JPYSCとJPYCの違いは?送金上限・発行体・使い道を比較
JPYSCとJPYCは名前が似ていますが、法律上の区分から使える人まで異なる別物です。「どちらを使えばいいのか」「自分は買えるのか」が分かりにくいという声に答えます。
大きな違いは電子決済手段の「号数」です。JPYSCは送金上限のない信託型(3号)で法人・大口向け、JPYCは個人でも使える資金移動業者型(1号)。設計思想がそもそも違います。
この記事では両者の違いを比較表で整理し、号数の制度差・使い分け・買い方・税金まで一度に把握できる形でまとめました。
- 3行要約
①信託型3号・送金上限なし・法人大口向けのJPYSC
②資金移動業者型1号・送金上限ありの個人向けJPYC
③現状SBI VCトレード口座内に限定流通のJPYSC
JPYSCとJPYCの違いを比較表で整理
まず全体像を一枚の表で押さえます。両者は同じ「日本円ステーブルコイン」でありながら、発行する主体も法律上の区分も想定する使い手も違う点が要点です。
| 項目 | JPYSC | JPYC |
| 発行体 | SBI新生信託銀行 | JPYC株式会社 |
| 法律上の区分 | 3号電子決済手段(信託型) | 1号電子決済手段(資金移動業者型) |
| 送金・発行の上限 | 法定の金額上限なし | 1回あたり100万円まで |
| 主な想定ユーザー | 法人・機関投資家・大口決済 | 個人・Web3・DeFi |
| 流通範囲(現状) | SBI VCトレードの口座内に限定 | 外部ウォレットでの保有・送付が可能 |
| 対応ブロックチェーン | 現時点で詳細は未公表 | Ethereum・Polygon・Avalanche 等 |
| 発行時期 | 2026年6月24日 | 2025年10月27日 |
| 販売・取得窓口 | SBI VCトレード | JPYC EX ほか |
ざっくり言えば、JPYSCは「上限なしで大口を動かす法人向けの信託型」、JPYCは「誰でも使える個人向けの資金移動業者型」です。次の章から、それぞれの中身を順に見ていきます。
出典:SBIホールディングス『日本初の信託型日本円建てステーブルコイン「JPYSC」を発表』、JPYC EX『日本円ステーブルコインサービス』
JPYSCとは何か
JPYSCは、SBIホールディングスとStartale Groupが共同で開発した日本円ステーブルコインで、2026年6月24日に発行が始まりました。発行体はSBI新生信託銀行、販売パートナーはSBI VCトレードが務めます。
発行体はSBI新生信託銀行という「信託型」
JPYSCの特徴は、信託銀行が発行主体になっている点にあります。利用者が預けた円を信託財産として管理し、その受益権をブロックチェーン上のトークンとして発行する仕組みです。
この方式では発行体の倒産から資産が隔離される(倒産隔離)ため、信託銀行が万一破綻しても裏付け資産は保全されます。法人や機関投資家が大口資金を扱う前提では、この安全設計が重視されます。
区分は3号電子決済手段(特定信託受益権)
JPYSCは資金決済法上の「3号電子決済手段」に当たります。これは法律上「特定信託受益権」と呼ばれ、信託銀行が受け入れた金銭を裏付けに発行されるタイプです。
3号には、後述する資金移動業者型(1号)と違って送金額の法定上限がありません。企業間の大口決済や資金管理に向くのは、この制度設計があるからです。
裏付け資産はどう管理されるのか
特定信託受益権では、信託銀行が受け入れた金銭を信託財産として管理します。基本は預貯金による保全で、利用者の資産が発行体の財産と分けて守られる仕組みです。
裏付け資産の運用には柔軟化も進んでいます。残存期間が短い国債や定期預金を一定の比率まで組み入れられるようになり、安全性を保ちながら運用効率を高める方向で制度が整えられてきました。法人が大口の円資金を預ける前提では、こうした保全と運用の両立が選ばれる理由になります。
「特定の者」だけで流通できる強み
3号には、ほかの号数にない法律上の特徴があります。それは「不特定の者への使用」を要件としていない点です。特定の者の間でしか流通しないものでも、定義を満たせば電子決済手段として認められます。
JPYSCが発行当初からSBI VCトレードの口座内に限定されていても制度上成り立つのは、この性質が背景にあります。まず限定された範囲で運用を始め、整備が進んだ段階でパブリックチェーンへ広げるという段階的な展開が取りやすい区分だと言えます。
2026年6月24日に発行、現状はSBI VCトレード口座内に限定
