑な為替レートの計算を気にしなくてもよいです。
また、ウォレットへの送金もスムーズなうえ、円を送金するよりもコストも時間もかかりません。
行き先によってお金の換金に関するコストや手間を省いて利用できるのが、SLASH CARDの魅力です。
安全性の高さでクリプトカードを選びたい人
クリプトカードのような新しい金融サービスでは、その安全性の高さは重要な選定基準です。
SLASH CARDは、国内大手の信販会社であるオリコと業務提携しているため、安全性を重視する人におすすめです。オリコは長年日本で運営している金融サービスの会社です。
そのためオリコと業務提携することで、SLASH CARDが日本でサービスを運営するための法令や規制の準備をしっかり行えます。
海外発行のクリプトカードが多い中で、国内の信頼できる金融サービス会社との連携は、日本のユーザーにとって大きな安心材料となります。
カードの使い過ぎを防ぎたい人
SLASH CARDはUSDCを担保として活用するBNPL型の決済サービスです。
そのため、過去にクレジットカードで大きな失敗をした人でも安心して利用できます。SLASH CARDで決済するには、先にウォレットに仮想通貨を送金する必要があり、ウォレット内の仮想通貨がなくなると自動的にストップします。
この仕組みを利用して、ウォレットへの送金額を自分でコントロールすることで、月々の支出を管理しやすくなります。
特に過去にクレジットカードで使いすぎた経験がある方にとって、物理的に利用限度額を設定できるこの仕組みは非常に有効です。
ただし、利用するウォレットや送金方法によっては、送金手数料(ガス代)が発生する点には注意してください。
SLASH CARDの発行手順
次に、SLASH CARDを利用開始するまでの流れについて解説します。ただし 2025年12月15日時点では、SLASH CARDはまだ正式に発行・利用できる状態ではありません。
現在できるのは、公式サイトから事前登録を行い、サービス開始を待つことのみとなっています。
現時点では、この事前登録以外にできることはありません。
公式サイト:https://pre-card.slash.vision
SLASH CARDを利用する上での注意点
最後にSLASH CARDを使ううえでの注意点を解説します。
SLASH CARDは非常に魅力的なサービスですが、仮想通貨を利用する特性上、いくつかの注意点が存在します。
SLASH CARDを申し込む前に以下の3点を理解しておきましょう。
正式リリースは未定
本記事執筆時点(2025年12月15日)において、SLASH CARDの正式リリース日はまだ未定です。
2025年6月にリリース予定とされていましたが、それが10月に延期が発表され、12月現在でもリリースされていません。現在はウェブサイトにて事前登録を受け付けている段階で、実際のカード発行や利用開始までには、もう少し時間がかかる見込みです。
最新の情報はSLASH CARDの公式サイトや関連ニュースで常にチェックするようにしましょう。
法改正による規制の変更に注意
日本は現在、仮想通貨関連の法整備が進行途上にあり、法改正による規制の変更に注意を払う必要があります。
SLASH CARDをはじめとするクリプトカードは、既存の金融システムと仮想通貨の世界を繋ぐ新しいサービスです。しかし、今後日本で発行・利用できることに対して新たな規制がかかる可能性も否定できません。
一方、規制が緩和されてより作りやすく、利用しやすくなる可能性もあります。
金融庁などの公的な機関から発表される仮想通貨関連の法令や規制に関する情報は、常に確認してサービスの動向を把握しておきましょう。
利用金額に応じた税金が発生
暗号資産を売却・交換した場合と同様に、暗号資産を決済に利用した際にも損益計算が必要になる場合があり、税務上の注意が必要です。
暗号資産を決済に利用した場合でも、取得価額と利用時点の価額との差によって利益が生じることがあり、その場合は課税関係が発生する可能性があります。詳細は国税庁の案内や税理士等の専門家に確認しましょう。
つまり、SLASH CARDを使って買い物した金額に対して税金がかかる場合があるのです。
給与所得者の方の場合、仮想通貨の年間雑所得が20万円以上になると確定申告が必要になります。仮想通貨による利益は雑所得としてみなされるため、SLASH CARDの利用が年間20万円だと税金がかかる可能性は低いです。
SLASH CARDを積極的に利用するなら、税金に関する知識が求められます。
まとめ
ここまでSLASH CARDについて詳しく解説してきました。
SLASH CARDは、仮想通貨を保有している人にとって、換金の手間なく日常の決済に利用できる革新的なクリプトカードです。VISA加盟店で幅広く利用でき、国内大手オリコとの提携による安心感もあります。
また、価格変動リスクの低いステーブルコインを担保にできるため、価格変動リスクを気にせず安心して利用できます。SLASH CARDがもつメリットとデメリットを理解し、自分のライフスタイルや資産状況に合わせて賢く利用しましょう。