発行は2026年6月24日に始まりましたが、利用範囲は当初SBI VCトレードの口座内に限られます。外部のウォレットへ送ることは、発行時点ではできません。
パブリックチェーンでの本格的な流通は、規制上の取り扱いと税務の実務が明確になり次第とされています。つまり「上限なし」という制度上の強みと、「今すぐ自由に動かせる」という実務上の状態は、現段階ではまだ一致していません。
SBIとStartaleが組む狙い
JPYSCは、金融グループであるSBIホールディングスと、ブロックチェーン基盤を手がけるStartale Groupの連携で生まれました。発行体に信託銀行を据え、販売をSBI VCトレードが担うことで、信託の安全性と取引所の流通網を組み合わせる構図です。
個人向けで先行したJPYCに対し、JPYSCは企業間の大口決済やトークン化資産の決済といった法人領域を主戦場に据えます。同じ円ステーブルコインでも、最初から狙う市場が違うことが、設計の各所に表れています。
出典:JinaCoin『SBI、信託型円ステーブルコイン「JPYSC」発行開始』、CoinPost『JPYSCとは?仕組み・特徴・使い方』
JPYCとは何か
JPYCは、JPYC株式会社が発行する日本円ステーブルコインです。金融庁に登録された資金移動業者が発行する点が特徴で、円と1対1で結びついた電子決済手段として設計されています。
発行体はJPYC株式会社、2025年10月に正式発行
JPYC株式会社は2025年8月18日に資金移動業者として登録され、同年10月27日に日本円ステーブルコイン「JPYC」を正式に発行しました。1JPYCは1円で償還でき、いつでも円に戻せる前提で運用されています。
区分は1号電子決済手段(資金移動業者型)
JPYCは資金決済法上の「1号電子決済手段」で、その発行は第二種資金移動業として行われています。ここで誤解されやすいのが、現在のJPYCは「前払式支払手段」ではないという点です。
かつて存在した「JPYC Prepaid」は自家型の前払式支払手段で、原則として払い戻しができませんでした。現行のJPYCはこれとは別物の電子決済手段で、円での償還ができます。両者を同じものとして扱うと制度の理解を誤ります。
1回100万円の送金上限と複数チェーン対応
第二種資金移動業による発行のため、JPYCは1回あたりの送金・発行が100万円までに制限されます。これは残高そのものの上限ではなく、1回の取引額に対する制約です。
一方で対応チェーンは広く、Ethereum・Polygon・Avalanche などの複数のブロックチェーンで扱えます。外部ウォレットでの保有や送付ができるため、個人決済やDeFiとの接続に向いています。
JPYCでできること
JPYCは外部ウォレットで保有・送付できるため、用途の幅が広いのが利点です。個人間の送金や、対応するオンラインサービスでの支払い、分散型金融(DeFi)での運用など、ブロックチェーン上のさまざまな場面で円のまま動かせます。
取得や償還の窓口としてはJPYC EXなどが用意され、円との出入りを担います。先行して市場に出ている分、提携先や使えるサービスは段階的に広がりつつあり、個人がいま実際に手を動かせる円ステーブルコインとして位置づけられています。
裏付け資産の保全の仕組み
資金移動業者は、利用者から受け入れた資金に相当する額を保全する義務を負います。JPYCの場合、裏付け資金の8割を国債、残り2割を現預金などとして供託する設計だと報じられています。
この保全により、発行体に万一のことがあっても利用者の資産が守られる枠組みが整えられています。信託型とは保全の方法こそ違いますが、利用者保護を制度で担保するという考え方は共通しています。
出典:JPYC株式会社『日本円建ステーブルコイン発行へ-資金移動業者の登録を取得』、JPYC FAQ『JPYCとJPYC Prepaidの違い』、野村総合研究所『日本では初の円建てステーブルコインが発行へ』
電子決済手段の号数の違い
JPYSCとJPYCの違いを正しく理解する鍵は、資金決済法が定める「電子決済手段の号数」にあります。同じステーブルコインでも、誰が発行し、どんな裏付けで成り立つかによって区分が分かれます。号数は単なるラベルではなく、送金上限や発行できる主体を左右する実務的な分かれ目です。
1号(資金移動業者型)と3号(信託型)の制度差
1号は資金移動業者や銀行などが発行し、円建てで償還を約束するタイプです。3号は信託銀行が発行する特定信託受益権で、受け入れた金銭を信託財産として管理します。発行する主体と裏付けの持ち方が、根本的に異なります。
| 比較項目 | 1号(資金移動業者型) | 3号(信託型) |
| 発行できる主体 | 資金移動業者・銀行 等 | 信託銀行 |
| 裏付けの持ち方 | 受入資金を供託等で保全 | 受託金銭を信託財産として管理 |
| 送金額の法定上限 | 第二種は1回100万円 | 金額上限なし |
| 該当例 | JPYC | JPYSC |
なぜ信託型は送金上限がないのか
1号のうち第二種資金移動業には、1回100万円という送金上限が課されます。これは資金移動業の枠組みに由来する制約です。一方、3号の特定信託受益権にはこの上限がなく、企業間の大口決済を想定できる設計になっています。
同じ円ステーブルコインでも、号数の違いが送金できる金額の上限を直接決めているわけです。
なお3号は「不特定の者への使用」を要件としない点も、口座内に限定して始められるJPYSCの特徴につながります。この点は前章で触れた通りです。
2号電子決済手段はどんな位置づけか
号数には1号・3号のほかに2号もあります。2号は、不特定の者を相手に1号電子決済手段と相互に交換できるものを指す区分です。
海外発行のステーブルコインを国内で扱う場面などで関わる枠組みで、JPYSCやJPYCのような国内発行の円ステーブルコインの理解では、まず1号と3号の対比を押さえれば十分です。
前払式支払手段やSuica型との違い
「チャージして使う」という点だけ見ると、電子決済手段は前払式支払手段(Suicaや各種プリペイドなど)と似て見えます。決定的な差は払い戻しができるかどうかです。前払式は原則として残高を現金に戻せませんが、電子決済手段は同額の円で償還を受けられます。
JPYCがかつての「JPYC Prepaid」と別物なのも、この線引きによるものです。整理のため、よく混同される4つを並べておきます。
| 種類 | 価格の安定 | 円への払い戻し | 代表例 |
| 暗号資産 | 大きく変動 | 市場価格で売却 | ビットコイン |
| 電子決済手段(1号) | 円と1対1 | 1円で償還可能 | JPYC |
| 電子決済手段(3号) | 円と1対1 | 信託財産から償還 | JPYSC |
| 前払式支払手段 | 円と1対1 | 原則できない | Suica・各種プリペイド |
暗号資産(ビットコイン等)との違い
JPYSCもJPYCも、価格が大きく変動するビットコインなどの暗号資産とは区別されます。どちらも円を裏付けに1円相当で設計された電子決済手段で、価格の安定を前提とする点が暗号資産との分かれ目です。
暗号資産は値上がり益を狙う投資対象としての性格が強い一方、円ステーブルコインは決済や送金の手段としての性格が中心になります。同じブロックチェーン上で動いていても、目的も法律上の扱いも別物だと捉えておくと混乱しません。
出典:EY Japan『ステーブルコインに関する法規制の概要とポイント解説』、牛島総合法律事務所『ステーブルコイン規制の概要』
JPYSCとJPYCの使い分け
制度を踏まえると、どちらを使うべきかは「誰が・何の目的で使うか」で決まります。両者は奪い合う関係というより、役割を分け合う関係に近いと言えます。
法人・大口決済ならJPYSC
送金上限がなく、信託による倒産隔離が効くJPYSCは、企業間決済や資金管理、機関投資家の大口取引に向きます。100万円を超える資金を一度に動かす場面では、上限のある資金移動業者型より扱いやすい設計です。
個人・Web3・DeFiならJPYC
外部ウォレットで自由に保有・送付でき、複数チェーンに対応するJPYCは、個人の少額決済やDeFiとの連携に向きます。先行して市場に出ている分、対応サービスや使える場面も広がりつつあります。
競合か棲み分けか
両者は同じ円ステーブルコイン市場を狙いますが、上限・流通範囲・想定ユーザーがずれているため、現時点では直接競合というより用途による棲み分けの色が濃いと見られます。円ステーブルコイン市場そのものが広がれば、双方にとって追い風になるという見方もあります。
目的別の選び方
迷ったときは、自分の目的を起点に考えると判断しやすくなります。代表的な場面ごとに、向いているほうを整理しました。
| 使いたい場面 | 向いているのは | 理由 |
| 100万円を超える送金 | JPYSC | 送金額の法定上限がない |
| 個人どうしの少額送金 | JPYC | 外部ウォレットで自由に送れる |
| DeFiやWeb3サービスとの連携 | JPYC | 複数チェーンに対応 |
| 企業の資金管理・決済 | JPYSC | 信託による倒産隔離が効く |
| 今すぐ自分のウォレットで保有 | JPYC | JPYSCは現状口座内に限定 |
出典:SBI VCトレード『JPYSCとは|信託型日本円建てステーブルコインの仕組み』、BeInCrypto Japan『円建てステーブルコイン競争激化』
JPYSCの買い方と始め方
JPYSCは現時点でSBI VCトレードを通じて取得します。外部の取引所やウォレットでは扱えないため、まずはSBI VCトレードの口座が必要です。
SBI VCトレードの口座を開設する
SBI VCトレードの口座開設は、公式サイトまたはアプリから申し込みます。基本の流れは次の通りです。
- メールアドレスを登録し、パスワードを設定する
- 氏名・住所・生年月日などの本人情報を入力する
- 本人確認書類(マイナンバーカード等)を提出する
- 審査の完了後、口座が開設される
- 銀行振込などで日本円を入金する
マイナンバーカードを使ったオンライン本人確認なら、書類の郵送を待たずに手続きが進みます。審査の所要時間は申込状況によって変わるため、余裕をもって申し込むと安心です。
口座内でJPYSCを取得する
口座開設と入金が済んだら、SBI VCトレードの取扱画面からJPYSCを取得します。取得したJPYSCは口座内で保有・利用する形になり、2026年7月16日からは口座内のJPYSCを貸し出して利用料を受け取れる「JPYSCレンディング」の申込受付も始まりました。
初回募集は12週間満期・年率3%で、実際の貸出開始は7月23日からです。通常時は年率1〜3%程度での運用が予定されていますが、預金保険制度の対象外で、貸出期間中の中途解約は原則できません。SBI VCトレードが破綻した場合は貸し出したJPYSCの返還を受けられないリスクもあるため、余裕資金の範囲で検討する性質のサービスです。
画面の名称や導線は更新されることがあるため、操作の際は取得対象が「JPYSC」であることを確認してから進めてください。
現時点の注意点
注意したいのは、発行時点ではJPYSCを外部ウォレットへ出庫できない点です。口座内での利用に限られるため、他チェーンへ移したり外部サービスで使ったりする用途は、パブリックチェーン展開を待つ必要があります。
出典:CoinPost『JPYSCの取得方法:SBI VCトレードで始める』、SBI VCトレード『国内初の信託型円建てステーブルコインレンディングサービス「JPYSCレンディング」、7月16日から申込み開始のお知らせ』
JPYSC・JPYCにかかる税金
円ステーブルコインの税金は、暗号資産の取引と分けて考える必要があります。基本の考え方を押さえておけば、想定外の課税を避けやすくなります。
円と1対1なので原則は損益が出ない
JPYSCもJPYCも円と1対1で設計されているため、円で取得して円で償還するだけなら、原則として譲渡損益は生じません。発行や償還そのものが課税のきっかけになるわけではない、という整理が一般的です。
課税されるのはどんな時か
どの場面で税金が関わるのかを、取引のパターンごとに整理しておきます。
| 取引のパターン | 課税の有無の目安 |
| 円でJPYC/JPYSCを取得・償還 | 原則として損益は生じない |
| 暗号資産を円ステーブルコインに交換 | 暗号資産側で譲渡損益が発生 |
| 円ステーブルコインで商品・サービスを購入 | 1対1なら差額が生じにくい |
暗号資産と交換した場合は課税対象
注意が必要なのは、ビットコインなどの暗号資産を円ステーブルコインに交換した場合です。交換した時点で暗号資産側に譲渡損益が発生し、利益が出ていれば雑所得として課税の対象になります。給与所得者で雑所得が年間20万円を超えると、確定申告が必要になる場合があります。
実際の申告では取得価額の管理が重要になります。判断に迷う取引がある場合は、税務署や税理士など専門家への相談を検討してください。
2028年以降の分離課税への動き
暗号資産の課税は見直しが進んでいます。2025年12月に公表された税制改正大綱では、2028年以降に申告分離課税20.315%へ移行する方針が示されました。これは暗号資産を対象とした動きで、円ステーブルコインの利用益とは切り分けて理解しておくと安全です。
出典:国税庁『暗号資産等に関する税務上の取扱い』、Coincheck『暗号資産の税制改正はどうなる』
日本円ステーブルコイン市場の全体像
円ステーブルコインはJPYCとJPYSCだけではありません。複数の主体が参入し、それぞれ異なる方式で市場の立ち上げを狙っています。
JPYC・JPYSC以外の円ステーブルコイン
信託型の基盤としてはProgmat Coin(プログマコイン)が知られ、メガバンク系の発行構想も動いています。各社が1号(資金移動業者型)と3号(信託型)のどちらで設計するかによって、上限や使い勝手が変わってきます。
| 名称・基盤 | 主体 | 特徴 |
| JPYC | JPYC株式会社 | 資金移動業者型・個人向けで先行 |
| JPYSC | SBI新生信託銀行 ほか | 信託型・法人大口向け |
| Progmat Coin | Progmat(信託型基盤) | 銀行発行を支える共通基盤 |
各社が同じ円ステーブルコインでも異なる方式を採るため、利用者は「どの主体が・どの号数で発行したか」を確認する習慣をつけておくと、上限や流通範囲の違いに迷いにくくなります。
今後のスケジュールと注目点
注目すべきは、JPYSCのパブリックチェーン展開がいつ実現するかです。外部ウォレットでの流通が始まれば、上限のない信託型の強みが実需に直結します。規制と税務の実務がどう整理されるかが、市場拡大の分かれ目になりそうです。
JPYC側も2026年7月13日、オンチェーン流通額が20億円を突破したと発表しました。同日にはパスキー認証や多要素認証への対応、取引時のワンタイムコード廃止、外部ウォレットとの連携など、発行・償還の使い勝手を高める大型アップデートも実施しています。
個人向けのJPYCと法人向けのJPYSCが、それぞれの領域で利用シーンを広げていけば、円ステーブルコイン全体の地盤が固まっていきます。利用者としては、どちらか一方に絞るのではなく、目的に応じて使い分ける視点を持っておくと、選択肢の広がりを活かしやすくなります。
出典:Zenn『日本円ステーブルコイン4種を整理した』、JPYC株式会社『日本円ステーブルコインJPYC、オンチェーン流通額20億円を突破。7月13日の大型アップデートで発行・償還UXを大幅改善』
JPYSCとJPYCに関するよくある質問
JPYSCとJPYCはどちらが安全ですか
どちらも法律に基づいて設計された電子決済手段で、裏付け資産の保全が前提です。JPYSCは信託による倒産隔離、JPYCは資金移動業者としての資産保全という形で、それぞれ仕組みが整えられています。用途に合うほうを選ぶ考え方が現実的です。
JPYSCは個人でも買えますか
SBI VCトレードに口座を開けば、個人でも取得できます。ただし制度設計は法人・大口を主眼に置いており、現時点では口座内での利用に限られる点に留意が必要です。
JPYSCはいつから外部ウォレットに送れますか
発行時点では外部出庫はできません。パブリックチェーンでの流通は、規制上の取り扱いと税務の実務が明確になり次第とされており、具体的な時期は公表されていません。
JPYCとJPYSCは交換できますか
どちらも円と1対1の円ステーブルコインですが、発行体も流通基盤も異なります。直接交換の可否はサービス側の対応次第で、現時点でJPYSCはSBI VCトレード口座内に閉じているため、自由な相互交換ができる状態ではありません。
JPYSCやJPYCの価格は変動しますか
いずれも1円相当で設計された価格安定型のため、ビットコインのような大きな値動きは想定されていません。需給によってわずかな差が生じる可能性はありますが、基本は円と連動します。
JPYCは前払式支払手段ではないのですか
現行のJPYCは前払式支払手段ではなく、資金移動業者が発行する電子決済手段です。かつての「JPYC Prepaid」は前払式支払手段でしたが、円での償還ができる現在のJPYCとは法律上の区分が異なります。古い解説では混同されている場合があるため、注意が必要です。
JPYSCとJPYCのどちらが先に普及しますか
個人が今すぐ自分のウォレットで使える点ではJPYCが先行しています。JPYSCは法人・大口の決済基盤として設計されており、パブリックチェーン展開が進めば法人領域での普及が見込まれます。普及の速さは用途ごとに分かれて進むと考えられます。
まとめ
JPYSCとJPYCは、同じ日本円ステーブルコインでも「電子決済手段の号数」が異なる別物です。JPYSCは信託型(3号)で送金上限がなく、SBI新生信託銀行が発行する法人・大口向け。JPYCは資金移動業者型(1号)で1回100万円の上限があり、個人やWeb3で使える設計です。
選び方はシンプルで、大口の決済や資金管理ならJPYSC、個人の決済やDeFiならJPYCという棲み分けになります。現状JPYSCはSBI VCトレードの口座内に限定され、外部出庫はパブリックチェーン展開待ちという点も押さえておきたいところです。
円ステーブルコイン市場はまだ立ち上がったばかりで、制度と実務の整理が進むにつれて使える場面も広がっていきます。自分の用途に合うのはどちらかという視点で、両者の違いを判断材料にしてみてください。




